3-3-12(第236話) 依頼遂行後の合流
その後、モミジ達と合流しようとその辺を、
「ん~♪美味しい~♪」
焼き茸もどきを食べながら探していた。この焼き茸もどきは、屋台で売られていたのだが、俺が、
「それ、三つください」
と言うと、
「はい!あ、アヤト様であれば、いくら食べても無料ですよ!いくらでも食べてくださいね!」
と、何故か無料にさせられそうになったので、俺は問答無用でお金を払った。たく、この国の女エルフ達は一体どうなってんだ?そんなにすごいことしたのか?…したな。国のトップを思いっきりぶん殴ってやったな。日本で言うなら…天皇とか総理大臣とか、そのあたりをぶん殴ったことに等しいだろう。俺、結構やばいことしていたんだな。あの時は結構頭に血が上り、正常な判断が出来なくなってしまったのかもな。このことに関しては深く考えないようにしよう。
それにしてもこの焼き茸もどき、美味いな。食感はシイタケに近いが、何故だかこの茸もどきから汁?水?それとも出汁?みたいなものがあふれてきた。これ、本当に野菜か?肉なんじゃないかと勘違いしてしまうくらいジューシーなんだが?この緑の国にも、こんな美味い茸もどきが生えていたんだな。これを食べれば、世界中の茸嫌いの人達も、茸が食えるようになるかもな。
(さて、他の4人を探さないとな)
ちなみに、ギルドに寄ったので、リーフとは既に合流している。
確か今日の予定は聞いていたはず。ここからだと…確かモミジとクロミルが近いな。
「あ!モミジお姉ちゃんとクロミルお姉ちゃん!」
お。さっそくルリは二人を見つけたみたいだ。
「ルリちゃんにアヤトさん。お疲れ様です」
と言いながら、モミジは走っていったルリを優しく受け止める。
「ルリ様にご主人様。今日のお勤めご苦労様です」
…なんだろう。クロミル自身、労いのつもりで言ったのかもしれないが、なんだかおつとめと聞くと、俺が罪人みたいな気分になる。きっと、俺が性根の腐った屑だから、なんだろうな。
「そっちこそお疲れさん。それで、そっちはどうだ?」
「はい。幸い、軽症の方がほとんどでしたので、治すこと自体はそこまで苦労しませんでした」
「私の白魔法が役に立ってよかったです」
モミジとクロミルは、ケガした住人を治していたらしい。そういえば、白魔法を使える人ってかなり珍しいんだっけ?モミジもケガを治療する手段を持ち合わせていたんだな。そうえいば、俺のケガもモミジが治してくれたんだったな。
「俺はそろそろ戻るつもりだが、どうする?」
俺は二人に帰るかどうかの確認をとる。ま、このまま治療を続けてもいいし、一緒に帰るのもよしだ。
「ちょうど治療を終えたところですし、一緒に戻ります」
「私はもちろん、ご主人様とともに行かせていただきます」
「うん!」
こうして、モミジとクロミルが付いてきた。
今俺達は、王城に向かって歩いている。門番には既に俺達の顔がわれているため、
「ご苦労様です!」
顔パスで通過できる。俺、結構有名人?ボッチとは無縁の言葉をこの身で再現できる日がこようとは。俺もそれなりに成長したものだ。ボッチなのに。
王城のある広場。そこでは、
「「「はあああぁぁぁ!!!」」」
「・・・」
兵士とある少女が戦っていた。その少女は、襲い掛かってくる兵士達の攻撃に対し、全てカウンター一発でノックアウトさせていった。兵士達の方は武装しているのだが、武装していても一発で倒すとは。さすがだな。
「あ、アヤト!」
その少女、クリムは俺達の存在に気づき、こっちに走ってきた。あんな戦いを見た後なのに、なんだか愛おしく感じてしまうのは気のせいだろうか。好きだから、かもしれないな。・・・すいません。なんかきもくてすみません。
「…アヤト?どうかした?」
「!?い、いやぁ!何でもないぞ?」
誰に謝っているのか不明な謝罪はともかく、現実に戻ってこよう。
「?そうですか?それで一体どのような用ですか?はっ!?さては、私と一緒に汗を流そうと…!?」
「うん。そんなことは一切ないからな。もうそろそろ日が落ちるから声をかけただけだ」
まったく。何が悲しくて夕方から全力でクリムと一対一で闘わなくちゃいけないんだか。
「そうなんですか。アヤトとも手を合わせてみたかったのですが残念です」
何故そこまで悲壮感丸出しに出来るのか。本当にクリムは脳筋というか活発過ぎというか…。
「そういえば、イブはどこにいるんだ?」
「あの食欲お化けですか?それでしたら確か、玉座の間の隣の会議室で何かや話をしていましたよ。今年度の予算とか、何やら難しい話をしていたので、詳細は知りませんけど」
・・・仮にもクリムって王族だよな?王族が、国家予算の話を難しくて理解できない、とか言っておいて大丈夫なのだろうか?最低限の知識を身に着ける必要があると思うのだが。赤の国の未来は真っ暗だな。
「それじゃあイブの様子を見ていくか。クリムはどうする?」
「そうですね・・・。あの食欲お化けを驚かせる絶好の機会かもしれません。一緒に行きましょう」
「やった!後イブお姉ちゃんが揃えば全員集まるね!」
「だな」
ルリの無邪気な感情に、俺達全員は思わず口が緩んでしまった。かつての俺にもあった感情だ。俺は小さい時は無邪気なものだったな。おっと。少し昔を思い出してしまった。といっても、ゲームを無邪気に楽しんでいた記憶しか思い出せないんだけどな。友達と遊んでいたことはもちろん、友達がいた記憶なんて存在していない。まったく悲しい昔だこと。
「それじゃあ、イブのところに行くか」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
ルリ、クロミル、モミジ、リーフ、クリムが返事をし、俺達は王城内部へと足を進ませる。
王城内部。クリムの発言を頼りに玉座の間、の隣にある扉に手をかけ、入室する。
「やはり、この緑の国に多数のエルフ達が来たことにより、食糧が不足気味でありますね」
「…ん。それに人手不足も所々目立っている。そこも解消すべき要素」
「なるほどね。となると、この空き地を利用して…、」
俺にはチンプンカンプンな話がこの場を支配していた。
「・・・あ、あの。アヤトさんはイブさん達が話している内容、分かります?」
「俺には全く分からんな」
確かにモミジの言う通り、イブ達が何の話をしているのか不明だ。俺の頭が痛すぎるのが原因か。
「ですよねー。あんな話が出来るなんてどうかしています」
いや。クリムはある程度分かっておけよ。あなた、王女様でしょう?
「ねぇねぇお兄ちゃん。ルリ、お腹空いたー」
こんな中、ルリは本当に空気を読まないというか読めないというか…さすがって感じだ。
「ということは…、」
「ふむふむ、なるほど」
一方、クロミルとリーフは真剣な目つきで何か考え込んでいた。一体何がということはで、ふむふむなるほど、になるのか皆目見当もつかん。
「…ん?何でアヤト達がここにいるの?」
「あ、アヤト様。本日はどのような用件でこの場にいらしたのですか?」
「は?なんであんたらがここにいるのよ?」
ここでようやく俺達の存在に気づいたらしく、視線をこちらに向けてきた。そういえば、勝手に入ってしまったな。一応、部屋前にいる兵士には許可を取ったのだが、気分を害してしまったかもしれないな。
「あ~・・・。なんかすまん。邪魔しちまったみたいだな」
こっそり話しかけるつもりだったが、かえって邪魔になってしまったみたいだな。
「それじゃあ俺達はもう出るよ」
俺の言葉を合図に全員が会釈し、会議室を後にしようとした。
「…待って」
イブの掛け声により、俺は歩みを止める。
「?どうした?」
「…後は明日でいい?」
「そうですね。後はこちらで簡単にまとめて、明日からはこの案でしばらくやってみようかと思います」
「そうね」
「…行こう、アヤト」
なんかよく分からないが、一緒に戻れることになったらしい。これで久々に全員集まったな。
「分かった。それじゃあイブは連れていくぞ?」
さっき本人の意向も確認がとれたが、一応カーナ、エーガンにも確認をとっておく。
「問題ありません。後はこちらにお任せください」
「別にいいわ。後はこっちで出来るわ」
なるほど、イブなりに貢献できた、というわけか。
「そうか。それじゃあまた後でな」
「バイバーイ」
さて、イブも合流できたことだし、
「これから夕飯食べに、どっか行くか?」
俺のこの提案に、
「「「「「「賛成!!!!!!」」」」」」
全員賛成らしい。
さて、今日はどこへ食べに行こうか?俺は楽しみにしながら、王城の外へと向かう。
俺達は外で美味しいご飯を食べ、そのまま近くの宿で宿泊した。そういえば、こうして宿で寝るの、あの町、ロウカン以来だな。ここ数日宿に泊まっていたが、やはりみんなで泊まった方が、
「「「「「「zzz」」」」」」
風情があるな。こういう時もあろうかと、大部屋を取っておいて正解だな。みんなの寝顔が見られたからな。それにしても、
(襲いたくなる寝顔だ。もちろん、性的に、な)
と、内心かっこつけてみたはものの、考えていることはただの変態だな。仕方がないじゃないか。だって、男の子だもん♪・・・どうでもいいことを考えていたな。みんなの寝顔は十分に堪能したし、もう寝るとしよう。ネットサーフィンはまた後日、ということで。
(お休み。)
俺はこの平穏を良好と受け取り、楽園へと向かっていった。何もかもが思い通りとなる世界へと。
『3-3-13(第237話) タンカ来訪』
みんなで一夜を過ごした後、彩人達は美味しい朝食を食べ始める。その後、タンカが、彩人達が利用している宿に来訪する。タンカから切り出された話は、シンペキの門付近で起きているあることに関することであった。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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