1-1-22(第26話) 結果報告
ひとまず俺は王宮を目指した。結果を伝えるためである。
ちなみに、イブには魔族だとばれないように、偽装効果の付いたマントとバンダナをしてもらっている。
「それじゃまず、王宮に行くから。イブはただ黙っていればいいから、わかった?」
「………ん」
さて、報告しに行きますか。
「よくぞまいったな、アヤトよ!我は待ちかねたぞ」
「すいません王様。すこし込み入った用が出来てしまい、報告が遅れてしまいました」
「うむ。それで、報告を聞きたいのだが?」
「はい。無事に終わりました。罪人を今もなお拷問中とのことです」
「そ、そうか」
「はい。それで失礼「まぁ待て」できませんよね。なにか他に御用でしょうか?」
「そうだな。まずはお主の後ろにいる者の説明からかの」
「………それじゃ、説明します。まず……」
こうして俺は今までのことを話した。もちろん、ホットケーキと俺とイブのおつきあい、そして俺の実力に関しては一切触れていない。
「………と言う感じです。これで説明は以上です」
「なるほど。そんなことがあったのか。でもわからんな」
「なにがです?」
「その者がアヤトと一緒にいる理由だよ」
「あぁ。それは花嫁修業ですよ。」
「「花嫁修業??」」
「はい。後継者が一人しかいないので、少しでもいい男をゲットするために、少しでも女を磨く、と言うことだと思いますよ」
「なるほどのぅ」
「ちなみに王女様は誰と結婚するつもりですか?」
おーっとクリム王女。そこで何爆弾まいちゃっているんですか。ここに火種がいるのだからそういうことは言わないでほしいんですけど。
「未定ですよ。み・て・い!」
「何故アヤトさんが答えるんですか?」
「そ、それは頼まれたからですよ」
「へぇー。それならアヤトさんが婿になれば解決するんじゃないですか、なんて」
「………さすが王女。わかっている」
「…今の発言はどういう意味ですかアヤトさん?」
「………」
あーあ。やっちまった。もう俺知らね。
「………ん。アヤトは私の未来の旦那様。そのための花嫁修業」
「「アヤトが旦那様!!??」」
もうやだ。この後の展開が手に取るようにわかるんですけど。仕方ない。ここは戦略撤退をしよう。
「それでは報告は以上となります。失礼します。ほらイブ行くよ」
「………ねぇアヤト。まだ言ってないことが」
「な、なに言っているんだ、イブは!それより今日の夕飯はチャーハンにするからな」
「………ん。アヤトの料理、楽しみ♪」
「「………」」
よし。このままいけば戦略撤退が成功する。これで俺の平凡な生活が始まるというものだ。
「そうか。それでは次の謁見を始める。」
「さぁイブ。さっさと「まぁ待て」かえろうってなんですか?」
「さっきも言っただろう?次の謁見を始めるのだ」
「だから俺は退出するんですよ」
「次の謁見相手が退出したら、謁見なんてできないだろう?」
「なるほどってえ?」
もしかして、また俺と話をするの?
話はまだまだ続きます。