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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 赤茶色くなり始める世界樹
228/546

3-3-3(第227話) 大人なひと時

 夜。

 俺はというと、

「…?あ、今は夜か」

 寝起きであった。あれから俺は調べている内に、

「…チーズケーキって、面倒くさ」

 作る場面を想像しながら手間の多さに嫌気がさし、不貞腐れ、後回しにし、睡眠欲に身を任せたのだ。とはいえ、

「戦う前にあんなことを言ってしまった以上、頑張らないとな」

 そんなことを考えながら、試作してあったチーズケーキを食べる。

「美味い。美味いけど、手間を考えるとな~…」

 これを作った時、とっても機嫌がよく、手間なんてどうでもよく思い、作った代物である。だが、こうして手間やかかる時間を考慮すると、

「だる」

 こんな言葉が出てしまうのだ。俺はパティシエでもないからな。ケーキ作りはそこまで慣れていないんだよ。ホットケーキなら余裕なんだけどな。

 そういえば、最初はホットケーキを作るにも苦労していたなぁ。今では目を瞑っていても作ることが出来ると確信している。分量も目分量、というより体感で計ることが出来るし。ま、苦労するのは最初だけだと高をくくり、頑張るとしよう。

 さて、必要な材料は…、

「アヤト、失礼しますね」

 と言い、入ってきたのは、

「どうした、こんな時間に?」

 リーフと共に、クリム、イブがいた。3人とも寝間着?みたいな恰好だ。髪をおろし…ごくり。

「話があってその…」

「…ん」

 クリム、イブは俯いていた。リーフも、

「隣、いいですか?」

「あ、ああ」

 若干、というか違和感しか覚えられない仕草を見せていた。

「それで、何の用だ?」

 正直なところを言えば、風呂に入りたいため、さっさと部屋を出て欲しい。いつもは青魔法で清潔にしているが、たまには風呂に入りたいのだ。ま、これは単なる逃げの考え、ということは自覚しているんですけど。どうにも嫌な予感しかない。違和感、というか不安、というか…。

「まずは、この部屋の音が漏れないように出来ますか?」

「出来るけど?」

「ならお願いします」

 ん?どういうことだ?そんなに聞かれたくない話なのか?ま、真意は後で聞くとしよう。

「【結界】!【付与・遮音】!」

 ・・・。よし、ちゃんと付与できたみたいだな。

「これで大丈夫だと思うぞ?」

「あ、ありがとう」

「…ん」

 二人の心ここにあらずな返事をもらう。ほんとにソワソワしていて…俺、何かした?

 ・・・色々したな。それはもう見事なまでに。これはもしかしなくとも、お説教パターンですか?嫌だなー。何とか回避したいが、自身で退路断っちゃったし、どうしよう?何とか話を逸らさないと!

「きょ、今日は!あ、アヤトと寝に来ましたぁ!」

 いきなりのリーフの素っ頓狂な叫び?発言?に、

「・・・は?」

 俺の所有している時間が俺の元から数秒離れていった。


 えっと・・・どういうこと?

 あ、そういうことか。あの青の国の時みたいに一緒にベッドを共にしようと、そう言う事だな。良かった~。一瞬、俺とあんなことやそんなことをしたいと言っているのかと思ったよ。危ない危ない。これだから俺みたいな思春期男子は勘違いを起こし、いつも下ネタに走ってしまうんだ。少しは自重しろっての!

 だが、リーフの言い回しにも困ったものだ。あれでは世の男どもが勘違いしてしまうではないか。そこだけは説教しておこう。

「リーフ。一緒に寝るのはいいが、それでは勘違いさせることになるぞ」

「「「え???」」」

「…え?」

 なんだその顔は?何故三人が驚くんだ?

「…ちなみにアヤトは、さきほどの私の発言をどう捉えたのですか?」

「え?それはもう…、」

 ちょっと説明しづらいな。確か…、

「青の国の別荘みたいに、みんな同じベッドに入り、一緒に寝る?」

 俺が別荘みたいに、と言った時点で赤みがかった顔が呆れ顔に変化し、今では、

「あの、リーフが最後まで言ったのに、どうしてそこまで曲解出来るの?」

 と、脳筋100%のクリムにまで言われた。

「…これはひどい」

 イブは頭をおさえていた。

 あれ?これはもしかしなくとも、俺が悪いのか?俺はただ、今までの経験から推測して言っただけなのだが?まさかこれって、女性の勇気を踏みにじった、ということなのか?

 ・・・。

 俺が視線を送ると、

「「「・・・」」」

 首を動かした。どうやら、俺の言いたいことが伝わったらしい。以心伝心がここで役に立つとは。それにしても、まさか女性側からこんなことを言われるとは!

 勘違い、ではなさそうだし、今も…、

「「「・・・」」」

 ちょっとモジモジしている。や、やばい…。

「可愛い」

「「「え???」」」

「え?」

 あれ?もしかして俺、声に出ていた!?やばい!今すぐごまかさないと!

「気のせいだぞ、気のせい!」

「何がです?」

「そりゃあ、俺が可愛いって言ったことだよ!」

 この俺の発言に、

「「「ぷっ」」」

 三人は笑った。やばい。笑顔もめっちゃ可愛い。誰ですかこの人達?

「な、なんだよ」

「…アヤト、誤魔化すの、下手」

「え?…あ!?」

 しまった!誤魔化したいのなら、

“え?俺なんか言いました?”

 と、言うべきだった。それなのに俺は…!

 俺は思わず、

「い、いいのか?」

 行為の了承をとってしまった。これは男として、最善の行動なのだろうか。だが、聞いてしまったものは仕方がない。一度出した言葉は喉に戻らないのだ。

「「「・・・」」」

 三人からはまた首を上下に振るだけ。だが、今の俺には、その行動だけでも、興奮を覚えてしまい、

「それじゃあ…、」

 俺は3人を押し倒し、

「えっと…お願い、します?」

「「「うん…」」」

 こうして、若干ムードが壊れた気もするが、そんなことお構いなしに体を密着させ、連結させた。


 あれから俺達は、夜が白けるまでやった。というのも、体の都合上、一人としか出来ないため、その間に二人が体力回復してしまうのだ。なので、本当に、本当に大変だった。主に俺の体力が!だが、そんな三人を満足させるため、俺も無策ではない。白魔法で俺の体力、そして精力を回復させ、行為に励んだ。結果として、ほぼ一晩中やっていた、ということだ。俺の体、本当に人外。

 それにしても、何故急にこんなことを?いや、俺としては大変、大変大歓迎ではあったが、急すぎないか?俺は一番元気があるリーフに聞いてみた。

「…カーナから聞きました。この国の元国王、バンダドと戦っている時のあの言葉。ですから、私達3人は決意しました。それに、早く上書きしたかったですし」

 と、下腹部を優しく撫でていた。

 ・・・や、やばい。

 めちゃくちゃ恥ずかしい!!!

 あれ、カーナは話したのか!!??あのやろー!…ま、いいか。結果として、こうして繋がれたわけだし。恥ずかしい思いはしたが、結果オーライ、と思っておこう。

 俺は過去の自分に感謝を伝え、三人に毛布を被せ、白みがかっている空を見に、窓に近づく。

「…綺麗、ですね」

「!!??そ、そうだな」

 カーナ、急に俺の隣に来るなよ。ビックリするじゃないか。

「…その、ずいぶんお楽しみだったようですね」

「!!!???ど、どうしてそれを…!」

 【遮音】を付与した【結界】を張っていたから、音は一切漏れていなかったはず。ま、【結界】内ではそれはそれは…うん。これ以上は考えないでおこう。

「その…匂いが、その~…」

「あ~…。ごめん。今、消臭するわ」

 俺は青魔法で体をピカピカにする。さすがに今、全裸になり石鹸で全身くまなく洗うわけにもいかないので、このくらいがベストなのだろう。これで多少は匂いもとれたはず。

「はい。それで大丈夫だと思います」

「そうか。ありがとう」

 それにしても、同年代の女性に行為していたことがばれるとは。それもすぐに。俺はなんて愚かなのだろうか。それにしても、カーナって俺と同年代、ということでいいのだろうか?今までほとんど気にしていなかったが、見た目年齢的には、リーフよりちょっと幼い感じだ。リーフはもう成人しているわけだし、カーナは成人直後、という感じか。

「今回のことは本当にありがとうございます」

 カーナは改めて感謝の言葉を言ってくれた。

「私ごときの頭では足りませんが、この緑の国の民を代表し、この国王代理であるカーナ=シンペキがお礼を申し上げます」

 カーナはさらに深く頭を下げた。

 ・・・お、落ち着かない。こういう時は話題をふろう!話題は…、

「そういえば、エルフってどうやって増えるんだ?」

 とまぁ、さっきまであんなことやこんなことをしていたので、その関連で聞いてしまった。だが、いかがわしい理由で聞いたわけではない。ないのだが、これは女性に聞くべきではなかったな。動揺していたとはいえ、今後は控えるとしよう。

「?あれ?もしかして、知らないのですか?」

 と、何故か、無知で愚か者を見るような視線を向けてくる。俺、そんなおかしなことを言ったのか?

「女性は任意で、子供を妊娠したり、堕胎したりすることが可能なのですよ?」

 俺はカーナの言葉に、

「!!!???ファア!!??」

 叫んでしまった。

 何でも、この世界の女性は、性行為をした後、

「子供欲しいから、妊娠しようっと」

 と思えば妊娠でき、

「まだ働きたいから、まだ妊娠したくない」

 と思えば妊娠しないらしい。

 さすが異世界!この一言に尽きる!そして、この法則?習性?にはエルフは当てはまらず、女エルフはどれだけ性行為をしても、孕むことがないらしい。

 それでは、どうやってエルフが増えていくか?それを聞いてみたところ、

「ある日、エルフの子供がどこからか現れ、夫婦のことをパパ、ママと呼ぶらしいです」

 ・・・。え?

 は?嘘、でしょ?

 キャベツ畑から運ばれてくるとか、そんな和やかムードでなく、ある日突然出来るのか?年齢も、0歳児ではなく、4,5歳児くらいのエルフが急に現れるらしい。

 神隠しの逆バージョン?みたいな感じか?それとも、誘拐の逆?みたいなものなのか?なんかよく分からんが、これだけは言いたい。

 異世界って凄い!特に女性が凄い!

 それにしても、世界が違うと、妊娠事情がこんなにも違うんだな。

 ・・・ん?待てよ?ということは、だ。女エルフ達にとって、性行為って何なんだ?地球なら、子作りのためだからだが、女エルフには、そんなことはない。だとすれば、女エルフにとって性行為とはどういう位置づけなのだろうか?それをカーナに聞いてみたところ、

「う~ん…。嗜好品、と同じようか考えでいいと思います」

 つまり、あってもなくてもいいが、あった方が生活に華がある、といったところか。

「いろんなことを教えてくれてありがとな」

「いえ。それで彩人様はどちらへ?」

 俺は少し考え、

「とりあえず、風呂にでも入るよ。風呂の場所を教えてくれないか?」

「はい。お風呂はこちらです」

 疲れを癒すため、俺は風呂へ向かう。

次回予告

『3-3-4(第228話) 亜人娘達とのお風呂』

 部屋で大人な関係を築き上げ、4人の絆はより深まる。一方で、彩人が向かったお風呂場でも、ひと悶着が起ころうとしていた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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