4-2-7(第281話) カンゾウでの別々行動
あれから俺達は黄の国に入り、パスポート?ぽい板をもらった。もちろん有料で。そしていよいよ入国し、この黄の国の街の一つ、カンゾウへと足を踏み入れる。
「おー!なんか店がいっぱーい!」
ルリの言う通り、店がたくさん、それはもうたくさん並んでいた。
(これはルリじゃなくてもテンション上がるな)
見知らぬ人達はもちろんのこと、ここから少し見渡しただけでも、俺の見たことがない物達が数多く見られる。
「私としては、ちょっと防具を見ておきたいですね」
と、リーフが呟く。
「あ、私も防具に興味があるので一緒に行きません?」
と、クリムが誘い、了承する。
「…それじゃあ私は、6並べに必要な魔道具を探してみる」
イブがそう宣言すると、
「あ!?ルリがやってみたいやつだね!ルリも行きたーい!」
・・・あれ?この流れって、あれだよな?多分、この後は別行動をとる、といった感じか。まぁ、始めてきた国だし、いいか。
「それじゃあそれぞれ各自で行動、ということでいいか?」
俺の言葉に、
「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」
「・・・」
「卵ちゃんも『分かりました』だって」
俺の言葉に賛同してくれた。ま、みんな早く店舗を見たくてウズウズしている感じだしな。
「それじゃあ私とクリムは武器屋、防具屋を見てきますね♪」
と、リーフが言い、
「それじゃああの宿で待ち合わせしましょうね~♪」
クリムがリーフの後を追うようについて行った。
「…それじゃあ私達は、例の魔道具を探してくる」
「お、おお」
イブは6並べをするために、前に言っていた魔道具を探すみたいだ。是非とも見つけてきて、全員で遊んでみたいな。
「ルリもイブお姉ちゃんについていくよ!」
「・・・」
「え?卵ちゃんも一緒に来るの?いいよ、ルリがしっかり持っていてあげるからね!」
どうやら卵もルリ達に同行するらしい。確かに、ルリ以外、卵が何を言っているのか分からないからな。卵はルリと一緒にいるのがベストだろう。
念のため、
「クロミル、モミジ。お前らはどうするつもりだ?」
「私は特に見たいものはないので、ご主人様について行くつもりです」
「わ、私も同じです!」
ちなみにこの街に入ってから、クロミルは目立つ尻尾と耳を隠し、モミジは木刀に寄生してもらっている。
「そうか。それじゃあ一つ頼みがある」
「?なんでしょうか?」
モミジからも疑いの感情を読み取れる。
「あの卵を変な奴らから護ってくれないか?」
俺はクロミルとモミジに頼みごとをする。
「それは構わないのですが、その前にひとつ、よろしいでしょうか?」
「もちろん構わない。それで何だ?」
「イブ様はもちろんのこと、ルリ様はかなり強いので、卵を護る必要が無いのでは?」
言いたいことは分かる。俺も正直、過剰な戦力だと思う。けど、
「念には念を、ということと、あの二人だけにすると、食べ物関連で何かやらかしそうな気がしてな。クロミルとモミジにはその抑制もついでにお願いしたいんだ」
頼めるか?という視線を込めて二人を見る。まぁ断ってくれても問題はないし、文句を言う気もない。この頼み事、面倒くさそうな案件だからな。自分で頼んでおいてそう思うんだ。頼まれた側はたまったものではないと思う。
「かしこまりました。卵様の護衛、心してやらせていただきます」
「わ、私も頑張ります!」
あ。俺はもう一つ重要事項を伝え忘れていることに気付き、二人に追加で言う。
「もちろん、楽しんでいってくれよ」
俺のこの言葉に、
「分かりました」
「は、はひ!」
クロミルにモミジが寄生している木刀を渡し、クロミルはルリとイブ、卵の元へ向かった。
「さて、これで卵に面倒ごとが起きそうになっても、クロミル達がなんとかしてくれるだろう」
うんうん。よかった、よか・・・た?
あれ?俺は?
・・・。
うん。それは・・・あれだ。そう!俺は女性同士の方が気楽に買い物できると思って、あえて独りになったんだ!決して、決して必然的にボッチになった、なんてことはない!ない、だろう。ない、よね?ない、いやあるかも。
「はぁ」
まさか無意識でボッチ行動に自身を導くとか、ボッチの才能があるんじゃなかろうか。もしかして、さきほどクロミルとモミジが俺と一緒に行動しようとしてくれたのって、俺をボッチにさせないため、とか?
・・・。
ありがとう、クロミル、モミジ。そして御免。二人の気遣いを無下にしてしまう形になってしまって。俺は心の中で二人に謝罪の意思を伝える。
「さて、と」
これから俺、どうしようかな?
次回予告
『4-2-8(第282話) カンゾウでの別々行動~リーフ・クリム編~』
別々行動を始めたリーフとクリムは、武器と防具を見るため、店を探し始める。その途中、とある人に店を尋ねる。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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