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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
222/546

3-2-32(第221話) シンペキへの乗り込み戦~その9~

 場所は少し変わり、

「さて、僕の相手は君、ですか」

「うん」

 2人が向かい合っていた。

 片方は、剣と盾をもっている男性。

 もう片方は、腕に銀色に輝くブレスレットをつけている少女。

 体格的に考えれば、勝敗は誰の目を見ても明らかだろう。

 だが、

「ん~…?ねぇ、それでほんとに勝つ気でいるの?」

「…そちらこそ、武器も持たず、僕に勝つ気でいるのかい?」

「うん。だってルリには、」

 少女、ルリは腕に付けているものを指でなで、

「これがあるから。だから、大丈夫」

 と言った。もし彩人が聞いていたら、「お、おう。ありがとな。」と、彩人の顔を赤く染めさせただろう。

「そんなもので私に勝つ気でいるのかい?」

「大丈夫。あなたみたいな人には負けないから」

 ルリは感情の起伏もなしに、相手を挑発する。だが、この発言はルリの確信をえての発言である。

 もっとも、

「…ほぉ。今の攻撃を躱すとは」

「ほら。こういうことを仕掛けてくるってことは、自分の力に自信がないんでしょ?」

 言われた側が素直に納得するかは別問題である。

 こうして、ルリと3闘士のリーダー、ソルド=パーフェンとの闘いが始まる。


 最初、ルリはソルドの攻撃を徹底的に躱していた。これは、一緒に訓練していたクロミルからの教えである。だから、クロミルと戦い方が似ているのだ。それに、ルリにはある疑問があった。

(あの剣がルリの体に当たったら、折れちゃうんじゃないかなぁ…)

 相手の剣の強度と、自身の鱗の強度についてである。自身の鱗でソルドの攻撃を受けたら、相手の剣は折れる、そんな確信をしていた。その理由は、

(でも、もしかしたらってこともあるしな~)

 元魔獣としての勘である。元々ルリは野性の動物。そういった勘には自信があるのだろう。訓練の時、その自信はクロミルとの模擬戦によって砕け散ったわけなのだが。

 その結果、クロミルの教えを実行することにした。それは、

“まず、相手の攻撃パターンを探ります。そのためにまず、相手の攻撃を徹底的に避けることです”

 付け加えて、出来れば紙一重がいいとか言っていたが、ルリはへぇ~、と聞き流していた。

 それを今、実行していた。紙一重で避けて、である。

(ん~…。なんだかなぁ~)

 不安と疑惑を持って、


(なんだ、この少女は?)

 ソルドは少女の様子に疑惑を抱いていた。

 それは、自身の攻撃を今もこうして躱し続けている事である。それでいて攻撃するそぶりもなく、ただ淡々と躱している。

(後もう少しで当たりそうなのだが…)

 だが、ソルドは自身の攻撃がもう少しで当たりそうなので、体力が続く限り攻撃を続ける。だが、

(何故だ?こんなにも偶然が続くものなのか?)

 何度も避けられていく内に、

(まさか、わざと…!?)

 そう思った瞬間、ルリの表情にも納得した。わざと避けているから、攻撃による恐怖を感じていないのだと。避けられるという確信があるから、避け続けているのだと。

(ちぃ!)

 そう考えたソルドは、ルリから距離を取り、策を練り直す。


「あれ?どうしたの?かかってこないの?」

 ルリは急に距離をとったソルドに声をかける。

「…悪いな。出来れば剣でケリを付けたかったのだがね」

「?どういう…」

 ルリが最後まで言い終えることは無かった。

「やはり、不可視の魔法ですら躱すか」

「あっぶな。クロミルお姉ちゃんのおかげで助かった~」

 クロミルの教えの一つで、常に油断しないよう言われていた。簡単に言うが、自分が優勢だと思っている時は特に注意するようにと、クロミルはルリに教えていた。だからルリは、ソルドの攻撃を躱すことが出来たのだ。

「次はそうはいかんぞ。【空気の(エアカッター)】!」

 ソルドから不可視の刃、【空気の(エアカッター)】が複数、ルリに向かっていく。それを、

「・・・」

 ルリは躱していく。まるで、見えているかのように。

「ば、馬鹿な!?どうやって…!?」

「そんなこと、言う必要がある?」

 ごもっともな意見を言い、今もなお、躱し続けている。今も躱し続けることが出来る理由は、

(こっちにも来そうだな~。でも、こっちに避けると…)

 …ルリ自慢の勘であった。やはり、野生の勘は侮れないのだろう。

「こうなったら…!」

 ソルドはルリに背を向け、走りだそうとする。

 瞬間、

「な、何だこれは!?」

 ソルドの目の間に巨大な物体が出現し、周辺の気温も下がる。

「どこへ行く気?」

「!??」

「ルリの相手、するんでしょ?」

 ソルドの後ろに、ゆっくりと近づいてくる恐怖(ルリ)

「き、貴様みたいな小物となんか相手している暇なんてない!」

 ソルドは必死に脳を回転させ、

「あの男と森災を殺しに行かなくてはいけないんだ!」

 解を導き出す。

 その解は、

「それって、お兄ちゃんとモミジお姉ちゃんのこと?」

 その少女にとって、

「!?な、なんだこの威圧は!?」

「ゆる、さない!」

 最も出してはならない解であった。

次回予告

『3-2-33(第222話) シンペキへの乗り込み戦~その10~』

 ガルドの言葉により、ルリは隠し切れない怒りを威圧として放出する。それからルリは徹底的な力をガルドに見せつける。ガルドはそんなルリに対し、言葉を並べ始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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