4-2-13(第287話) それぞれの再会
時間は過ぎ、俺の体力が十分に回復し、復活した。
「…よし!」
俺は自身の復活を噛みしめながら午後を迎える。やっぱ眠気がないと、やる気が漲って来るぜ!普段、地球にいた頃と比べ物にならないほど礼儀正しい生活リズムを保ち続けていたからな。たまに深夜活動すると、どうしようもなく眠気が襲ってくるんだよな。旅している時は昼に寝ることが可能だけど、やっぱ街にいる時は損している気がするな。街にいる時は観光とか、街の名所とか色々見ておきたいものだ。そして、カップルがよくいる名所にリア充がいたら、そのリア充達をぶっとばしてやろう。理由はただ一つ。リア充、死すべし。慈悲は無い!・・・理由になっていない気もするが、気にしないでおこう。
「それじゃあ行こう」
俺の言葉を合図に、俺達は先日訪れたヤヤ宅に向かう。
その間、先日道を教えてもらったという女性に付いて教えてもらった。
「え~とね~、ルリみたいな子だったー」
・・・うん、分からん。いや待て。ここは冷静になって考えよう。ルリ達が道を教えてもらった女性は、ルリと同じような人だった、ということだろう。どこら辺がルリと同じだったのだろう?
身長?
体重?
性格?
体重は見た目で分からないだろうから、体重は無いな。となると、身長か性格、ということかも。ということはルリと似たような身長か、ルリと同じような性格をしている、ということか。つまり、ルリに道を教えてくれた女性は、小さくて純真無垢、という可能性があるな。小さいということは年齢もあまりいっていないのかも?
次はリーフ達が出会った女性について聞いてみた。
「一言で言うなら、イブみたいな子だと思いますよ?」
イブみたいな子、だと?
「・・・?」
イブも疑問符を浮かべているっぽいし、どういう意味だ?イブみたいな子、か・・・。つまり、どういうこと?
イブみたいな身長?
イブみたいな大食いであること?
イブみたいな性格?
大食いかどうかは、道を教えてもらったぐらいじゃ分からないだろう。となると、イブみたいな身長と性格を兼ね備えた子、という線が濃厚だな。となると、リーフ達が出会った子は、ルリが会った子と比べると暗めな性格をしているのかもしれない。こんな考えをしていることは、本人のイブには気付かれないようにしよう。
それにしても、ヤヤの他にそんな女の子達がいるんだな。別にこの街にはヤヤ以外の女性がいない、と考えた訳じゃないんだけどね。
そして俺は目的の家の前に着く。俺が立ち止まると、みんなも立ち止まった。だが、
「「「「「「「・・・」」」」」」」
みなさん、何か言いたそうな顔をしていた。ま、無理もないか。何せ、かなりボロイし。改めてみると、これで本当に雨風凌げているのか。こんな場所に人が住んでいるのかさえ怪しくなってくるものな。
「本当にここ、ですか?」
「ボロボロだねー」
「ああ」
俺達が少し家を見て、家に入ろうとすると、誰かが家から出てくる。
「それじゃあちょっと買い物に・・・、」
ここで俺は先日会った張本人、ヤヤと目が合う。
「「あ」」
そして、声を出すタイミングがヤヤと被る。視線が合い、声が被ったことで、俺の合わせたい人物が目の前の人物であることを理解したらしい。
「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」
そして6人は、目の前のヤヤの姿に目を丸皿にしていた。あれ?なんでそんなに驚くんだ?もしかしなくとも、こんな見た目ボロイ家に人が実際に出てきたところを目撃したからか。
「今ちょっといいか?」
俺がヤヤに話しかけると、
「は、はい!いつでもいいヤら!」
そう言い、俺に近づいてきた。いや、別に近づかなくても・・・そうか。近づいた方がルリ達に紹介しやすくなるから、むしろ気を効かせてくれたことに俺が感謝すべきか。
「今日、俺が紹介したかった人、ヤヤだ」
俺がそう言い、ヤヤに視線を送る。この視線で気づいてほしいのだが、こんなボッチの視線の意図に気付いてくれるのだろうか?
「あ、初めまして。私、ヤヤって言いいます」
と、簡単に自己説明をし、頭を下げる。
「それで、こっちが俺の旅仲間だ」
俺はルリ達の方に指先を向ける。これでルリ達が自己紹介してくれると嬉しい。
「リーフです」
「クリムですよー」
「…イブ」
「ルリだよー」
「クロミル、と申します」
「あ、あの、モミジ、と言います」
「・・・」
「あ、この子は卵ちゃんね。この子も『よろしくお願いします』って言っているよー」
続々と自己紹介していくルリ達に、ヤヤはただ頭を下げていく。それにしても、俺の意図を簡単に汲み取ってくれるなんて、みんなの察し能力高くね?え?これぐらい仏だって?すいません。俺、そういうコミュニケーション関連の能力がほとんど0なんですよね。だから羨ましいです。
「そういえば、ヤヤの妹さんにも紹介しておきたいのだが、どうしたらいい?」
さすがにこの人数を家の中に入れるのは抵抗もあるかもしれない。なら、ユユとヨヨを外にだしてもらうか?それもなんだか迷惑な気が・・・。
「あ、今、呼んでくるんヤよ!」
と、ヤヤは家に戻っていった。そして、すぐに戻ってきたヤヤは、
「ほら。昨日来てくれたアヤトさんの旅仲間が来てくれたよ。みんなで挨拶するんヤよ」
ユユとヨヨを連れてきた。それにしても、身長差はあるものの、やはり姉妹というだけあるのか、顔がそっくりだ。
「「「「「「あ」」」」」」
「「あ」」
?何故ルリ達とユユ達はお互いを指差しているんだ?
「「「「「「「「あの時の!!!!!!!!」」」」」」」」
どうやら、ルリ達とユユ、ヨヨの間には面識があったらしい。というか、いつの間に出会っていたんだ?
「ご主人様、先日、道を教えて下さった女性の方がいた、と説明したと思います」
「あ、ああ。そんな説明、確かに受けたな」
俺が嘘の言い訳をしたら、偶然にも、嘘の話が誠の出来事だった、ということだったよな。俺、驚いたし。
「その方の一人があの方です」
と、クロミルがヨヨを指差す。確かに、ヨヨはルリと身長は大体同じな気がするけど、
(そんな偶然ある?)
驚くことしか出来ないな。
あれ?ちょっと待て。確か、クロミル、ルリ、イブ、モミジ、卵は一緒に行動していた記憶はあるけど、リーフ、クリムは別行動していたと思うんだが?何故二人も驚いているんだ?
「まさか・・・?」
「私も推測しか出来ませんが、おそらく、もう一人の方が、リーフ様とクリム様に道を教えて下さった方かと」
「だよ、な」
つまり先日、既にユユ、ヨヨはルリ達と会っていて、道を教えてくれたと。
何この偶然。
「やっぱり昨日の!」
「うん!」
ルリとヨヨは元気に互いの手を合わせあい、喜びを体で表していた。
「昨日ぶりですね」
「ですね。昨日はどうもありがとうございました」
ユユとリーフは対照的に、体を動かして表現しないものの、言葉に嬉しさを感じられた。俺、結構疎外感を覚えるんだけど。悲しい。
「ユユ、ヨヨ。昨日言っていた人達って、アヤトさんの仲間の人達の事だったんだね」
ヤヤも何か妹達から話を聞いていたらしく、どこか納得していた。俺もヤヤと似たような状況なのだが、すごい疎外感を覚えているのは気のせい?ねぇ気のせい?
そんな時、どこからか聞き覚えのある音が聞こえた。
(あれ?この音って・・・?)
その音がどこから発生しているのか、発生源を目で探していると、
「「・・・」」
「ねぇヤヤお姉ちゃん、ユユお姉ちゃん。お腹すいたー」
どうやらヤヤ、ユユ、ヨヨの3人かららしい。
「3人とも、ご飯はもう食べたのか?」
俺がきくと、
「ううん。これからー」
どうやらお昼はまだ済ませていないらしい。
「…リーフ」
「ええ。私もイブと同じことを考えていますよ?」
何やらイブとリーフが短い会話を済ませると、俺の方を向いた。俺に何か用、なのだろうか。
「…アヤト。この子達にお礼がしたい」
「お礼?お礼って、道を教えてもらったことへの、か?」
「…ん」
「私もユユちゃんにお礼がしたいです」
なるほど。二人はこの3姉妹にお礼がしたいと。
(・・・いや、イブとリーフだけじゃなさそうだな)
周囲を見てみると、イブとリーフだけでなく、ルリやクロミル、クリム達も同様の考えらしく、俺を見ていた。
(俺もその場の勢いとは言え、ヤヤを助けようと動いたわけだしな)
だから俺は、
「分かった」
俺のこの一言で、みんな笑顔になる。
「「「???」」」
ヤヤ、ユユ、ヨヨの3人は、イブ達が何を言っているのか分からずにいるようだ。
「昨日、リーフ達のことを助けてくれたお礼に何かしたいのだが、何して欲しい?」
と言っても、すぐに思いつきはしないだろう。通常の状態なら、な。
「美味しいご飯が食べたい!」
だが、今のヤヤ、ユユ、ヨヨはある状態異常にかかっている。それは、空腹。であれば、その空腹状態を治すため、お腹を満たす必要があるだろう。
「私はヨヨの意見に賛成ヤよ。ユユは?」
「…私もそれでお願いするユ」
どうやら3人は、美味しいお昼をご所望らしい。俺はクリム達に体を向け、
「それじゃあ、とびっきり美味いお昼を作るか」
「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」
さて、3人を喜ばせるために、どんな料理を作ろうかな。
次回予告
『4-2-13(第287話) 道を教えてくれたお礼』
彩人達は道を教えてくれたヤヤ、ユユ、ヨヨに、お礼として美味しい料理をふるまう事となる。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします




