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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
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3-3-22(第246話) 森災の襲来戦~その1~

 日時が過ぎ、森災が襲来する当日の深夜。

「・・・ふぅ」

 俺は既に起きていた。正確には、

「おはよ、お兄ちゃん」

 ルリを始めとした6人全員が起きていた。あの寝坊助のリーフでさえ、しっかりと目覚めているのだ。ちょっと驚き。そして、

「う、うぅぅ。日の光を浴びたいです・・・」

 モミジはちょっと辛そうにしていた。そういえばモミジは木、だもんな。日の光が恋しいのだろう。光合成でもしたいのか?

 何故、みんなこの時間帯に起きているのかというと、森災がこの都市に襲来する予定の時刻が、朝日の昇り始めから1時間前後、と言われているかららしい。俺も数日前に聞いたので、それに合わせて体調を万全に整えたのだ。当然、前日深夜のネットサーフィンは行っていない。深夜にネットサーフィンをすると、翌日は眠くなるからな。

「他のみんなは大丈夫か?」

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 体調が万全じゃないのはモミジだけ、か。まぁ大丈夫か。

(みんな、やっぱり緊張しているな)

 無理もないだろう。下手すればこの都市、国が滅ぶ戦いだ。緊張しない方が、

「あ~。やっぱりお兄ちゃんが作ったホットケールは一番美味しいー!!」

 緊張しない方が…、

「…クリム、一体食事中に何をしているの?」

「これですか?これは座っているふりです。ただ黙って座っていると落ち着かないので、こうして足の筋肉を鍛えているんですよ」

 ・・・緊張しない方がおかしい、よな?7人中3人が平常運航だな。いや、1人はツッコミをしているだけだから2人か。・・・いつも通りって大事だから、問題ないか。いつも通りってことは、いつも通りの力が発揮できる状態であること、ということだ。そういうことにしておこう。

「・・・」

「!?ちょっとイブ!?足を突かないで!?あ、もうダメ~・・・」

「…♪」

 ・・・。クリムよ、強く生きれ。俺はしっかりと朝食?夜食?を食べ、

「それじゃあみんな行くぞ!」

「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」

 俺達は王城を出て、決戦の地へと向かう。


 少し歩き、ここはある平野。通称、キクジン平野。誰かがこのくすんだ黄緑色の平野を見て、こう名付けたらしい。ここであの森災とフォレロイを迎え撃つらしい。

「あ、みなさま。今日はよろしくお願いいたします」

「今日は絶対に勝ってやるわよ!」

先に来ていたカーナとエーガンに遭遇した。

「「「今日はよろしくお願いします!!!」」」

 事前に集まっていた女エルフ達がこちらに来て、わざわざ挨拶してくれた。そこまで畏まらなくてもいいのだが?だが、挨拶してくれたのだ。こちらもそれ相応に返すべきだろう。

「ああ。こちらこそよろしく頼む」

 …これだけじゃあなんか素っ気ない気がする。もう一言二言言っておくか。

「お互い、無事に生きていけるよう力を出していこう」

 こう言った後、俺は挨拶してきた女エルフの前に手を差し出す。握手のサインである。

「「「はい!!!」」」

 …手ではなく、声が返ってきた。俺のこの行き場のない手はどうすれば?普通にしまうか。

 さて、ところであいつら、ウッドピクシー達はどこにいるんだ?そういえば最近、目にしていなかったからな。どこで何をしていたのだろうか。…いた。

「おい」

「「「!!!???」」」

 全員、目を皿にした後、

「「「す、すいませんでした!!!」」」

 まさかのいきなり土下座。俺、何かした?・・・もしかして、あの時の事がよほどのトラウマになっているのか。俺、結構鬼畜な事をしでかしたんだな。

「いや、今日は女エルフ達と共にこの都市、この国を守ってくれよと話をしに…、」

「「「はい!!!全力全霊でこの命に代えても、この国を護らせていただきます!!!」」」

「いや、さすがに命をかけるのはやめてくれよ…、」

 俺だってこの戦いで死ぬつもりなんてないし。だから、他の誰かが死ぬなんて事態にはさせない。そういう意図で軽く言ったのだが、

「「「はい!命はかけずに護らせていただきます!!!はい!!!」」」

「・・・そうか。まぁ、後はカーナに任せるから、カーナの言う事には従ってくれよ?」

 本当に、本当に軽く言ったのだが、

「「「畏まりました!!!」」」

 小さい体で敬礼をされてしまった。まるで、敬意を全身で表し、無礼をなくしたかのような。・・・もう、後はカーナに任せよう。俺はそんな非人道的行為をした覚えは・・・あったなぁ。ま、ウッドピクシーの件は完全に諦めるとしよう。カーナもこいつらの事を踏まえてちゃんと作戦を練ってくれただろうし。後で自分の行動を見つめなおすとしよう。

「それでは、リーフ様方、そろそろ…、」

 このカーナの言葉により、全体の空気が張り付く。ここにいる俺達7人、緑の国の第一兵団、カーナ、エーガン、ウッドピクシー達。それぞれが、

「「「・・・」」」

 3人を見つめる。

 見つめられた3人は言葉を発さず、

「・・・」

「「・・・」」

 視線だけで会話を成立させているかのような間が空き、

「「「・・・!!!」」」

 3人は魔力を集中し始める。

 この魔力の集約始めが、この戦いの始まりの合図となった。

「第一兵団のみなさん、定位置についてください」

「「「はい!!!」」」

 リーフ、クリム、イブの3人が魔力を集めている間、カーナは第一兵団に指示を送っている。

「私、みんなにそろそろ戦いが始まること、知らせてくるわね」

「ええ、よろしくね」

「分かっているわ」

 エーガンはそろそろ戦いが始まることをこの都市に住んでいる女エルフ達全員に知らせてくるらしい。

「モミジ様も配置についてください」

「分かりました」

 この作戦はカーナ主導の元動いている。だからみんな、カーナの言う事に従っている。従って、モミジは作戦通りに動く。

「・・・」

 モミジが何かこっちを見ていたので、

(モミジ、頼りにしているからな)

 俺がそう視線で訴える。まぁ、あくまで視線で言っているだけな上、自己満足でしかないので、モミジに伝わっていないと思うけど。

「・・・」

 すると、モミジは俺の方を向いたまま、一回うなずき、そのまま移動していった。何か口を動かしていたけど、何を言っていたのだろうか。気になるけど気にしないでおこう。これでこの国の最終防衛ラインは完璧だ。モミジ一人に任せたのは酷だが、緑の国の市民、他の兵団の人達も都市の守護についていることだし、大丈夫だろう。

「モミジお姉ちゃん、大丈夫かなぁ…」

 ここでなんと!あの能天気で有名なルリがモミジの事を心配していた。いつもは大丈夫~♪とか言いそうなのに、だ!今日はもしかしたら、何か悪い事が起きるかもしれない。

「ルリ様、大丈夫ですよ」

 ここでクロミルがフォローにまわる。

「モミジ様には多くのエルフの方々がついています。なので大丈夫でしょう。それに、」

「それに?」

「モミジ様のところまで来ないよう、私達が頑張ればいいだけの事です」

「…うん、そうだよね。ルリ、頑張るよ!」

 少し迷っていたものの、ルリにいつもどおりの笑顔が戻る。ルリには常に笑顔でいてほしいな。難しいと思うけど、俺が頑張らなくちゃな。

「森災及び、フォレロイを確認!来ます!!」

「「「!!!???」」」

 そう誰かが言った後、俺達の視界の端に複数の影が見え始める。

「来た、みたいですね」

 そのカーナの発言に、

「だな」

 俺は賛同した。

 ついに、ついに来たのか。だが、絶対に負けない。負けないし、誰も死なせない!

(覚悟しろよ!)

 歯をしっかりと噛み合わせ、気合を入れなおした。

『3-3-23(第247話) 森災の襲来戦~その2~』

 リーフ、クリム、イブの3人は、大事な初撃のため、入念に魔力を混ぜ合わせる。十分に時間をとり、そして、放つ。この攻撃が、森災との闘いの幕開けとなる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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