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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
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3-3-16(第240話) 森災対策会議~その1~

 話し合いを終え、女エルフやイブ、クリム達に周囲の状況の確認をしてもらった。

 何でも、森災がこの都市、シンペキに到着するのは七日、一週間前後らしい。

 そして次に、このウッドピクシー達がどういった技、魔法を使えるのか説明してもらったところ、

「私、色んな風を吹かせる事が出来ます。そして、風を濃縮させて相手を殴る事が出来ます」

 …風を濃縮させてって、風じゃなくて空気じゃないのか?そんな突っ込みは今、しないでおこう。それにしてもウッドピクシー達は空気を扱った攻撃が可能、ということか。俺もこの機会に、どういった類の魔法が使えるのか把握しておこう。それにしても、あの森災相手に毒は効くのだろうか。効くのであれば、俺の【毒霧】、もしくは【毒玉】で終わらせたいところだ。それをウッドピクシーに聞いてみたところ、

「せ、世界樹様には、根本的に人間とは異なる構造をしています。なので…、」

 当然といえば当然か。そういえば前、あの世界樹の動きを鈍らせるために【土壌汚染】という俺だけのオリジナル魔法を使ったんだっけ。あの魔法もある意味では毒なんだよな。それを植物に効くよう改良したな。俺だけのオリジナル魔法と言ったが、もしかしたら他にも同じような魔法を使える奴がいるかもしれない。

「なぁ?植物にも効く毒を作れる奴はこの国にいるか?いるならそいつに毒を作ってもらって森災にぶっかけて倒せると思うんだが?」

 俺はカーナに話を振る。

「…全国民がどのような色魔法に適性を持っているのか把握し切れていないので一概には言えませんが、私が覚えている限りではいなかったかと思います」

「そうか」

「ちなみに、私達エルフは緑魔法に適性を持つことが多く、他の色魔法に適性を持つことはあまりありません」

 と、カーナは申し訳なさそうに言ってきた。

「いや。別に適性が無ければないでいい。こっちこそ変な事を聞いて悪かった」

「いえ。アヤト様のご期待に沿えず、申し訳ありません」

 と、綺麗な所作で俺に頭を下げてくれた。別に下げなくてもよかったのにと思ったが、これはこれでまた…。

「「「・・・」」」

 おっと。リーフ達が何やら冷たい視線をこちらに向けているようだ。

「こほん。それでは話を続行するぞ?」

「「「・・・はい」」」

 三人とも納得いっていないようだが、無理にでも納得してもらうとしよう。

「それで、今回敵となったフォレードはどれくらいいるんだ?」

「私が見た限りですと・・・20体ぐらいはいたかと」

「…私も見てきたから間違いない」

「そうか」

 敵の数はフォレードを含めた21体。いや、謎のパラサイダーを含め、22体か。

「今はフォレードではなくフォレロイ、ですけどね」

 ちょっと小さめの声でウッドピクシーが訂正してきた。

「それは悪いな。フォレードじゃなくてフォレロイ、か」

 まだ少しごちゃごちゃしているんだよな。少し整理しておくべき必要があるかもしれないな。

「ところで、本当に倒す以外、フォレロイ、世界樹を元に戻す方法は無いのか?」

 俺はリーフに聞く

「はい。パラサイダーは一度寄生されたが最後、パラサイダーを倒すか寄生された対象、今回は世界樹を倒すしか方法がありません。ま、普通のパラサイダーであれば、の話ですけど」

 そうなのか。というか、さすがはリーフ。魔獣の知識についてはピカイチだな。

「それにしてもパラサイダーなんてよく知っていたな」

「はい。これでも結構長い間、ギルド職員として数多くの魔獣を見てきましたから。どうやって魔獣を倒してきたのか、という自慢話も数多く聞いてきましたからね」

「そうなのか。さすがだな」

「いや~。職業上覚えていただけです」

 俺がリーフを褒めていると、

「・・・なんか、リーフだけ褒めるなんてずるいです」

「…ん。私達もあの世界樹の偵察に足を延ばしたのに…」

 何故かクリム、イブは拗ねてしまった。

「もちろん、森災の様子を見に行ってくれたクリム、イブにも感謝しているよ、ありがとう」

 俺がそう言った瞬間、

「えへ、えへへ」

「…ん」

 二人とも照れた。やば、ちょっと可愛いと思ってしまった。

「それで、フォレードの観点からみて、世界樹と戦わずに元に戻す方法はあるのか?」

 俺はウッドピクシーに聞く。

「…分かりません。少なくとも今回は異例の事態が何回も続いたため、全く見当がつきません」

「異例の事態って?」

「はい。今回はアヤト様との戦いと何者かによる介入。この2つが、私が先ほど言った異例の事態です」

「そ、そうか」

 二つのうち一つは完全に俺のせいかよ。改めて聞いてみると、俺がどうにかしないと、という気持ちが湧いてくる。それに、もう一つはおそらく、

(ヌル一族か)

 前、メイキンジャー・ヌルと戦っていた時、そいつの親玉、セントミアさんに会ったな。あいつが今回もパラサイダーを通して関わっているというのか?それとも、単なる偶然か?この出来事を単なる偶然と割り切るにはあまりにも楽観視し過ぎる気がするが…、

「?アヤト様?どうかなさいましたか?」

「…ん?い、いや。何でもないぞ、何でも」

 しまった。ちょっと考えが横道に逸れてしまったみたいだ。考えを正常な道へと戻さないと。

「つまり、奴らを元に戻すには、奴らを倒すしか方法が無い、そういうことだな?」

 俺は確認のため、はっきりとした声でリーフに問う。

「はい」

「そうか」

 さて、これでこの国を守るためには、森災となったあの世界樹を倒すしかなさそうだな。となれば次は、

「それじゃあ次は、あの森災となった世界樹をどうやって倒すかを話し合うか」

 俺のその問いかけに、

「「「はい」」」

 カーナ、エーガン、タンカ、ウッドピクシー達は返答を返してくれたが、

「「「・・・」」」

 イブ、クリム、リーフは返答しなかった。

「?どうした?何か見落としがあったか?」

 今のところ、何も話し忘れていたことはないと思うのだが。肝心の倒し方についてはこれから話し合う予定だし、問題ないと思うのだが。

「そうですね。そろそろ呼び戻した方がいいんじゃないかと」

「ん?誰をだ?」

 呼び戻す?一体誰を?

「もしかして、心当たりがないと?」

「ないな」

 心当たり?一体何を言っているんだ?

「…本当にないの?」

「?ないが?」

 クリムもイブも一体誰の事を言っているんだ?

「もしかしなくとも、ルリちゃんやクロミルちゃん、モミジちゃんのこと、完全に忘れているわよね?」

「・・・あ」

 俺が府抜けた発言をしてしまった瞬間、

「「「・・・」」」

 またも3人から冷たい視線をいただいた。

 そ、そういえばルリ達のこと、すっかり忘れていたな。醜い大人の事情交わる会話に介入させるわけにはいかない、その一心でルリ達を追い出し、退室させたんだったな。

「た、確かに!これから襲来してくる森災を撃退するためにもルリ達の力は必要になってくるな!さすがはリーフ!いい名案を出してくれてありがとう!」

 俺は爽やかな笑顔をリーフに向ける。

「忘れていたんですね?」

「い、いや、忘れてなんか…、」

「忘れていなければ、私達が説いた時に答えるはずです。そうよね、イブ?」

「…ん。もしかしなくとも、アヤトはルリ達の事を忘れていた」

「いや、本当なんだ!俺はルリ達の事を忘れて…!」

 言葉を最後まで言い切ろうとしたが、三人の不可視な圧力に思わず、

「…もしかしたら、忘れていたかも、しれない、な」

 嫌々認めることにした。まぁ、俺も人間だ。一つくらい忘れることだってあるさ。そう割り切ろう。うん。

「それじゃあ今からルリちゃん達を呼びに行きましょう。ルリちゃん達がいた方が作戦も立てやすいし、いいですよね?」

 リーフが全員に聞いた。俺も問題無かったので了承した。

「「「・・・」」」

「?どうしたんだ?ルリ達を呼ぶ事何か問題でもあるのか?」

 正直、戦闘に関しては、俺もルリ達とは敵対したくないんだよな。俺お得意の【毒霧】も効かなさそうだし、素の身体能力なんか、人間と比べることがおこがましくかんじてしまうくらいすごいからな。あいつら、結構チートな気がする。俺が言えた義理ではないが。

「力や能力に関しては安心してくれ。ここにいる全員が一目置いているからな」

 俺は確認のため、リーフ達、カーナ達を見てみる。全員ルリ達の力をよく知っているからか、力強く頷いてくれた。

「えっと・・・。毒を食べさせるような人でなければいい、です」

 このウッドピクシーの言葉に、他のウッドピクシー達が激しく頷いていた。

「「「「「「・・・」」」」」」

 この場にいる全員が、俺を見ていた。どうやらウッドピクシー達にとって、【毒玉】を食べさせられた事が大きなトラウマになったそうです。俺の外道な行いのせいですみません。


 リーフがルリ達を呼んできてくれた。道中、簡単に説明してくれたのか、入室早々、

「それで、ルリは一体どいつをぶん殴ればいいの?」

 と、発言がかなりぶっ飛んでいた。リーフはきちんと説明したと思うから、ルリが話を曲解して聞いていたのかもしれないな。クロミルはウッドピクシーを視界に入れた瞬間、尻尾の先の毛が逆立ったが、すぐに戻った。モミジはというと、元同胞を視界に入れた瞬間、

「す、すみません…」

 すぐに俺の背に隠れた。何この生き物?メッチャ可愛いんですけど。モミジは本気でウッドピクシー達に怖がっていそうなので声に出して言うのは辞めておこう。そして、これまでの経緯は簡単に言い、3人に協力を要請した。

「もっちのろんでいいよ~♪」

 と、気持ち的に軽い返事をするルリ。

「ご主人様の命に私は従います」

 堅苦しく言葉を発するクロミル。

「あ、あの、頑張らせていただきます」

 声が震えつつもしっかりと協力してくれる発言をしてくれたモミジ。

 よし。これでこちらの戦力も確保したな。

「それじゃあこれから、森災に対抗するための作戦会議を始めましょう」

 このカーナの発言に、

「「「はい!!!」」」

 全員が息を合わせて発言する。

 さて、あいつらを倒すためにはどうすればいいのかね。

『3-3-17(第241話) 森災対策会議~その2~』

 彩人達はルリ、クロミル、モミジの3人を加え、森災対策会議を続行する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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