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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
233/546

3-3-8(第232話) チーズケーキ作り後のみんな

 さらに日が経ち、

「アヤト、遅いですね」

「…ん。もしかして、何かあった、とか?」

「何かって?」

 そんな問いあいをしているなかに、

「それは…何でしょうか?」

「なんだか、怖いです…」

 リーフ、モミジまで参戦する。モミジに至っては、見知らぬものに恐怖し始めていた。

「大丈夫だよ!なんて言ったってお兄ちゃんだもん!ね、クロミルお姉ちゃん?」

「そうですね。私のご主人様でもありますから」

 一方で、ルリとクロミルは、彩人が無事であることを確信していた。根拠は何もないが、それでも信じていた。

「ですが、どうしてあれから丸二日も、あの厨房から出てこないのですか?」

 と、モミジは見えている厨房を指さす。そこには、

“進入禁止!!!”

 と書かれている大きな紙が貼ってあった。その紙に従い、六人は厨房に入らなかったのだが、モミジとリーフが彩人と調理をしてから2日経過している。その間、厨房から何も音が聞こえないのだ。最初は偶然か?と考えていた六人だが、時間が経つにつれ、その不安が大きくなっていき、

「あ、あの~…。アヤトさん、遅くないですか?」

 このモミジの言葉をきっかけに、また六人が集結したのだ。

 その間、六人は別々のことをやり、緑の国に貢献していた。

 

 まずはクリム。

 クリムは、首都全域に渡り、さきの戦いででてきたゴミを廃棄していた。このゴミは、首都の外へと持ち出され、クリムの赤間法で跡形もなく燃やし尽くした。また、自衛団に対し、特訓という名の模擬戦を行っていた。クリムは1対複数の模擬戦を行い、戦い方に関するアドバイスを自衛団にしていた。もちろん、クリムが1の方である。

 イブはというと、今後の国の在り方について、カーナと詳しく打ち合わせしていた。今まで女王になるために身に着けた教養を元に、カーナと情報をすり合わせ、この緑の国での最適な環境や施設等、社会基盤についての話をしていた。その間、大量のホットケーキを食べながら話していたが、カーナはそんなことを一切気にせず、事務的な話を続行した。

 リーフはというと、ギルドの再建に動いていた。壊れてしまった建物を女エルフ、モミジと共に直した。そして、建物が直ると次に、冒険者を登録させることとなった。ここで、冒険者志望の女エルフを数名、冒険者として登録させ、依頼を受けさせた。依頼内容は主に、壊れた建物の再建、食料の確保、魔獣討伐、王都の周辺調査等、様々である。時々、冒険者として登録していたリーフも、王都周辺に異常がないか調査をしていた。

 ルリは、子供エルフ達の遊び相手になっていた。さすがはルリ、といったところだろうか。無限に近い体力を持ってして子供と遊んでいるため、子供の方がばてているほどである。また、冷蔵すべき食品を冷やすため、氷を出したり、体を洗うために必要な水をだしたりしていた。

 クロミルはというと、怪我していた女エルフ達、重傷な女エルフ達を癒すため、古今東西走り回っていた。そして、他六人のサポートを兼任していた。ここ数日、もっとも忙しかったのは間違いなくクロミルだっただろう。

 モミジはというと、女エルフ達とともにギルドを建て直すとともに、数多くの建物を修繕を行っていた。

 そんなわけで、六人は緑の国再建をそれぞれの方法で貢献していたのだ。そんなことをしている間、当のあいつは何をしているのかというと、

「それで、この数日、お兄ちゃんを見た人、いる?」

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 現在ここにいる六人には知りえないことだった。なので、最近まで一緒にいた厨房に六人は集合したのだ。

「じゃ、じゃあ、開けますよ?」

「「「「「「((((((こくり))))))」」」」」」

 全員が首を縦に振ることをきっかけに、モミジはゆっくりと扉を開ける。

 そこには、

「・・・」

 若干白に近い透明な四角形に囲まれ、横になっているアヤトがいた。

「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」

 六人は目を見開き、近くに駆け寄ろうとするが、アヤトが設置したであろう【結界】にある程度の行動を阻害されてしまう。だが、

「邪魔」

 ルリの一言と拳で、【結界】は決壊し、音が聞こえ始める。その音は、

「ふが~。ふが~。ふげ~・・・」

 アヤトが、寝息をたてて寝ている音であった。

「「「「「「はぁ~~~・・・」」」」」」

 その寝息に、六人は安心しきった声を口から漏らす。

 そして、

「お兄ちゃん!」

 ルリはアヤトに飛びつく。その飛びつきにより、

「ひでぶぅ!??」

 アヤトの意識は強制的に覚醒する。


「んあ?おえ、なんか激しい痛みが…あれ?」

 確かあれから・・・何だっけ?確か、新しいチーズケーキを試作してそのまま・・・そのまま?ああ、寝ていたのか。寝ていたから記憶が曖昧なのか。

「良かった~♪お兄ちゃんが無事で♪」

「んっと、ルリ?それに、みんなも!?」

 なんで厨房に全員集合しているんだ?ここで喜劇でもしてくれるのか?そんな訳ないか。だとしたら一体…?

「よ、よかったです~」

「ご主人様。こんなところで寝ていたらお風邪をひいてしまいます」

「体の方は大丈夫ですか?」

「…こんなところで寝るなんて…、」

「一体、何をしていたの?」

 何故か、質問総攻撃を受けてしまった。俺、そんなに長期間寝ていたのか?でも、一体どれほど寝ていたのだろうか?ま、そんなことは後回しにしよう。まずはリーフの質問に答えるとするか。ここで一体何をしていたのか、か。何をって、厨房でやることは一つしかないと思うのだが…。

「それはもちろん、料理だが?」

 というか、みんなも料理していたわけだし、聞かなくても分かることなんじゃないのか?

「え?三日も、ですか?」

「え?」

 三日?・・・あ、そうか。

 ベイクドチーズケーキ、スフレチーズケーキ、レアチーズケーキ。一日一種類のチーズケーキを大量に作ったからな。計三日。なるほど。

「そうだぞ。何より、お前らも一緒に作ったじゃないか?」

「「「「「「・・・え??????」」」」」」

「え?」

 なんだそのえ、は。俺が何かしたのか。何かした記憶は…ああ。独りで新作チーズケーキを作っていたな。もしかして、それのことか?でも、あれからすぐに寝て今に至るわけだし、それはないな。

「…もしかしてアヤト、気づいていないの?」

「?何がだ?」

 俺がいかにボッチであることか。それはもう、神が認めるくらいには…。

「アヤトさん。私とチーズケーキを作ってから、もう三日経っていますよ?」

「え?・・・え?」

 確か、モミジと一緒に作ったのはレアチーズケーキ。でもあれは昨日作ったはず。だが、モミジが言うには、あれを作ったのは三日前だという。これは・・・どっちが正しいんだ?言っている様子から、モミジが嘘言っている訳はなさそうだし、他のみんなも同意している感じだ。まさか、四面楚歌か。この矛盾を確認するには、

「今日は何日?」

 と、イブに確認してみたところ、確かに、レアチーズケーキを作ってから三日が過ぎていた。あ~あ。俺の貴重な休日が…。これでは、碌に休みも取れていないじゃないか。ここで俺がとるべき行動は…、

「そうだったのか」

 とりあえず、六人の意見に賛成の意を示し、

「そうです!」

「…心配だった」

「とりあえず、無事で何よりです」

「うん。俺は無事だ。だから、お休み」

 そして、安眠をとることだな。俺はアイテムブレスレットから寝袋を取り出し、それに入る。ああ。このフカフカ感、さいこー♪

「それじゃあおやす…、」

「「「「「「させません!!!!!!」」」」」」

「ああ!!??」

 俺の寝袋!!返して!というか、どうやって取ったの!?返せ!返して!!

「お兄ちゃん?何か言うことがあるんじゃないの?」

 と、ルリは若干、というかかなりの怒気を感じさせ、

「…それだけ?だったなら、許さない」

「アヤト。それは許しませんよ?」

「イブとクリムの言う通りです。これはもうきついお仕置きが必要ですね?」

 イブ、クリム、リーフも同様であった。

 あ。これ、やばいやつだ。早く逃げ…られないな。この厨房って、出入り口が一つしかないわけだし。今になって、この厨房の造りにいら立ちを覚えてしまう。そんなところに怒っていてもしょうがないのだが。

「!?クロミル、モミジ!お、お前らは味方だよな!?」

 俺はまだ敵対していないであろうクロミル、モミジの2人に応援を頼む。あの4人に対抗するためには、1人では絶対に無理だ。だから、

「な?お前らなら、な?」

 頼む!俺の味方になってくれ!

「「「クロミルちゃん???」」」

「クロミルお姉ちゃん?」

「!!??…」

 プイ。

「…外の様子を見てきます」

 そう言って、クロミルは厨房から出て行った。

 はぁ!?

 く、クロミル!?俺を裏切ったな!?

 だったら、

「も、モミジは俺の味方だよな!?だよな!!??」

「え、えっと…」

 モミジは、

「「「「・・・」」」」

 4人の無言の視線攻撃に、

「わ、私も外の様子を見てきますね!!」

 耐えきることが、できなかった。

 つまり、この場には俺の味方がいない、というわけで…、

「え?え??」

 みんな、俺の元にゆっくり近づいていく。逃げ道を完全に塞ぎつつ、俺を追い込むさまは、用意周到な策略に嵌った愚者の気持ちだ。

「「「「覚悟してね????」」」」

「いーーーやーーーー!!!」

 俺はこの日、自身の体の動きを一切制御され、あんなことやこんなことをされてしまった。

『3-3-9(第233話) 女エルフ達との祝杯』

 みんなが働いている中、彩人は熟睡していたため、4人にお仕置きされてしまう。その後、彩人達は祝杯を、みんなで作ったチーズケーキを女エルフ達に振る舞うため、国を挙げての祝杯を行う。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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