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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
231/546

3-3-6(第230話) チーズケーキ作り~スフレチーズケーキ~

 二日目。

 今日も俺は、チーズケーキを作るため、朝から厨房に入る。中に入り、材料の確認をする。

「材料よし。器具よし」

 後は、

「やる気皆無。なので、作りません」

 どんなにいい人材でも、いいものを使ったとしても、やる気がなければ、全てを台無しにしてしまうだろう。なので、やる気皆無の俺が今作る行為は、材料を無駄に捨てることと同意義と言えよう。よって、作りません!…昨日と同じことを思っているが、そんなことは知りません。さて、今日こそさぼりましょう…、

「ご主人様。今日も頑張りましょう」

「…ん」

 と思ったが、クロミルとイブが既にスタンバっていた。

「クロミル、イブ。今の俺には、やる気が皆無なんだ。だから、チーズケーキは作れません!」

 と、きっぱり断り、俺は近くに会った椅子に座る。そしてそのまま深い眠りへと、

「…さぼり、だめ」

「ふんげぇ!?」

 いざなわれなかった。俺はイブに強制的に立たされ、

「ご主人様。お手を拝借させていただきます」

 と、クロミルは俺の手を水道の水で洗ってくれた。なんか、ちょっとした貴族気分だ。手を洗うのにも、立つだけでも人の手を借りる。自身の力をほとんど使わない生活って、素敵だ。

「…これで、ご主人様のお手は綺麗になりました」

「…ん。次はアヤトの番」

 と、イブから材料を渡されてしまう。あ~あ。やっぱ作らなくちゃ駄目なのか。いざ作るとなると、萎えるんだよな。ま、

「「・・・」」

 あそこまで期待の眼差しで見られたら、いやでも頑張らなくちゃ、とか考えちまうよな。

 は~。俺は気合いを入れ直し、

「さ、今日も頑張りますか!」

「「はい!!」」

 こうして俺達は、材料に手を付け始める…前に、1つだけ言いたいことがあった。

「…?どうかした?」

 イブが俺に向けて疑問を投げかけてくる。

「ああ。それはな、」

「…ん」

「イブ。今日はつまみ食いすんなよ?」

「!?…ひどく侵害!私だってそこまでしていな…、」

「いや、かなりの頻度でしているからな!?クリムにも指摘されたことあっただろ!?」

「…あ」

「な?」

「…それは気のせい。…とにかく、今日は大丈夫」

「「・・・」」

「…もしかして、疑っている?」

「うん」

「えっと…、申し訳ありません…」

 こんなやり取りもほどほどにし、ケーキ作りを始めよう!


 本日作るチーズケーキは、ズバリ!スフレチーズケーキ!!レシピはというと、


・材料に魔力を込める

・クリームチーズと牛乳、分量の砂糖の半分を入れて弱火で材料が混ざるまでかき混ぜる

・かき混ぜたものを人肌以下になるまで冷ます

・冷ます間に卵を卵白と卵黄に分ける

・分けた卵黄を、冷ましたチーズ生地に入れ、混ぜる

・ふるった小麦粉を入れ、混ぜる

・卵白をボウルに入れて混ぜ、途中、半分残した砂糖を3回くらいに分けてしっかりとしたメレンゲを作る

・チーズの生地にメレンゲを少し入れ、ヘラで完全に混ざるまでよく混ぜる。全体に混ざったら、再びメレンゲを少し入れて、ヘラで混ぜる

・一度目よりざっくり~な感じで混ざるまで混ぜる

・残ったメレンゲのボウルに、メレンゲを混ぜたチーズ生地を全て入れ、ヘラでざっくり全体が混ざるように混ぜる

・型に生地を流し入れる

・オーブンに入れ、焼く

・焼く内に表面を焼き過ぎてしまう場合、途中でアルミホイルをかぶせる

・焼きあがったらすぐにオーブンから出さず、ドアを薄く開けてゆっくり冷まし、粗熱が取れたくらいでオーブンから出す

・最後、出来たスフレチーズケーキを片手にブイサインする

・完成品に祈りを捧げる


 こんなものだろうか。昨日作ったベイクドチーズケーキより工程が多く、非常に面倒くさく感じてしまう。だが、せっかくみんなが楽しみにしているのだ。なら、その期待に出来る限りこたえるため、これぐらいはしなくては、かな。

 材料は、クリームチーズ、牛乳、砂糖、小麦粉、マーマレードジャム(表面に塗る用)くらいだろうか。足りなくなったら随時足していくことにしよう。

 …ところで、最後のブイサインはいらないんじゃね?という声も出るかもしれないが、これは必須事項である。せっかくできた料理。ピースくらいしてもいいだろう。さて、これを二人に説明したところ、

「「???」」

 …二人とも、よく分かっていないようだった。特にメレンゲ、という言葉に違和感を覚えている様子だった。なので、俺が一人で作り、説明しながら作っていく。その俺の様子に、

「なるほど」

「…よくこんな工程を思いつく」

 二人とも感心していた。

 そして、

「・・・ふぅ。とりあえずこんなものか」

 スフレチーズケーキが完成した。

「表面にはマーマレードジャムを塗ってみたが、成功だな」

 見た目的にも香り的にもかなりいいな。地球でこれをやったらパティシエに…なれないだろうな。これぐらい作れる奴は地球に2億といるだろうし。だが、今ぐらいは誇っていいだろう、うん。

「お、美味しそうです…」

「…早く食べたい」

 二人は涎を垂らさんばかりに凝視している。俺はそのスフレチーズケーキを3等分に切り分け、

「ほい」

「「・・・」」

 切り分けたそれぞれのスフレチーズケーキを穴が開くぐらい見る二人。

「どうぞ」

「「!?」」

 二人は最初、猛虎のような目でスフレチーズケーキを見つつ、上品にフォークを用いて口に運ぶ。

「「!!?お、美味しい!!?」」

 どうやら、二人にはこのスフレチーズケーキは気に入ったらしく、目をトロトロにさせていた。これ、そんなに美味しいのか?俺も食べてみるとするか。・・・うん、確かに美味いな。フワフワで食感が良く、ベイクドチーズケーキとは異なったうま味があるな。これはこれでやみつきになりそうだな。これだけ食べて、栄養失調にならないよう、注意しないとな。二人は…もう食べ終えているし。俺、まだ三口しか食べていないのだが?相変わらず食べるスピードは凄まじいな。

「さて、」

 俺は自分のぶんを半分にし、

「残りはやるよ」

 と、俺は二つに切り分けたスフレチーズケーキをクロミルとイブに差し出す。

「よ、よろしいのですか?」

 と、クロミルは既に手をだし、

「…それじゃあいただきます」

 と、イブは差し出したスフレチーズケーキを小さく切り分け、フォークを突き刺して口に運ぶ。

 さて、俺は再び材料の準備をして、と。

「お、美味しかったです…」

「…ん。美味美味♪」

 良かった。二人とも満足してくれたみたいだ。

 さて、

「それじゃあ次は、二人にもやってもらうからな?」

 この言葉に、

「「はい!!」」

 二人は返事を返す。その返事から、さっきより強固たる覚悟を感じられた。


 時間が経過し、

「ふぅ。こんなもの、でしょうか…」

「…ん。なかなか大変」

 無事、二つ目のスフレチーズケーキが出来上がった。さっきと同じように、今回は表面にブルーベリージャムを塗ってみた。見た目的には、さっき作ったスフレチーズケーキと変わらないと思う。どうやら、上手く出来たみたいだ。焼き時間も不足した、なんてことはないだろうし。実際、美味そうである。食べたい。せっかくだし、味見で食べるか。二つ目だが、小さく作ったし、全部食べられるだろ。俺独りで食べる訳じゃないし。

 俺達は再びスフレチーズケーキを食べる。

「うん…うんうん」

 さっきとほぼ変わらない味と食感だ。若干、さっきより甘みが強いような気がするが、これぐらいは許容範囲だろう。

「・・・」

 クロミルは、言葉では言わないが、尻尾がクルクルと器用に回している。

「・・・」

 イブの方は、さっきと同じように、目がキラキラと輝いていた。この目だけを見れば、純真無垢の子供みたいだ。俺もこんな純粋な時代があったんだよなぁ。今はもう穢れ切っているが。…美味しい物食べたはずなのに、何故ここまで気持ちが沈むのだろうか。…俺の自業自得だな。

「さ。これで大体コツとか分かってきたと思うし、これからガンガン作るぞ!」

 俺は自身の気持ちを切り替えるため、若干大きな声で二人に話しかける。近所迷惑のことは…考えなくていいよな?ここ、王城の厨房だし。

「「はい!!」」

 こうして、俺、クロミル、イブの3人はケーキ作りに精をだしていった。


 さらに時間が経過。

 厨房内には、それはもう甘いあま~い香りが厨房を独占していた。それ以外の香りや匂いはここにいづらくなったのか、どこか別の場所に行ったみたいだ。そんなことを頭の片隅で思いながら、俺は厨房内にどんどん出来上がるスフレチーズケーキを見る。乾燥しなきゃいいけど。あ、俺のアイテムブレスレットに全部収納すれば問題ないか。というわけで、全部アイテムブレスレットに収納して、と。これで厨房内も少しは片付いたものだ。うん。

 さて、

「お~い。大丈夫か~?」

「も、問題、あるかもしれません…」

「…う、腕が…」

 二人はダウン、と。

 無理もないか。このスフレチーズケーキ、かき混ぜる工程がかなりあったもんな。3人で分担したとはいえ、それはもう重労働だろう。となると、パティシエの腕って何故あんなに細いのだろうか。毎日こんなことをしていれば、腕だけがパンパンになり、腕だけ激マッチョになること間違いなしなのにな。・・・あ。そういえば地球にはミキサーとか、ハンドミキサーとか、そういった類の道具があったこと、すっかり忘れていたな。こっちは全部人力でやっていたからな。後でそう言った類の道具も開発したいものだ。いや、もしかしたらどこかに売っているのかも?

 一方の俺はというと、そこまで痛くないんだよな。おそらく、ホットケーキを作りまくったおかげ、だろうな。もちろん、クロミル達もたくさん作っているが、俺は文字通り、作った桁が違うからな。ほんと、ホットケーキばかり作っているよな、俺は。ま、いいけどさ。

 さて、大きさ的にも枚数的にも、あれだけあれば、22人分の胃袋を鷲づかみに出来るだろう。ふふふ…。おっと、気味の悪い笑みがでてしまった。反省反省。さて、

「今日はもう疲れただろう?もう休んだら?」

「で、ですが…!」

「ほれ」

 俺は今も強がっているクロミルの両腕を軽くつつく。

「!!?」

 クロミルの体が急に震える。こう思うのは悪いことなんだけど、もう一回試したい。

「…私は、休ませてもらう」

 そう言って、イブは腕を抑えながら厨房を出ていった。

「ほれ。後は俺がやるから、クロミルも休んでおけ」

「かしこまり、ました…」

 こうして二人は、厨房を後にしていった。

 さて、片づけはほとんど済んでいるし、明日作るやつの工程でも確認しておくとするか。

「おっと」

 いつのまにかいやらしいテクニックについて調べていたようだ。いっけな~い、てへぺろ♪…自分で言うのも何だが、やっていて恥ずかしくなるな。さて、今度こそ真面目に調べるとするか。

「ふぅ…」

 予習はこれぐらいにして、と。

「俺も寝るか」

 こうして俺も、厨房を後にする。

『3-3-7(第231話) チーズケーキ作り~レアチーズケーキ~』

 チーズケーキ作り3日目。リーフとモミジの監視の元、第3のチーズケーキ、レアチーズケーキを作り始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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