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色を司りし者  作者: 彩 豊
第4色 黄の国 第一章 蒲公英色な角犬の卵
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4-1-19(第273話) 消臭方法~実験~

 いい消臭方法を見つけたかもしれない俺は、さっそくその方法を実験してみる。

「まずはこれだな」

 俺が取り出したのは、とある香辛料。まぁ味付けにも使うが、いい香りを放つものである。ここまで言えば分かることだろう。そう。俺はこの香辛料の香りを使い、においを上書きしようという作戦を思いついたのだ。ふふふ、俺って天才かもしれない。なんて過大な自己評価を行いながら、今は使っていない服を実験として使っている。

 因みに今は俺一人で、ただいまクロミルの休憩中。クロミルも頑張ってくれているし、誰も文句の一つも出てこない。

「これを・・・」

 アイテムブレスレットから取り出してみたものの、これからどうしよう?香りを移すって具体的にどうすれば・・・?

(そこまで考えていなかった)

 なんて俺は浅はかなんだろうか。さっきまで自分の事を天才だと過大評価していた自分にビンタをかましてやりたい。カウンターを食らう気がするが、それは今どうでもいいことだな。

「まずは…こすりつけてみるか」

 とりあえず、何もしないのは時間の無駄になるので、この香辛料を服にこすりつけ始めた。

 こすり始めてから数分。

(いい香りだ)

 あのカレーライスみたいないい香りがし始めた時、そろそろ頃合いかと思い、作業を止め、服のにおいを嗅いでみる。

「・・・おお!?か、カレーの匂いだ!」

 せ、成功した!ついに俺は、匂いの移行に成功したぞ!と、俺は実験用の服を自分の鼻から遠ざけると、

「すげぇ。こんなに遠くしても匂うなんて・・・」

 どうやら、この香辛料をこすりつけたことによる香りの移行は大成功のようだ。これであの臭いも・・・臭いも?

「そういえばあの服、獣臭なんてしていたか?」

 そういえば、あの角犬って俺達より優れた嗅覚を持っているんだっけ。となると、俺の今の嗅覚では、この実験で獣臭が消えたかどうか分からねぇ。そもそも、この服にあの角犬の臭いがついていたのかどうかも分からねぇ。これは実験失敗か?

 いや、このカレーっぽい匂いを他の何かで上書き出来たら、消臭効果の立証に繋がるのではないか?…繋がりそうだな。

「よし」

 そう思ったなら行動開始だ。

 まず、このカレーに使う香辛料に強い香り且つ、常に嗅いでいても不快感を覚えない様な匂いを発するやつにしないとな。となると、

「無臭?」

 無臭の香辛料を探せってか?そういえば、炭って臭いを吸着出来る、なんて話も聞いたことがあるな。炭の件は後回しにしよう。今は無臭の香辛料を・・・無臭の香辛料?

「そんなのがあるの?」

 香辛料って確か、におい消しはもちろんのこと、香り付けにも用いられていた記憶がある。だから、俺のこの理論でいけば、あってもおかしくない、のか?

「わ、分からん」

 そもそも、俺のこの記憶が不安定なのに、それを合っている前提でさらに考えるのは少々無茶な気がする。

「さて」

 とりあえず、今持っている物全て出して、使える香辛料でも探すとするか。俺はおおよその目当てをつけ、アイテムボックスから物を続々と出していった。


「つ、疲れた・・・」

 全てのアイテムを見て、使えるか使えないかの簡単なチェックをしていたはずなのに、何せ量が多い。半分近く料理関連だったが、気にしないでおこう。俺って結構食にうるさいのかな?異世界に来て料理ばかりして、異世界感ない所持品だな。ま、食料が大事なのは地球でも異世界でも変わらないということだ。人の生理的欲求なめんな。

「まずは香辛料とそれ以外に分けて、それから試していくか」

 あの香辛料でもいいが、使用後、衣服がカレー臭になっちまうんだよな。インドでは当たり前かもしれんが、こっちでは異臭扱いかもしれないし、これとは別に考えてみるか。

 無事に仕分けが完了し、次は一つ一つ実験し、においの検証を始めなくてはならない。イメージとしては、爽やかな香りなら大丈夫だろう。例えば…サイダー、とか?そんな炭酸飲料を彷彿とする香りなら他の人も不快感を得ることは少ないだろう。一応、においにも好みがあるので絶対、とは言わないでおこう。

「さて、まずはこの・・・丸くて小さめのこの緑っぽいやつから実験してみるか」

 少しは実験成果があればいいのだが・・・。


 あれからクロミルの休憩が終わり、牛車内で一つ一つ丁寧に実験を行った。他の人達には何をしているのか皆目見当もつかない事だろう。俺も途中から何をしているのか分からなくなってきたからな。流石に本人のお前は把握しておけよ、とか思うだろう。俺本人もそう思う。だが、実験をやり続けるうちに、もう何が何だか分からなくなるんだよな。俺、なんでこんなことをしているんだろうって。

 そんなことを思いながらも続けて、続けて、続ける。

 結果、

「・・・ふぅ。取り敢えずはこんなものかな」

 よさそうなものを候補として数種類あげることに成功した。

 まず一つは、サイダーみたいな清涼感がある香りの香辛料。これ、なんていう香辛料なのだろうか。香辛料についての知識は皆無なので、とりあえず、『サイダーボール』とでも名付けておこう。名づけセンスがない、ということは自覚しているので、名称に関しては突っ込まないで欲しい。

 次の二つ目は、サイダーと少し似ていて清涼感を覚える香りだが、なんかスッとする香りだ。このスッとする香り、どこかで嗅いだ覚えがあるんだよな。どこだったかな~~~?ま、後で思い出・・・あ。

(ミントだ)

 ということで、この香辛料は『ミントボール』に命名だ。

 そして最後の三つめは、これまでの香りとは少し趣向を変え、オレンジやレモン等の柑橘系の香りである。これなら女性受けもいいのでは?と考えた俺は、候補の一つに挙げた訳である。う~ん、良い香りだ。この香りを嗅いでると、冬のコタツを思い出す。早くコタツでぬくぬくしたい。もちろん名前は『オレンジボール』である。理由は特にない。

「で、数的には、これが一番多いのか」

 最も長い期間使用し続けることが可能なのは、この2番目の、サイダーに近い清涼感覚える香りだ。これならきっと・・・30日くらい?使えるだろう。それにしてもこの香辛料、一体どういう用途を目的として買ったのだろうか?

 安かったから?

 それとも、物珍しさから?

 どっちでもいいか。取り敢えず、これで獣臭対策には、この・・・臭い消し、でいっか。これを提案してみるとするか。

次回予告

『4-1-20(第274話) 消臭方法~提案~』

 消臭方法に関する実験を完了した彩人は、イブ達に臭い消しを渡す。そのお礼として、彩人はある料理をもらう。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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