4-2-30(第304話) 朝からエプロン姿の観覧
一晩経過し、体力がすっかり俺に待ち受けていたのは、
「おはようございます、ご主人様。朝食のご用意でしたら、既に始めておりますので、ごゆるりとお待ちください」
クロミルの手厚い歓迎により、ただいま俺は絶賛暇を持て余している最中なのである。
(みんなのエプロン姿、素敵だ~)
どこから出したのかは不明だが、なんだか新妻を朝から空想してしまう。俺もだれかと結婚したら、だれかのエプロン姿を朝から見られるのだろうか。出来れば裸がいい。そして朝から・・・おっと。朝からこんな妄想をしてしまうと、これから立ち辛くなるから辞めるとするか。
それにしても暇だから、あの男たちのところに行き、本日の予定でも聞きに行くか。
「朝ご飯を食べた後、すぐに出発すればお昼前に着くことが出来ますよ?」
「分かりました」
俺は自分なりの礼儀をもってお礼をし、男達を後にした。どうでもいいけど、朝からあんな正装しているなんて、辛くはないのだろうか。
「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」
「ニャン♪」
そして俺達は、朝食にありつく。
・・・やっぱ、朝からホットケーキなのね。
「…美味美味♪」
「美味しー♪」
「やはり美味ですね」
「お、美味しいですぅ!」
「モミジ様、少し口元が汚れていますよ。失礼します」
「もー、モミジお姉ちゃんったら♪」
「みなさん、こんなにも美味しいホットケーキを作れるヤんて・・・」
「ユユ、もっと頑張ユ」
「ヨヨ、こんなに美味しいの、毎日食べたい!」
「ニャーン♪」
それぞれ、満足げに食べているようだ。おかしいな。みんな昨晩もホットケーキを食べていたはず。2食連続でホットケーキなのに、飽きないのだろうか。それほどまでにホットケーキが好き、ということなのだろうか。
(でも、みんなの気持ちも分かるな)
昨日食べた野菜が練りこまれたホットケーキとは異なり、今食べているのは地球に住んでいる人が食べたことあるあの甘いホットケーキである。昨晩のホットケーキより甘味が強く、朝から頭に糖分が注入されていく。
(このトッピングもそうだが、やっぱホットケーキにはハチミツだな)
トッピングには様々なジャムが用意されている。俺としては、ホットケーキにかけるものはハチミツが一番かな。ま、これは個人の好みなので何とも言えないな。だから俺は、目の前で真っ赤なソースをかけているクリムの姿を見ても何も言わない。言っちゃいけないのだ!・・・でも、一言くらい言ってみたい。
それ、本当にかけて食べると美味しいの?
と。ま、クリムは美味しそうに食べているからいいんだけどね?俺的にはかなり心配なんだよな。クリムの味覚はもうアウトなのかもしれない。
「?どうかしましたか、アヤト?」
「いや、何でもない」
どうやらクリムの事を見過ぎてしまったらしい。それにしても、ここにいる人達、みんな食事をする風景が様になっているよな。作法とか姿勢とか。誰も見ていないからそこまで気にしなくていいのに。無意識に綺麗な姿勢、作法を保っているのだろうか。
(すご)
俺なんか誰も見ていないときは行儀悪く寝ながら菓子を食べていたな。あ~、ポテチ食いたい。そういえばポテチってどこかに売ってないかな。ついでにあの黒い炭酸飲料も欲しいところだ。その2つを携え、フカフカのベッドの上で横になり、堕落した生活を所望したいものだ。
・・・朝からこんなことを考えるべきでなかったな。もう動きたくない。
(ふぅ)
俺は今まで考えていたことをリセットするため、さきほどより多めにハチミツをかけ、ホットケーキを切らず、一口で直径三十センチメートルくらいのホットケーキを口内に詰め込む。
「「「「「「「「「「・・・」」」」」」」」」」
なんか、視線が食いついてくるな。気のせいか?気のせいにしよう。
「ごちそうさん」
朝食を満足に食したので、俺は簡単に手を合わせ、食後の言葉を発する。
「「「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」」」
「ニャン」
こうして俺達は、朝食を無事に食べ終え、再び黄の国の首都、キハダへと向かう。
さっき男のやつが、今から出発すれば昼前に到着する、みたいなことを言っていたな。ということは、キハダで美味しい昼食にありつける、ということだな。
(朝食食ったばかりだけど、昼飯が楽しみだ)
そんなことを考えながら俺は、
「それじゃあそろそろ出発するぞー」
「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」
「ニャン」
「【六色装】」
俺は【六色装】を発動させ、先導している馬車に向けて、歩み始めていく。
次回予告
『4-2-31(第305話) キハダへの入国』
彩人達はついに黄の国の首都、キハダに到着する。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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