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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
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3-3-9(第233話) 女エルフ達との祝杯

 あれから俺は、あんなことやそんなことをやられ、その後はつい寝過ごしてしまったらしい。その後の記憶があまりないな。俺は一体何をされたのだろうか?…ま、考えるだけ無駄だな。

 そして俺達は、

「さて、これから準備を始めるぞ?」

「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」

 祝杯の準備をし始めていた。

 この祝杯というのは、この緑の国の脅威を蹴散らしたお祝いだ。みんな、この緑の国の復興に尽力を注いでいたため、こういった…お祝い事?をする暇がなかったらしい。その際、ルリが、

「じゃあルリ達に任せてよ!お兄ちゃんと一緒に作ったチーズケーキもあるし!」

 と、俺の意見を聞かずにOKしてしまったらしい。なんとも迷惑な話だ。だが、俺自身が約束していた手前、無下に断るわけにもいかないしな。とはいえ、準備とは具体的には何をすればいいのだろうか。チーズケーキだけ用意する、なんてわけにはいかないだろうな。とにかく、俺達7人は祝杯の準備をしていった。

「リーフ。今回戦った女エルフ達全員参加する、でいいんだな?」

「はい。イブを連れてカーナと話し合いをしてきました」

「…ん。予定バッチリ♪」

「それで、クリムの方は?」

「はい。実は何人かが緑の国に伝わる伝統的な踊り?舞?そういったものを披露してくれるらしいです」

「分かった」

 女エルフ達の出し物、といったところか。楽しみだな。出来れば全裸で…、おっと。つい願望が口から漏れ出そうになってしまった。いけない、いけない。

「それでルリの方は?」

「うん!何人かが歌を歌ってくれるみたい!」

「へぇ~。そういうのもあるのか」

「何か、精霊だっけ?そういったものに捧げる?歌を歌ってくれるらしいよ~」

「分かった」

 さらに歌まで歌ってくれるのか。歴史や伝統を感じられそうだ。俺のアニソンコレクションなんか、誰一人分かってくれそうにないからな。

「クロミル、モミジは疲れていないか?」

「いえ。私は全然問題ありません」

「私も、まだまだ頑張ります!」

「よし!みんなたくさん食べるからな!まだまだ作るぞ!」

「「はい!!」」

 こうして俺達は、女エルフ達を含めた多数で祝杯をあげるため、俺達は料理に奮闘する。


 日は随分と動き、沈み始めた頃、

「それじゃあ、女エルフ達の無事を祝って、乾杯!」

「「「かんぱ~~~い!!!」」」

 王城の中。女エルフ達を含めた俺達は祝杯を上げ始めていた。大きなテーブルの上には、これでもかと大きな皿に料理が山盛りを超えた…上空盛り、とでも言えばよいのだろうか。どうやって皿に盛ったんだと聞きたくなるような量がテーブル上を支配している。俺はデザートしか携わっていないが、他の料理は女エルフ達、リーフ達も手伝ってくれたらしい。大きな肉の塊。大きな皿に盛ったサラダ。鍋を数個使ってのスープ。どれも美味しそうだ。

この大きな肉の塊は何の肉だ?鳥、にしては大き過ぎるし、それ以上大きいとなると、猪とか熊とか、まさか魚か?…いや、そんなことはないか。獣肉にしては匂いがまったくしないのも気になるな。ミントみたいな葉と焼いたり炒ったりしたのだろうか。それにあのテカリ。絶対にあの肉は美味いだろうな。

 この大皿に盛っているサラダも、何の野菜が使われているのだろうか?キャベツっぽい野菜もあるが、この紫の野菜は確か…。後、この金色の野菜は何!?最初は黄色かと思ったのだが、よくよく見てみると金色に輝いていた。金箔、みたいなものだろうか。さらにドレッシングみたいなものもかけられている。このドレッシング、色が鮮やかな緑だな。変に濃かったり、どす黒くなかったりしていて、綺麗な色だ。緑の国ならではのドレッシングなのだろうか。

 鍋に入れられているスープは数種類あるな。野菜が数多く入っているスープと、スープだけだがとても澄んでいるスープ、肉がゴロゴロと入っているスープと、どれも特色あるスープだ。野菜が数多く入っているスープを見ると、何故だかちゃんぽんを思い出す。そういえば、このスープに麺を入れたらちゃんぽんになるんじゃないか?このひたすらに澄んでいるスープは本当によく澄んでいる。鍋底まで見えるくらい澄んでいるのだ。相当手間暇かけたんだろうな。この肉がゴロゴロ入っているスープは、男が喜びそうなボリュームのあるメニューだ。ゴロゴロ入っているとはいえ、一口サイズなため、女の人でも食べやすいサイズになっているだろう。

 いずれのメニューもとても美味しそうだ。いつの間にあんな量を作ったのだろうか。そういえば、

「なぁ?」

「…ん?」

「俺の料理って、いつ出したらいいんだ?」

 見たところ、俺の料理を出そうにも、置くスペースが無さそうだ。

「…ほとんど無くなったら、でいいと思う」

「そうか。分かった」

 俺はイブからアドバイスをいただき、食事を再開する。

「いえーい♪」

 ルリは楽しそうだ。子供エルフ達と談笑したり、一緒に合唱したりしているな。

(あいつはもう、独りじゃないんだな)

 なんか、一人娘の成長を嬉しくも悲しくなってしまう父親の気分だ。このままルリがここに残りたいと言えば、俺は迷わず置いていくのが、正しい判断なのだろうな。ま、イフ、の話だけどな。クロミルは…、

「うわー。ほんとに牛人族ですー」

「この尻尾、かなり手入れが行き届いています。とても綺麗」

「この筋肉もなかなかですね」

 …なんか、女エルフ達に囲まれているな。色々な体の部位を触られ、評価されているな。…最後の奴は、きっとクリムと話が合うだろうな。

「…あの、本当に私がいていいんでしょうか?」

「ん?そんなの当たり前だろう?」

「…ん」

「あ、ありがとうございます」

 モミジは俺の近くにやってきた。モミジ、さっきまで女エルフ達に謝罪されたり、尊敬の意を示されたりと、心境大変な時間だったのだろう。心的負担に耐えられず、俺の近くに来た、というところか。ま、ボッチの慧眼が間違っていなければ、の話だがな。…なんで俺はこう自虐を挟むのだろうか。年寄りがオヤジギャグを言うのと同じ原理なのか?

「クリムは…、何やっているの?」

 何か、女エルフ達と一緒に話をしていたかと思えば、踊っていた。それに、いつも着ている服とは異なる服を着ていた。何か、他の女エルフ達と似たような服を着ているような…?

「あれってもしかして…?」

「リーフ、何か心当たりがあるのか?」

「はい。緑の国に伝わる伝統的な舞踊です。こういった歓迎の場にて踊られることがあります」

「へぇ~」

 確かに、踊りやすそうな装いではある、と思う。確か、踊り子だったか?そういった服装に近い。だが、服の色は緑を基調としている。俺がイメージしていた踊り子の衣装は紫だったから、ちょっと新鮮に感じる。

(というか、クリムって、この国の舞踊、踊ることが出来たんだ)

 何気にクリムのスペックって高いよな。脳筋だけど、装備について深い知識もあるし、すぐに舞踊を習得する辺り、運動神経も高いのだろう。俺なんか、勉強はもちろんの事、運動もろくに出来なかったというのに。なんだか疎外感を覚えてしまうな。クリムだけは同志だと思っていたのに。同じ勉強嫌いの仲間として!それなのに、あんな隠れた才能を開花させるなんてずるい!俺も隠れた才能を開花させたい!…駄々をこねていてもしょうがないので、ここは大人しく諦めることとしよう。

(それにしても、賑やかだな)

 地球にいれば間違いなく体験できなかったことだろうな。こんな賑やかな話声が聞こえ、歌も聞くことが出来、踊りも見ることが出来る。なんだか夢見心地だ。こんな幸せな事が目の前に起きている。そんなことを実感することが出来る。そんなひと時だ。

「…アヤト、アヤト」

「ん?なんだ?」

 いつの間にかみんな、俺を見ているような…?

「…そろそろ、チーズケーキ、出そう?」

「だな」

 大皿を用意してもらい、

「さて、いよいよチーズケーキ様をお出しするとしよう」

 さぁ、期待を膨らませたチーズケーキをご賞味あれ!

『3-3-10(第234話) 祝杯を終えて』

 一夜限りの祝杯を終え、みんなは幸せそうな顔を晒す。そんな幸せ事の裏で、事態はゆっくりと未知の方向へと進んでいく。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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