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色を司りし者  作者: 彩 豊
第4色 黄の国 第一章 蒲公英色な角犬の卵
268/546

4-1-13(第267話) 角犬の卵捜索開始~その3~

 場所は変わり、

「あ!?」

 リーフ、ルリ、クロミル、角犬一匹が角犬の卵捜索に走っているこのごろ。その時、リーフは何を思い出したのか、突然声を挙げる。

「?どうしたの、リーフお姉ちゃん?」

 ルリはリーフの異変に気付き、走りながらもリーフの方を向いて心配する。クロミル、角犬も同様であった。

「いえ、先ほどから発動している【風感知】が何かを感知したらしいんです」

「何かって?」

「…分かりません。角犬さんは匂いで分かりませんか?」

「ニャン」

「『分かった』だって」

 角犬はリーフの提案を承諾し、周辺の匂いを注意深く嗅ぎ始める。

「ニャ!?ニャニャンニャンニャニャ!?」

「『な!?こ、この匂いは!?』だって」

 角犬が覚えのある匂いを嗅いだらしく、その匂いに驚く。

「それで、その匂いって何?」

「ニャニャニャニャン」

 角犬自身、その匂いの正体を言ったつもりなのだが、リーフとクロミルに伝わらなかった。二人はルリの方を向き、翻訳を待つ。

「『角猫』だって」

 このルリの発言に、

「つ、角猫!?角猫ってあの角猫ですか!?」

「にゃ、ニャン…」

「『う、うん…』だって」

「そうですか。となると、角猫が角犬の卵を持ち帰ったのかもしれませんね」

「にゃ、ニャニャン!」

「『な、なるほど!』だって」

「…もしかして、角猫は、角犬の卵を奪う習性があるのですか?」

 クロミルの問いにリーフは首を横に振る。

「違うわ。角猫は丸いものを自分達の住処に持っていく習性があるの。だから角猫たちは丸い角犬の卵を持ち帰ったのだと思うわ」

 リーフは受付嬢で培ってきた知識をクロミル達に話す。

「確かそうだったはず。よね?」

リーフは確認のため、角犬に聞く。

「ニャン。ニャニャンニャンニャン」

「『そうだ。よく知っていたな』だって」

「ということは、今私達が向かっているのは、角猫がいる場所、ということですか?」

「ええ。それも角猫達の住処よ」

 そう言いながら、リーフはまだ見えぬ角猫の住処に視線を送る。

「私達だけでは、厳しいですか?」

 クロミルがリーフに聞く。リーフは最初、何が厳しいのか分からなかったが、すぐに戦闘面であることを理解し、改めて周囲の仲間を見る。そして落ち着いた笑みを全員に向け、

「油断しなければ大丈夫なはずです」

 そう言った。自惚れでも、誇張したわけでもなかった。クロミル、ルリの力を把握。そして、角猫の力をある程度把握していたからこその落ち着いた断言であった。

「とはいえ、今回の目的は角猫の討伐ではなく、あくまで角犬の卵奪還、ですからね」

 リーフは念押しする。

「承知しました」

「うん!」

「ニャン!」

「『分かった!』だって」

「【風感知】によるとここから目的の場所までは…走っても少し遠いですね」

 リーフは【風感知】から受け取った情報をもとに現状を把握する。

「そして、角犬の卵は、角猫の住処にある確率が高い。であれば、簡単に作戦をたてましょう」

「作戦って?」

 ルリが純真無垢に聞く。

「まず、私とクロミルちゃんが派手に暴れますので、その隙に角犬とルリちゃんが連携して卵を見つけ、取り返してきてください。合図は・・・上空に氷を出す、でいいですか?」

 リーフの提案に、

「・・・うん、いいよ!ルリ覚えた!」

 ルリは了承する。

「そういえば勝手に決めてしまいましたが、クロミルちゃんに角犬も、この作戦でよかったですか?」

 リーフは自己勝手に決めてしまってよかったんだろうかという罪悪感を覚え、クロミル、角犬にも確認を取る。

「問題ありません」

「ニャー…。ニャニャンニャンニャ、ニャンニャニャ」

「『まぁ…。信用はしていないが、賛成だ』だって」

 ルリは若干不機嫌になりながらも翻訳する。

「いいですか?今回の要になるのは角犬、あなたです」

 リーフは角犬を名指しする。

「あなたが出来るだけ早く卵を見つけてくれないと、私達だけでなく、あなたの仲間も危険な目に遭うかもしれません。例えば、角猫の襲来、とか」

 そんなリーフの推測に、

「「「!!!???」」」

 ルリ、クロミル、角犬は驚く。そして角犬はすぐに激しく動揺するが、ルリとクロミルの二人はすぐに落ち着きを取り戻す。

「ニャ、ニャンニャニャニャニャニャン!?」

「『な、なぜそんなに落ち着いている!?』だって」

 ルリは他人事のように翻訳する。その翻訳に、クロミルが口を開く。

「あそこには、私がお仕えしているご主人様を筆頭に、クリム様、イブ様、モミジ様がいらっしゃいます。たかが角猫ごときに遅れをとることはありません」

「だね」

 クロミルが表情を変えずに発言し、ルリは日常で見せる笑顔を晒す。

「だから角犬ちゃん。あっちはお兄ちゃん達に任せて、ルリ達は卵、見つけに行こう?」

 ルリの優しさが、

「にゃ、ニャン…」

「うん!」

 ルリの翻訳がなく、二人はずっと疑問符を浮かべていたが、

「さ、行きますよ?」

 リーフ、クロミルは気にしない。リーフはみなを鼓舞し、

「うん!」

「はい!」

「ニャン!」

 戦場へと走り出す。

次回予告

『4-1-14(第268話) 角犬の卵捜索開始~その4~』

 リーフ、クロミル、ルリ、角犬は住処に突入する。その一方で、彩人達は角猫達から襲撃を受けてしまう。二つの戦場でそれぞれの戦いが始まろうとしている。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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