3-2-28(第217話) シンペキへの乗り込み戦~その5~
場所は少し離れ、
「ふむ。ここでしたら、あのお二人の邪魔にもなりませんし、いいでしょう」
そこには、
「ええ。そうですね」
「…ん」
「さぁ!モミジちゃんを悪く言ったこと、早く謝ってください!」
「え、えっと…」
リーフ、イブ、クリム、モミジと、
「それは出来かねます。私は客観的意見を述べたまでです。それに、」
その3闘士は笑って、
「それが事実です」
モミジを嘲笑した。
「!?」
モミジはさらに俯き、ついには、
「ご、ごめんなさい。生まれてきて、ごめんなさい…」
涙を流し、誰にしているのか分からない謝罪まで始めていた。それを見ていた3人は、
「「「許さない!!!」」」
3闘士に殺意を込める。
「おー。怖い、怖い。女性はもっとしおらしく、そして男に体を任せるべきです」
冷静に、落ち着いた口調で3闘士はイブ達に語り掛けるが、
「ふざけないでください!」
「そうです!世の女性が全て、男性の言いなりになるとは思わないことです!」
「…不愉快」
リーフ達は激しく憤慨する。
「…君達はもっと、おしとやかになるべきだ。そのためにも、」
3闘士は、自身が持っている槍を構え、
「3闘士が一人、アルド=ラースンがお相手いたしましょう」
モミジを除いた4人が動き出す。
最初に動いたのは、
「はあああ!!」
リーフである。リーフは一直線にアルドに向かう。
「おやおや。策も無しに向かってくるとは、」
リーフのレイピアを槍で軽くあしらい、リーフに蹴りを食らわす。
「ぐっ!」
リーフはアルドから蹴りをもらい、吹っ飛ばされる。
「愚かですねぇ」
そんな姿を哀れと思ったアルドだったが、
「はあああ!!」
後ろから近づいてくる少女、クリムに気付いて、
「それぐらい、想定済みです」
いた。だが、
「それは愚策…!?」
言いながら、アルドは自身の違和感に気付く。体が何かによって動けない、と。足に違和感を覚えたアルドは、自身の足元を見ると、
「!?あの小娘…!」
「…ふ。愚かなのはお前」
イブが、魔力で生成した腕で、アルドの行動を阻止していた。その一瞬の隙を見逃すほど、今のクリムは甘くはない。
「死ね!」
王女が言っていい言葉かどうかはさておき、クリムのガントレットがアルドに襲う。
「ち!」
アルドは緑魔法でクリムに向かって風を起こし、
「ぐ!」
クリムの勢いを減らし、ガントレットの威力を軽減させた。結果、
「リーフ、大丈夫?」
「ええ。それより、そっちは上手くいきましたか?」
「いえ。どうやら相手は、リーフと同じ緑魔法が使えるみたいです。風で勢いを殺されました」
「そうですか…」
土煙が晴れ、
「?あいつが、いない?」
いるはずのアルドがいなかった。
「!?イブ!モミジ!もしかしたら…!」
「ちょっと、遅かったですねぇ」
「「「!!!???」」」
アルドはいつの間にか、イブの背後を陣取り、不意打ちを狙っていた。声をかけたのは余裕からくるものである。
「ほぉ?私の一撃を。やりますねぇ」
「…と、当然」
イブはアルドの槍を、魔力で生成した腕で受け止めていた。だが、とっさの出来事で、
「ですが、まだまだ甘いですねぇ」
「…ち」
押し切られ、腕が一本消えてしまう。もう一本の腕で受けるが、
「そんなもので、私の槍を止められるとでも?」
アルドの槍の勢いは止まらなかった。
「!?ぐ!」
イブは持っていた杖で防ごうと構えるが、
「…!?」
「こんなおもちゃで私を止められるわけ、」
アルドの蹴りで、イブの杖は、イブの手から離れ、
「ないでしょう!」
「!?ぐぅ…!」
アルドはイブの心臓目掛けて槍を放つ。イブはなんとか躱そうと試みるが、躱しきれず、左肩に一撃食らってしまう。
「今はあっちに行っていてくだ、さい!」
アルドはイブを蹴り、数メートル飛ぶ。
「「イブ!!??」」
クリム、リーフはイブの心配をするが、
「他人を心配している場合ですか?」
「「!!??」」
アルドは二人の背後をとり、語り掛ける。
リーフは咄嗟にレイピアで薙ぎ払う。
「おやおや。そんなに死に急がなくてもいいのですよ。私がしっかり、」
そんなリーフの攻撃を軽く躱し、
「殺して差し上げますから!」
アルドの槍がリーフ目掛けて襲い掛かる。
「危ない!」
クリムはアルドの槍をガントレットで殴り、軌道を逸らさせる。
「またあなたですか。やはりあなたから殺した方がよさそうですね」
「く、クリム!」
リーフの叫びがアルドとともに空に舞う。そして、
「これで終わりです」
「しまっ!?」
アルドは槍をクリムに向けて放つ。クリムは避け切れず、
「ぐあぁ…」
足にもらってしまい、そのまま倒れこむ。
「クリム!」
リーフはクリムに駆け寄っていくが、
「!?」
「隙だらけですよ?」
背後から一撃もらい、リーフも倒れる。
そんな状況を、
「…嫌。嫌」
モミジは拒絶する。
「そんなに嫌でしたら、楽にさせてあげますよ」
そう語るアルドは、
「この一撃でね!」
モミジ目がけて槍を放つ。その攻撃に一切の迷いは存在せず、一直線に向かっていく。その槍を、
「やらせ、ません!」
リーフは横になっていた状態でアルドを転ばせる。
「ぐっ!雑魚が!」
アルドはすぐに起き上がり、
「死ね!」
槍をリーフめがけて刺そうとする。
(もう駄目かも、ですね…)
さっきの攻撃は、アルドの意表をついた攻撃であった。もうさっきみたいなだまし討ちも回避も出来ないなか、出来ることは、死後の世界を想像することくらいだった。
「させ、ない!」
ここで、今まで泣き続けていた、
「!?な、何ですかこの蔦は!?」
「もう迷わない!大事な人達を傷つけられるくらいなら、あなたを倒してでもみんなを守って見せます!!!」
モミジが覚醒する。今まで泣きべそをかき、オロオロしていたモミジとは違う。きっと気づいたのだろう。
ただ泣いていても時間の無駄で、何も出来ないと。大切な人を救えなくなるのだと。だから、助けるためなら、敵を討ち滅ぼす覚悟で挑んでやろうと。
そんなモミジが、ついに3闘士が1人、アルド=ラースンに蔦を向ける。
次回予告
『3-2-29(第218話) シンペキへの乗り込み戦~その6~』
覚醒したモミジは、一人でアルド=ラースンと対峙する。今までアルドの戦い方を見てきたモミジは、見てきたことを元に、相手の隙をつき、応戦していく。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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