1-1-19(第23話) 魔王とのタイマン
いよいよ決戦です。
面白く感じてくれたらうれしいです。
翌日。いよいよタイマンの日である。朝日が昇り、コケコッコーと鳴かんばかりの日にアヤトは、
「う~。もうホットケーキはいやだー」
うなされていた。先日、ホットケーキ騒動があった後、結局まともな鍛錬、魔道具作成が進んでいなかったのだ。それもこれも、昼夜問わず追ってくる使用人達のせいである。魔王にも伝えたのだが、「どんまい♪」と親指をたてて返された。とにかく絶不調のなか、俺は体を起こし、軽く朝食をとった。もちろんホットケーキでなく、木の実を食った。
そんななか、決闘場に向かうと、全身黒ずくめの魔王がいた。
「うむ。今日はいい決闘日だな。ん?どうしたアヤト?なんか調子が悪そうだな♪」
「このやろー。俺の不調を喜びやがって」
「まぁまぁいいじゃないか。今日は正々堂々戦おう!魔王の名において!」
「誓う前から俺はぼろぼろなんですけど」
つーか早く終わらせて早く寝たい。お、イブがいる。
「よぉイブ。おはよ」
「………おはよう。………アヤト、大丈夫?」
「ん?あぁ。今ちょっと不調なんだよ」
あの馬鹿のせいでな。
「………そう。それはよかった♪」
「なんで!?」
「………アヤトが負ければ、アヤトのお嫁さんになれるから」
くそ!俺に味方はいねぇのか!?
「アヤトさーーーん!」
「あ!」
お。あれは魔王の妻じゃん。よかった。あの人はみか、
「ささっと負けて、早くホットケーキ作ってくださいねー」
………もういいよ。俺一人でも頑張るし。ぐすん。
「ではこれから、魔王対アヤト様の決闘を始めます」
この審判の人は誰だろうか?
「ではアヤトよ。いくぞ!」
「あぁ!!」
「それでは、始め!!!」
こうして俺と魔王との一騎打ちが始まった。
はい、私、海原彩斗は今絶賛ピンチですやばいです。何がって?
「ほれほれどうしたアヤト?もう疲れたか?」
「くそ!【空気の刃】!」
「甘い!」
「え?」
「こっちだこっち」
「は?ってぐうぼらぇ!!」
だってこいつ、俺が攻撃するとすぐに消えて、俺の後ろを攻撃するんだぜ?もうどうしたらいいかわかんねぇよ。
「あのさ。もう降参して、うちの義理息子になってくれよ。な?」
「まだだ。俺はまだあきらめない」
「はぁ。しょうがないなっと」
「なに!??いった」
俺が言い切る前に魔王の拳が飛んできた。くそー。どうやったら。
「よくここまで頑張ったよ。だからあきらめて、な?」
「これから俺は全力で行くからな」
「ん?」
「魔王が泣きわめいても知らねぇからな!」
「け!そんな冗談、結婚式が終わってからありったけ聞いてやるぜ!」
「そんな式、最初からありゃしねんだよ!!」
そう言った後、俺は赤魔法の身体強化、雷、そして風を全身に纏う。
「おいおいなんなんだそれは!?」
「これは俺の切り札の一つさ」
「あらあら。これはちょっとやばいですわ」
「………父様、がんば♪」
相変わらずの応援無し。とことんアウェイだな。
俺はその後、魔王の瞬間移動からの攻撃をなんとかかわしている。
「ちぃ!なんで当たんねぇんだ!?」
「かわしているからな」
「くそ!ちょこまかと!!」
あたりに風が舞う。この二人の移動速度が尋常じゃないからだ。そしてこの二人の戦う姿は、ライオンが獲物を狙うかのように野性的なのだが、魔王の攻撃を避ける彩人の姿はときおり、バレリーナを思わせるような優雅さを感じた。
「くそぉ。これでも倒れないのか」
「ふははは!魔王をなめるでないわ!」
なにか一発逆転の方法を考えないと。確か………。
「こらぁ!よそ見している場合か!」
「ひでぶぅ!?」
俺は魔王の一発でゴロゴロ転がり、床に頭をぶつける。
「いたぁ!?まったくどうしろって………そうだ!!」
俺はある案を思いつく。と同時に勝利も確信していた。
まだ続きます。




