4-2-9(第283話) カンゾウでの別々行動~イブ・ルリ・クロミル・モミジ・卵編~
一方、6並べをやるために必要な魔道具を買いに向かったルリ、イブ、モミジ、クロミル、そして卵含める5人はというと、
「…それじゃあ、例の魔道具を買いに行こう」
「おー♪」
「・・・」
「あ、卵ちゃんも楽しみだって」
イブとルリは乗り気になり、
「「はい」」
クロミルとモミジは常に警戒している。だが、やはり周囲にある商品の数々が初見のものばかりが原因なのか、視線が拡散気味である。
「…まずは、6並べするのに必要な魔道具を買うつもりだけど、それでいい?」
イブはみなに最初の行動の確認をとる。
「いーよー♪」
ルリはとびっきりの笑顔で返事し、
「異論はありません」
クロミルはきちんとイブの目を見てから返事をした後、すぐに周囲の警戒を再開する。
「も、もちろん賛成です!」
木刀に寄生しているモミジも反論なく、
「・・・」
「卵ちゃんもOKだって」
卵も特に反対意見を言わなかった。
「…ん。それじゃあまずは、6並べするのに必要な魔道具を買いに行く」
イブは見知らぬ土地で戦闘となり、周囲の店を見渡し、目的のブツがありそうな店を探す。
探すこと数分。
「見つからないねー」
「…ん」
5人は魔道具探しに苦戦していた。無理もない。店舗が見えるだけでも数が非常に多く、道も今まで訪れた国に比べて複雑となっている。みながはぐれないようにするだけでもかなり気を遣い、体力を消費するようである。心なしか、全員の顔の元気色が薄れているようだ。特にクロミルとモミジの消費が激しいようにうかがえる。
「ルリ様」
「…ん?どうかした?」
「ここは誰かに店の所在を聞く、というのはどうでしょうか?」
自分達でいくら探しても見つからないと判断したクロミルはイブに提案する。イブは少し考え、
「・・・ん。クロミルの案で行こう」
クロミル案を採用した。
「私の案をのんでいただきありがとうございます」
クロミルはイブに頭を下げる。
「…それで、誰がこの街の人に聞いてくるか・・・」
イブが少し考えていると、
「じゃあルリが行ってくるね~♪あ、クロミルお姉ちゃん、卵ちゃんのこと、お願いしていい?」
「任されました」
クロミルはルリから卵を受け取る。
「ありがと~♪それじゃあちょっと行ってくるね~♪」
ルリは人ごみの中に入っていく。
「「「「・・・」」」」
イブ、クロミル、モミジ、卵が待つこと数分。
「ふー」
人ごみの中からルリの顔が出現し、
「よいしょ、よいしょ」
顔、頭、胴体と現れ、
「はい、こっちだよ」
ルリはある女の子を連れて来ていた。
「「「「????」」」」
ルリ以外の4人は、何が何だか分からない状況となっていた。状況を理解しているのはきっとルリだけだろう。
「それじゃあ、さっき話してくれたことをお姉ちゃん達にも教えて欲しいな」
そうルリが言うと、
「うん!」
女の子はルリの言う事に頷き、イブ達の方を向いて話し始める。
「あのね、お姉ちゃん達の・・・6ならべ?に使うまどうぐ?は、この通りのあの店のところで右に曲がって、2つ目の店にあったはずだよ」
その女の子は、ルリ達が探しているブツが置かれている店の場所を言う。
「これでいいの?」
「うん!ありがとう!はいこれ!」
ルリはアイテムブレスレットからホットケーキを出す。
「うわぁ…!」
女の子はホットケーキを見たことが無かったのか、ホットケーキの見た目に驚く。
「とっても美味しいから、お姉ちゃん達と一緒に食べてね♪」
ルリは手渡しで女の子に渡すと、
「ありがとう、ルリちゃん!じゃあね!」
そういい、女の子は去って行った。
「えっと・・・どういうことですか?」
木刀に寄生しているモミジが小声でみんなに聞く。
「…多分、例の魔道具が置いてある店の場所を言ったんだと思う。違う?」
と、イブは確認のためにルリに聞く。
「うん!」
ルリは元気いっぱいで返事をする。
「ありがとうね、ルリさん」
「ルリ様の寛大な心遣いに感謝します」
「…よくやった、ルリ」
「・・・」
みんな、自身の言葉でルリを褒めたたえる。他の者には卵の言葉が翻訳不能であるが、ルリには翻訳できたらしく、
「えへへ、卵ちゃんもありがとー♪」
ルリはお返しと言わんばかりに卵を手で撫でる。
「…ということは、さっきの女の子が言っていた場所にある、ということになる」
「ですね」
「それじゃああの子の言う通りに行こ―」
ルリを先頭に、五人は店へ向かっていく。
店に着くと、
「いらっしゃいませ」
カジュアルな服装の男性が出迎えてくれた。五人はその言葉をそよ風のように軽く聞き流し、周辺を見渡す。
「あった!」
ルリは目的のブツを見つけたらしく、その位置まで一直線に向かう。
「これだよね、イブお姉ちゃん!?」
ルリは懸命な顔でイブに聞く。
「…ん」
ルリの必死な問いかけに対し、イブの短い返答。短すぎて聞き取れない可能性がある返事。
「や、やったー!ついに見つけたー!!」
ルリは大喜びのあまりジャンプする。
「…他にはどんな魔道具があるの?」
イブは店員に他の魔道具の説明を求める。
「であれば、まずはこちらを・・・、」
そうして5人は様々な魔道具の説明を受け、
「…私はこれを買う」
「ルリはこれ!」
「よろしければこれを」
「じゃ、じゃあわたしはこれで」
「・・・」
「卵ちゃんはこれだってー」
みなが思い思いの魔道具、もとい遊具を買う。みなの顔には喜びの色が見られる。
「本日のご来店、誠にありがとうございました」
カジュアルな装いをした店員がジェントルにお辞儀をし、5人はその光景を見ずに退店する。
「…他にもいい店があるかもしれないから、みんなで探す?」
イブがそう提案すると、
「賛成!」
ルリは真っ先に賛成する。
「私は異論ありません」
「わ、私も!」
「・・・」
「卵ちゃんもいいよ、だって~」
みな、イブの案にのり、再び店舗が多い通りを歩き始める。
その後、5人は他にも様々な娯楽道具や食材を見、買っていたのだが、それはまた別の話で。
次回予告
『4-2-10(第284話) カンゾウでの別々行動~彩人編~』
別々行動を始めた彩人は、周辺を散策する。ある程度周辺の店を散策し、彩人は奥へ入り込む。その奥には娼館があり、その娼館からは見た目同年代の少女が出てきた彩人は気持ちに余裕があってか、その少女に声をかける。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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