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色を司りし者  作者: 彩 豊
第1色 赤の国 第一章 暗黒色を纏いし者
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1-1-21(第25話) イブの花嫁修業

懸命な話し合いの結果、なんとかお付き合い程度で済ませることができた。魔王夫妻は、「いつでも襲っていいのだぞ」と言われた。誰が襲いますか誰が。………襲いませんよ?カナの気持ちを聞くためにカナに振ってみたところ、「………いつでも大丈夫♪」と返されてしまった。なぜこんなことになってしまったのだろうか。とうとう我慢できなくなってグランを殺したことについて聞いてみたのだが、

「確かにお前はグランを殺したが、最終的にグランとアイの無念を晴らしてもらったし、むしろ感謝しかないぞ」

と真顔で言い返されてしまった。ちなみに、アイを殺した犯人は今も生きていて、拷問を現在進行形でしているらしい。詳しい内容は聞かなかったが、とんでもないことをしているとだけ聞いた。想像したくないな。

 この話が終わり、広い廊下を歩いていると、急に袋を被らされ、手や足も縛られ連行された。袋をとられ、目の前にあるのはキッチンである。そしてまわりには先日追いかけまわされた使用人達。俺はもう嫌な予感しかしなく、


「「「ホットケーキ、作ってくれますよね???」」」


 と、顔は笑顔だが、目が笑っていなかった。俺はあきらめてホットケーキを作りまくった。そして終わったころには、朝から夜へと周りの景色が変化していた。


「ま、まじかー」


 使用人達はホクホクしていたが、俺は右腕を中心に全身に疲労が溜まりげんなりしていた。あと少しで夕食の時間になるのだが、俺は面倒くさかったので、お茶漬けを食って終わりにした。お茶漬けを食っているとき、近くに誰もいなくてよかったよ。心の底からそう思うアヤトであった。


 翌日。俺は今日、この魔国を出て、人間国に戻るのだ。わずか数日だったが、今までの思い出を振り返ってみる。

 ペルセウス、いやグランの死から始まり、魔王の誤解、人間を断罪、王女の婚約騒動、ホットケーキ騒動、魔王との一騎打ち、そして王女とのおつきあいか。なんか濃い数日を過ごしたのだな、俺は。すこし感慨深くなる俺であった。


「んじゃ、魔王夫妻。そしてイブ。俺は行くよ」

「うむ。我が国はお前をいつでも歓迎するぞ」

「そうですわ。いつでもいらしてくださいね」

「………」

「イブ?」


 どうしたのだろうか?さっきからイブの様子がおかしい。どことなくそわそわしているし。


「そういえばイブ。そろそろじゃないか、あれ」

「………ん?」

「あら。そうですわ。うふふふ」


 ………おい。なんか嫌な予感がするのだが。気のせいだと信じたい。


「「花嫁修業」」

「……ん!」

「花嫁修業?」

「なんだ。花嫁修業を知らんのか?」

「いや。このタイミングで何故その言葉が出てくるのかなと思ったんだが」

「それはですね。ウフフ♪」

「「アヤトのもとで花嫁修業させるためだ(ですわ)!!」」


 息ぴったりなのはすごいのだが、こんなことであってほしくないな。


「だいたいイブの気持ちを考えていないじゃないか。」

「イブはどうだ?」

「………ん。父様母様大好き♪」

「だそうだが?」

「………」


 忘れていた。魔国では俺の味方はいないのだと。この空気だと断れないしな。はぁー。


「よろしく、イブ」

「………ん。アヤトよろしく♪」

「では、行ってきます」

「「行ってらっしゃい!!」」


 こうして俺は魔族の王女、イブを連れて魔国を後にした。

ようやく彩人は赤の国に戻ります。

ちなみに、「彩人」と書くときは、作者目線、

その他は「アヤト」書くようにしています。

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