3-3-1(第225話) 黒くなった彩人
王城。
簡単に言えば、とっても広い家である。その広い家を全室使っている、なんてことはなく、いくつか空き部屋がある。その一室を俺は、
「は~。やっぱりだらけるってさいこ~♪」
体を横にして占領していた。
これも全部、あのカーナのおかげである。
あれから俺は急きょ、王城の部屋の一室に寝かされ、全員で看病しつつ、俺の目覚めを待っていてくれた。
結果、俺は倒れた翌日に目が覚めた。その時看病していたルリと目が合い、
「お、お、お兄ちゃん!!??」
と、盛大に驚かれ、すぐに大量の人が部屋に押し寄せたことを覚えている。
その後、俺も交えて会議が行われた。その会議の内容というものが、
“今後の男エルフ達の対応”
について、であった。
確かに、女エルフ達をあんな目に合わせてお咎めなし、というわけにもいかないだろう。それで具体的な案がでず、なんてことはなかった。
「…ちょっと相談してくる」
イブは何か案を思いついたようだが、すぐに言わず、どこかに行ってしまった。もしかして…?
その翌日、
「…そいつらは他国の労働力として使う」
イブは、
「うむ!人材が不足していたからな!これで我が国も助かるな!」
「あなた!ついでにアヤトさんの料理もいただきましょうよ!」
「無論、そのつもりだ」
両親を連れて戻ってきた。
話の内容から察するに、男エルフ達は魔の国で肉体労働させられるらしい。俺は心の中でイブを抱きしめ、「君はなんて最高なんだ!グッジョブ!」と親指を立てながら言った。その代わりに、魔の国出身の人材を少し、よこしてくれるらしい。人数は男エルフより少なくなるが、魔王曰く、信頼できる人材、とのこと。良かった、良かった。
そして、そんな話をカーナ、魔王夫妻、そして、
「なら、俺も人肌脱ごうかね!」
「はぁ…。今日も胃薬一箱使い切りそうです…」
…赤の国の王、つまり、クリムの父親まで来ていた。隣にいる人は…ご苦労様です。俺は心の中で労っておいた。何でも、赤の国でも人材を多少都合してくれるらしい。これは善きかな善きかな、である。その対価として…。
こうして、国中の男エルフ達を捕縛し始めた。それと同時に、国中に散らばっていた女エルフ達も俺達と同様に男エルフ達に反撃し始めた。そして、約1,2週間で男エルフ全員を捕縛し、他の国に送還したらしい。その時に都市、バンダドに来た多くの女エルフ達はそのまま在住することになり、都市は大いに賑やかになった。都市人口で言えば、3桁はいくだろう。
唯一うざい、気持ち悪い、往生際が悪かったのが、
「何故だ!?何故我が平民と同じ労働を…!?」
男エルフ達、特にバンダドが面倒くさかった。王族としてのプライドが、肉体労働に抵抗を感じているのだろう。このことに対して一言。
ざ・ま・あ!!!
この一言に限る。
女性の性を貢物とし、優々快適に過ごしていたわけなのだから、これからはきっつい仕事をし、是非とも一生苦しんでいてもらいたいものだ。いっそ死ねばいいのに。おっと、黒いものがでてしまった。反省、反省。
こうして、男エルフ共に関する問題、ついでに人材不足問題も解決した。
他国は肉体労働をしてくれる人材を欲し、こちらは信頼のおける人材を欲す。ウィンウィン、というわけか。
…なんか、人数的には、緑の国の人口がだいぶ減るような口ぶりな気がしないでもないのだが…?ま、そんな国の事情なんか俺の知ったことではない!それより、
「ふぅ~。今日もよく寝た~♪さて、寝るか」
寝るか!
こうして俺は自堕落な日々を過ごす。
そうして、俺達がこの都市に来てから、一月が経過する。だが、その一月の間、俺はぐうたら過ごしていたが、ナマケモノのように過ごしていたわけではない。
その風景を一部お見せしよう。
次回予告
『3-3-2(第226話) 忘却された約束』
束の間の休息を楽しんでいると、ルリがやってくる。そのルリを一度追い払ったものの、ルリは再度やってきて、ある約束事を言ってくる。その約束事は、彩人が完全に忘却してしまった約束であった。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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