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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
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3-3-4(第228話) 亜人娘達とのお風呂

 風呂。

 それは、疲れを癒す絶好の場所である。できれば入浴剤だったり、源泉かけ流しだったりと、そんなオプションを期待しないでもないが、今の俺には、

「ふんふんふふーん♪」

 湯船に浸かっているだけで最高なのだ!将来、堕落した生活を過ごすためにも、このようなお風呂は必須だろう。

「それにしても…」

 さっき聞いた話を掘り返そう。

 この世界の性事情は地球とはかなり異なっていた。まさか、あそこまで違っているとは…。

「・・・」

 ふと、自分の性器を見る。もしかして、なんて思ってしまったが、

「ま、気のせいだよな」

 そう達観し、風呂を楽しむ。

「そういえば、チーズケーキのこと、すっかり忘れていたな」

 独り言をつぶやく。なんか最近、地球での日々を思い出せないせいか、地球で何を食べたかとか、どんな食べ物があったかとか、ちょくちょく忘れるんだよな。これも、異世界での生活が地球での思い出を塗りつぶしているからだろう。塗りつぶされても、まったく痛くもかゆくもないわけだが。その程度の思い出しかないわけだし。むしろ、塗りつぶしてください、とお願いしたいくらいだ。この世界の思い出って、地球での思い出と比べると、とびっきり濃く感じるな。いや、地球ではかなりいじめられていたからな。ある意味地球での思い出も濃かった、と言えるだろう。…ほんと、嫌な思い出ばっかり脳に残っているな。だが、今は多少どうでもいいことだ。

「この風呂において、どうでもいいことだ。はぁ~♪」

 そういえば、これって風呂なのか?それとも温泉?風呂と温泉の違いって何なのだろうか?ま、どうでもいいことだ。そんなことを考えるより、

「疲れをとることを重点的に考えよう」

「そうだね、お兄ちゃん」

「ああ」

 ふぅ~♪それにしても、

「この露天風呂もまた、最高だな」

「私はご主人様と共には入れるだけで幸せです」

「そうか。それはよかったな」

 ・・・。

 あれ?何か違和感が…?いや、この風呂の前においてはどうでもいいことだ。

「わ、私も!アヤトさんと一緒に入浴出来て楽しいです!」

「そうか、そうか」

 そう思ってくれているだけで俺も思わず…思わず?

 俺は改めて周囲を目視する。そこには、

「お兄ちゃんが入っているから、ルリも入りに来たよ~♪」

「私も疲れを癒すため、この湯をお借りしています」

「私も、お湯に浸かる習慣はほとんどなかったけど、これはこれで気持ちいいです」

 ルリ、クロミル、モミジの3人が入浴していた。もちろん、全裸で、である。

「え?は?うえ?」

「「「上???」」」

 俺の発言を皮切りに、全員顔を上向きにする。なんとも言えぬ光景が…じゃなくて!

「なんでお前らがいるの!?」

 若干叫びながら俺は物申す。

「え~?だって、お兄ちゃんがお風呂に入っていくところが見えたから、一緒に入ろうと思って~、ね?」

「いや、ねぇ?じゃねぇよ!」

 こんなところを誰かに見られたら、俺が変態認定されるじゃないか!クロミルは…まぁ、それは素晴らしい体を…、ゲフンゲフン!モミジは発見当初より健康的で…ゲフンゲフンゲフン!!ま、百歩譲って、正常な男どもなら、クロミルやモミジを性的な目で見てもおかしくないだろう。多分。だが、ルリはパーフェクトにアウトだ。ルリの体は小さく、女性特有の膨らみなど皆無なのだ。いわゆる、あれである。あれが何とは言わないが、ロから始まり、リで終わる言葉、と言えば伝わるだろうか。俺は決して!決して変態ではない!そう考えていたのだが、ふと、こんなことを考えてしまう。

(…もしかして、俺が見なければよくないか?)

 女性が最も危惧することは、体を直接見られることだろう。なら、視線だけ別方向を向ければ、一緒に入っていても問題にならないのでは?と。そう考えてしまった俺は、

「ま、いいか」

 目を瞑り、肩まで湯に浸かる。

 

 本当は、ただお風呂から出たくなかっただけとか、風呂から出ると性器を3人に見られてしまうので、それが嫌だ、とか、脳の片隅で考えていたのかもしれないが、彩人がそのことを自覚することはないだろう。多分。ようは単なる面倒くさがりともとれてしまう行動であった。


「そうだよお兄ちゃん!みんな一緒にお風呂に入ろうよ」

「もう入っているけどな」

 もうツッコミする気力も出なくなってきたな。面倒くさい。

「食らえ!クロミルお姉ちゃん!」

 バシャアン!

 どうやら、ルリはクロミルに向けて、水を思いっきりお湯をかけたらしい。目を瞑っていても、その光景は容易に想像できる。

「うわ!?る、ルリ様!?」

「ふっふーん♪今のルリなら、クロミルお姉ちゃんにだって勝てるもんね。それ!」

「る、ルリ様!止めて、止めてください」

「えい!えい!えーい!」

 クロミルの制止の声に耳を傾けず、ルリは必死にお湯を浴びせ続ける。

「ほらほら~?クロミルお姉ちゃんはやり返さないの~?」

 と、相変わらずルリはクロミルにお湯をかけ続けている。

「…分かりました。ルリ様がそう仰るのであれば、容赦しません!」

 その後、小さなお湯しぶき音がした後、

「そうだよ!そう来なくっちゃ!」

 しぶき音が激しくなった。おそらく、二人でお湯のかけっこでもしているのだろう。仲のいいことで。俺はのんびりお湯に浸からせてもらうとしよう。

「そいや!そいや!そいや!そいや!そいやあああ!!」

「はい!はい!はい!はい!はああああ!!」

 どうやら、お湯のかけっこは思いのほか、熱中しているらしい。変な掛け声まで聞こえてくる。モミジは何をしているのだろうか。目を開けて見てみたい。開けたらきっと、絶景が見えること必中の矢の如し、なんだろうな。

 …やっぱり目、開けていい?誰の断りも要らないよな?よな?

「…もう我慢できません!えーい!」

「うわ!?も、モミジお姉ちゃん!?」

「!?」

「こういうこと、一度やってみたかったんです」

 と、モミジの楽しそうな声が聞こえた後、

「…そうだね。モミジお姉ちゃんも一緒にやろうよ」

「…分かりました。モミジ様とはいえ、容赦いたしませんよ?」

「臨むところです!」

 こうして、3人でお湯かけっこが始まった。

 一方の俺は、

(やはり、平穏こそ俺が望んでいる最高の境地だよなぁ…)

 せわしなく動いているお湯音とは裏腹に、静かな平穏について考えていた。

 その背景には、

(…今のうちに考えをまとめておかないとな)

 みんなの笑顔が、俺の脳裏に現れていた。

『3-3-5(第229話) チーズケーキ作り~ベイクドチーズケーキ~』

 彩人は前々から約束していたチーズケーキを作り始める。ルリとクリムの監視の元、彩人は最初にベイクドチーズケーキを作り始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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