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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
224/546

3-2-34(第223話) シンペキへの乗り込み戦~その11~

 場所は変わり、

「まったく。愚かな男がいるものだ。私には世界樹様の加護があるというのに」

 緑の国の王城。そこには、

「ああ。俺は愚か、なんでな」

「アヤト様。分かっていると思いますが、」

「あんな奴の言うことに従うことなんてありません!」

「そうよ!あんな馬鹿の言っていることなんて無視よ無視!」

 ああ。分かっているさ。俺にだってやることはあるんでな。

「…ふむ。その後ろで喚いている者は邪魔だな。手始めに…」

「!?気を付け…!」

 俺が言い終える前に、盾を持っていた女エルフが吹っ飛ぶ。

 なんだ?一体何が!?

「さて。まずは一人」

「「た、タンカ!!」」

 あ、あいつ!一体何を…!?

「さぁ。次は私の餌食になりますか?」

 俺、カーナ、エーガンはバンダドに睨みをきかす。俺は静かに盾を持っている女エルフ、タンカに白魔法をかけ、傷を癒す。

「ほお。やはり、白魔法まで扱えるという情報は本当だったようだな」

 こいつ、部下の情報まで信じていないのか。それとも、自身の目で見ないと信用できないのか。

「…カーナ、エーガン。守備は俺に任せろ」

「「え?」」

「俺が代わりに努める」

 俺は剣を構える。

「で、ですが…」

「それだと防げないんじゃ…?」

「大丈夫だ」

 俺には、防御手段が複数あるからな。

「だから、お前達には攻撃を頼む」

「分かりました」

「ふん!無茶しないでよね!」

「ああ」

「それで、お話は済んだのかい?」

 バンダドは挑発気味に話しかける。

「ああ。あいつの分まで俺が頑張るさ」

「そうか。無駄な努力をするなんて、なんて愚かなんだ」

 と、呆れ気味に話しかける。

「それと、君みたいな死亡志願者には、出来るだけ早く死を与えないと、ね!」

 と、バンダドは蔦を高速で俺に伸ばしていく。

 だが、

「そんな攻撃は、効かん!」

 【魔力障壁】で奴の蔦を防ぐ。

「ほぉ?やはり、それは使えるようですね」

「当たり前だ」

 そして俺は後ろを向かずに、

「だから二人とも、攻撃は頼んだぞ」

 言葉を二人に送る。

「「はい!!」」

 こうして、俺、カーナ、エーガンとバンダドとの戦いが始まる。


「・・・!」

「・・・!?」

「エーガン!」

「分かっているわ!」

 バンダドの蔦攻撃に、俺は【魔力障壁】で防ぐ。だが、やはり単体では何度も防ぐことは出来ないので、常に複数枚発動させ、奴の攻撃を防ぐ。

 そして、俺がバンダドの攻撃を防いでいる隙に、カーナとエーガンの二人が攻撃をしていく。

「・・・!」

「…くそ!」

「「アヤト(様)!!??」」

「だ、大丈夫だ」

 くそ!やはり【魔力障壁】と【結界】では上手く受け流せないな。やっぱり、

(あの時みたいな…)

 と、俺は神色剣を少し見つめる。

「アヤト!」

「!?ち!」

 襲い掛かってくるバンダドの攻撃に反応し、俺はすぐさま【魔力障壁】を張る。危ない、危ない。ちょっと余所見をしていたせいか。気を付けないと。

「ほらほら。余所見をしていると、死にますよ?」

「!?くそったれが!【結界】!」

 俺は前方に【結界】を張り、バンダドの攻撃を防ぐ。

「「【空気の(エアカッター)】!!」」

 そして、二人が緑魔法、【空気の(エアカッター)】を放つ。

 だが、

「ふん!」

 バンダドは自身の蔦を数本か犠牲にし、二人の魔法を防ぐ。そして、

「そんな攻撃では、永遠に勝てませんよ?」

 すぐに蔦を再生させた。蔦に攻撃しても無意味、ということか。ほんと、植物みたいな特性を持ちやがって。

「ですが、あいつにも限界はあるはずです」

「そうね。それまでこうやって、」

 と、エーガンは【空気の(エアカッター)】でバンダドの蔦を数本切り落とす。

「切り落としてやればいいのよ!」

「…そうだな。それまではしっかり守ってやる」

 確かに、エーガンの言う通りだ。相手の体力が、再生力が無くなるまでやりつづければいい。

 だが、

(いつまでやり続ければいいんだ?)

 相手の底知れない力に恐れを感じ、

(あれを使えれば…!)

 ちょっとした期待を抱いていた。


「ほらほら~?そんな攻撃では私を討伐できると思っているのか?」

「くそったれが!」

「「はああ!!」」

 今現在、こっちがやや、というより、かなり劣勢になっている。なぜかというと、

(どうやったら、奴に攻撃が通る!?)

 カーナとエーガン、二人の攻撃がバンダドに直接届かないのだ。全部、バンダドの蔦で防がれてしまうのだ。その蔦もすぐに再生するし。俺は【結界】や【魔力障壁】等であいつの攻撃を防ぎことで精いっぱいだし。それに、

(あいつのあの余裕。むかつくな)

 バンダドの方はまだ余力が残っている感じが見て取れる。人間らしい戦い方をせず、蔦に頼り切った戦いをしている。…人間らしい戦い方って、腕や足、武器を使った戦い方でいいよな?その場から動かず、蔦だけを器用に動かす戦い方、のことじゃないよな?

 いずれにしろ、

「はああ!」

「これ、で!」

 二人が頑張っているが、状況は芳しくない。

(打開策は何か…?)

 俺は【結界】と【魔力障壁】を駆使して二人を守る。

「…さて。準備はこれでいいとしよう」

「?」

 何だ?あいつ、急に何を…?

「!?アヤト様!」

「切り落とした蔦が…!」

「なぁ!?」

 切り落としたはずの蔦が、動いている、だと!?何だそのキモイ悪い現象は!?トカゲの尻尾か!

「!?ち!【魔力障壁】!」

 瞬間、切り落ちていた蔦が鋭利な棘の形を成し、カーナとエーガンを襲う。俺はすぐさま【魔力障壁】を張るが、

「「きゃああ!!」」

「!?カーナ!エーガン!」

 間に合わず、何発かもらってしまったようだ。致命傷でなかったことが唯一の救いだったが、

(また、守れなかった!)

 タンカを守れず、そして二人も!これじゃあ、

「お前は役に立っていないな?なぁ、愚か者?」

「!!?」

 そうだ。また、俺は何も助けられなかった。

 あの三人も、そして、ここにいる女エルフ三人も。

 結局は守れず、傷つけられる。俺は何も出来ずに、ただただ…。

(くそ!くそ!くそ!)

 何で!なんで俺はこんなにも無力なんだ!俺にもっと力が、守る力があれば…!

「…何ですか?もう潰れてしまいましたか。それでは、土に還っていただきましょう」

 と、バンダドは言い、俺に向けて蔦を伸ばす。

「…嫌だ。こんなのは絶対に、」

 こんな現実なんか、認めない!だから、

「守る!!!」

 俺は剣を構え、

(これ以上、絶対に傷つけさせない!!)

 決死の覚悟で守ろうとした。

 すると、

「な!?」

「「え??」」

 俺以外の全員が驚く。

「これ以上、好き勝手させねぇぞ!!」

「へ、変形する武器、だと!?」

 俺の剣が盾に変形したのだから。

(よし!これならもしかしたら…)

 俺は、剣が盾に変形して少し嬉しい。これようやく、

(みんなを守れる!)

「さぁ来いよ」

「…なんだと?」

 俺は笑みを顔に張り、

「こっからはもう、誰も傷つけさせない!」

 俺は神色剣改め、神色盾を構え、そう宣言する。

次回予告

『3-2-35(第224話) シンペキへの乗り込み戦~その12~』

 神色剣が盾へと形状を変え、彩人は防御態勢をとる。そして、支援をしつつ、カーナとエーガンはとどめの一撃を放つ。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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