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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 メイズのような意志を持つ商王と三姉妹
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4-2-23(第297話) 招待を受け入れるかどうか

「これ、もしかしなくとも、御呼ばれされている感じ?」

「みたい、です」

「それで、どんなことが書いてあるのですか?」

 リーフがモミジに聞き、

「ルリも気になるー。見せて、見せて―」

 ルリは興味津々なのか、便箋の中身を把握しようと体を動かす。俺も便箋の中身を見てみたいのだが、見せてくれるよな?大丈夫だよな?

「はい」

 モミジは笑顔でルリに渡す。ま、俺はルリの手元から見ればいいか。

何々・・・。

「なるほど。こういう内容でしたか」

「であれば、私達の事もどこからか見ていたか、情報を取り寄せたのでしょう」

「…確かに。リーフの言う通りかも」

「へぇ~。さっすがお兄ちゃん!人気者だね!」

「・・・」

 み、見えん。

 ま、みんなが十分に見たその後でいいか。俺はそれまで待つとするか。

 さて、みんなも見終わったようだし、今度は俺が見てみるか。

「それじゃあ失敬」

 俺はようやくゆっくり見られると思い、さきほどみんなで見ていた便箋を手に取り、便箋の中身を把握する。

「さて、と」

 一応、読めないと悪いので、【翻訳】を【付与】してある自作の簡易的眼鏡をかける。これで俺も立派なインテリだ!・・・眼鏡をかけただけでインテリを語ろうとするとか、そういうところが俺の欠点だよな。分かっているのに俺は無意識でしてしまう。

 そもそも、眼鏡をかけただけでインテリになれるのであれば、地球に馬鹿は存在しなくなり、全人類はみな、眼鏡をかけていることだろう。かくいう俺は、何故か裸眼の視力がよく、眼鏡とは縁遠い生活を送っていたものだ。

 おっと、話が逸れてしまったな。さっさとこの眼鏡をかけ、この便箋に書かれている内容の理解を進めるとしよう。

 ・・・。

「え、え~っと・・・?」

 一応、内容は大体把握出来た、と思いたいのだが、正直、怖い。これで、

「え?お前、何言っているの?」

 みたいな雰囲気になったら、俺は全力で現実逃避もとい、この場からいつでも逃げ出せる覚悟はある!そんなことを偉そうに断言できてもしょうがないけど。

「ここに書いてあることって、本当なのか?」

 俺はモミジに確認をとる。

「はい。ヤヤさん達も驚いていました」

 それはもう驚くことだろう。

 何せ、

「ヤヤ達と俺達を王城に招待、ねぇ」

 俺、何もしていないのに、何故こんな通達が?そもそも、この通達は本当なのか?嘘で誰かを陥れようとしているとか、そんないたずらじゃないのか?

「…アヤト。それはたぶん、本物」

 俺がこの便箋に疑惑を抱いていると、イブが声をかけてきた。それにしても、これが本物?いや、確かに本物だと思うが、本物だとしても、俺達が王城に呼ばれるほどのことをしたとは思えないんだよな。

「…さっき、クリムが言った通り、その模様は王族、もしくはその関係に連なる物しか扱えない代物。だから、それで王族の名を語ったり、詐欺したりすると重罪になる」

「うげ!?」

 詐欺に関する罪の意識は少なからずあったのだが、まさか重罪になるとは。いえ、王族を敵に回すようなものだ。人の名、それも王族の名を語るのであれば、それ相応の報いを受けろ、というつもりなのかも。となると、大人しくこの便箋の内容に従い、王城に来い、ということなのか。

「数日後、この書類を受け取るために、再び使者が来るらしいから、それまでにいつ来るか返事をしろって?」

 どういう意味なのだろうか?

「それはきっと、ヤヤちゃん達がいなくなることで、お店を一時的に閉めなくてはならなくなりますからね。その事を考えて、という事だと思いますよ?」

「なるほど」

 俺はリーフの言葉を聞いて納得した。

 確かに、店の経営の事を考えるのであれば、何日後から休業するか、何日間休業するか等相談する必要があるのだろう。そこら辺のすり合わせをするために、返事を数日待ってくれていたのか。そう考えると、この国の王族も結構優しいな。いや、当然の措置、という判断なのか?俺には分からん。

「それで、ヤヤ達はどうするつもりなんだ?」

 俺の勘だが、ヤヤ達は王城に向かうだろう。勘なので根拠はない。

「はい。ヤヤさん達は行くつもりだと言っていたのですが、アヤトさん達の予定を聞いてから、詳細を決めよう、と話していました」

「なるほど」

 確か、ヤヤ達3人だけでなく、俺達も御呼ばれしていたんだったな。となると、俺達との予定をすり合わせる必要があるか。

「俺は特に急な予定はないからいつでもいいが、リーフ達はどうだ?」

 俺が話を振ると、

「問題ないです。ね、イブ、クリム?」

 リーフがイブとクリムの2人に話を振る。

「…ん。いつでも大丈夫」

「はい。急な用事なんてありません!」

 と、賛成のようである。

「私の最優先事項はご主人様ですので、いつでも問題ありません」

「!?お、おぉ・・・」

 く、クロミル。急に後ろから声をかけないでくれ。あまりの驚きに女の子みたいな悲鳴をあげるところだったぞ。

「ルリはねー、ホットケーキ食べながら行きたーい」

 ルリは既に行く前提で話を進めていた。ルリ、移動中もホットケーキを食べるつもりなのか。ま、別にいいけど。

「だって。一応話し合いの場を設ける必要はあるだろうけど、ここにいるみんな、いつでも行けるって」

 俺はモミジに伝える。

「分かりました。それじゃあヤヤさん達に伝えてきますね」

「おう」

 そう言い、モミジはヤヤ達運営の店へと入っていった。

(それにしても、王城か)

 何故ヤヤ達と俺達が招待されたのだろうか。心当たりが本当に無い。もしかして、誰かの冤罪、とかか?でも、俺が誰かを殺した、なんてことはない。この国に来て殺したものといえば魔獣くらいだ。これで殺人の罪に問われるものなら、俺は必死に無罪を主張するだろう。いや、もしかしたら殺人の罪じゃないかも。詐欺とか強盗とか強姦とか、犯罪にも色々種類はあるからな。

 そもそも、俺達は本当に冤罪なのか?冤罪でなく、他の理由で呼ばれたのではないか。例えば・・・何だろう?単に俺達と食事をしたいだけ?それはないか。となると何だ?・・・駄目だ、分からん。

 ま、行けば分かるか。

「それで、王城に行く際、何か必要なものはあるのか・・・どうした?」

 俺が話を振ろうとすると、リーフとイブが辛気臭い顔をしていた。何でだろう?王城に向かうことがそんなに嫌なのか?

「「・・・」」

 二人は互いを見つめ合い、難しい顔をしていた。

 ま、まさか!!??

(二人はついに、目覚めてしまったのか!!??)

 そう!二人にしか分かりあえることのない禁断の同性愛を!

 ・・・ないな、うん。このタイミングで同性愛に目覚めるとか、ないな。

「?どうしたの、イブお姉ちゃん、リーフお姉ちゃん?」

 ルリが純真無垢な顔で聞いてきた。よし、いいぞ!ルリの純真無垢攻撃がイブとリーフの心にクリティカルヒットすれば、何か言ってくれるはずだ!何かが何なのかは分からないけど。

「何かあるなら、話して?」

 おっとー!ルリが頭を斜めに傾けながら二人に話しかけていくー!この攻撃はどうです、解説のアヤトさん。

 いやー、大変メンタルに効きますね。肉体的には何ともありませんが、親しい間柄だからこそ有効打になることでしょう。

 いやー、解説ありがとうございます。さて、二人の反応は!?

「「・・・」」

 おっとー?二人とも、急にルリから視線を逸らしましたー。これはきっと、ルリのあまりの可愛さに直視できずに目を逸らした、ということなのでしょうか?

 いえ、それだけではありません。きっと、自身がルリに対し、何かしら後ろめたさを感じてしまっている部分も含んでのあの行動だと思います。

 なるほど、解説ありがとうございます。

「…あまり他所のことを悪く言うつもりはない。けど・・・、」

 おっとー!?ついにイブが口を開き始めました。これでようやく事情を聞けそうです。

 ・・・なんか急に心の中で実況だけでなく解説も行ってみたのだが、本当に虚しくなるから辞めよう。口に出して言わなかったことがせめてもの救いだな。

 それに、イブ達が何か話してくれるみたいだし、真面目に聞くとしよう、うん。

「この国の上に、気を付けた方がいい」

 イブの一言が、俺達の場に届く。

次回予告

『4-2-24(第298話) 商王の噂』

 難儀を示したイブとリーフは黄の国の王、商王に関する噂を話し始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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