表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
218/546

3-2-28(第217話) シンペキへの乗り込み戦~その5~

 場所は少し離れ、

「ふむ。ここでしたら、あのお二人の邪魔にもなりませんし、いいでしょう」

 そこには、

「ええ。そうですね」

「…ん」

「さぁ!モミジちゃんを悪く言ったこと、早く謝ってください!」

「え、えっと…」

 リーフ、イブ、クリム、モミジと、

「それは出来かねます。私は客観的意見を述べたまでです。それに、」

 その3闘士は笑って、

「それが事実です」

 モミジを嘲笑した。

「!?」

 モミジはさらに俯き、ついには、

「ご、ごめんなさい。生まれてきて、ごめんなさい…」

 涙を流し、誰にしているのか分からない謝罪まで始めていた。それを見ていた3人は、

「「「許さない!!!」」」

 3闘士に殺意を込める。

「おー。怖い、怖い。女性はもっとしおらしく、そして男に体を任せるべきです」

 冷静に、落ち着いた口調で3闘士はイブ達に語り掛けるが、

「ふざけないでください!」

「そうです!世の女性が全て、男性の言いなりになるとは思わないことです!」

「…不愉快」

 リーフ達は激しく憤慨する。

「…君達はもっと、おしとやかになるべきだ。そのためにも、」

 3闘士は、自身が持っている槍を構え、

「3闘士が一人、アルド=ラースンがお相手いたしましょう」

 モミジを除いた4人が動き出す。


 最初に動いたのは、

「はあああ!!」

 リーフである。リーフは一直線にアルドに向かう。

「おやおや。策も無しに向かってくるとは、」

 リーフのレイピアを槍で軽くあしらい、リーフに蹴りを食らわす。

「ぐっ!」

 リーフはアルドから蹴りをもらい、吹っ飛ばされる。

「愚かですねぇ」

 そんな姿を哀れと思ったアルドだったが、

「はあああ!!」

 後ろから近づいてくる少女、クリムに気付いて、

「それぐらい、想定済みです」

 いた。だが、

「それは愚策…!?」

 言いながら、アルドは自身の違和感に気付く。体が何かによって動けない、と。足に違和感を覚えたアルドは、自身の足元を見ると、

「!?あの小娘…!」

「…ふ。愚かなのはお前」

 イブが、魔力で生成した腕で、アルドの行動を阻止していた。その一瞬の隙を見逃すほど、今のクリムは甘くはない。

「死ね!」

 王女が言っていい言葉かどうかはさておき、クリムのガントレットがアルドに襲う。

「ち!」

 アルドは緑魔法でクリムに向かって風を起こし、

「ぐ!」

 クリムの勢いを減らし、ガントレットの威力を軽減させた。結果、

「リーフ、大丈夫?」

「ええ。それより、そっちは上手くいきましたか?」

「いえ。どうやら相手は、リーフと同じ緑魔法が使えるみたいです。風で勢いを殺されました」

「そうですか…」

 土煙が晴れ、

「?あいつが、いない?」

 いるはずのアルドがいなかった。

「!?イブ!モミジ!もしかしたら…!」

「ちょっと、遅かったですねぇ」

「「「!!!???」」」

 アルドはいつの間にか、イブの背後を陣取り、不意打ちを狙っていた。声をかけたのは余裕からくるものである。

「ほぉ?私の一撃を。やりますねぇ」

「…と、当然」

 イブはアルドの槍を、魔力で生成した腕で受け止めていた。だが、とっさの出来事で、

「ですが、まだまだ甘いですねぇ」

「…ち」

 押し切られ、腕が一本消えてしまう。もう一本の腕で受けるが、

「そんなもので、私の槍を止められるとでも?」

 アルドの槍の勢いは止まらなかった。

「!?ぐ!」

 イブは持っていた杖で防ごうと構えるが、

「…!?」

「こんなおもちゃで私を止められるわけ、」

 アルドの蹴りで、イブの杖は、イブの手から離れ、

「ないでしょう!」

「!?ぐぅ…!」

 アルドはイブの心臓目掛けて槍を放つ。イブはなんとか躱そうと試みるが、躱しきれず、左肩に一撃食らってしまう。

「今はあっちに行っていてくだ、さい!」

 アルドはイブを蹴り、数メートル飛ぶ。

「「イブ!!??」」

 クリム、リーフはイブの心配をするが、

「他人を心配している場合ですか?」

「「!!??」」

 アルドは二人の背後をとり、語り掛ける。

 リーフは咄嗟にレイピアで薙ぎ払う。

「おやおや。そんなに死に急がなくてもいいのですよ。私がしっかり、」

 そんなリーフの攻撃を軽く躱し、

「殺して差し上げますから!」

 アルドの槍がリーフ目掛けて襲い掛かる。

「危ない!」

 クリムはアルドの槍をガントレットで殴り、軌道を逸らさせる。

「またあなたですか。やはりあなたから殺した方がよさそうですね」

「く、クリム!」

 リーフの叫びがアルドとともに空に舞う。そして、

「これで終わりです」

「しまっ!?」

 アルドは槍をクリムに向けて放つ。クリムは避け切れず、

「ぐあぁ…」

 足にもらってしまい、そのまま倒れこむ。

「クリム!」

 リーフはクリムに駆け寄っていくが、

「!?」

「隙だらけですよ?」

 背後から一撃もらい、リーフも倒れる。

 そんな状況を、

「…嫌。嫌」

 モミジは拒絶する。

「そんなに嫌でしたら、楽にさせてあげますよ」

 そう語るアルドは、

「この一撃でね!」

 モミジ目がけて槍を放つ。その攻撃に一切の迷いは存在せず、一直線に向かっていく。その槍を、

「やらせ、ません!」

 リーフは横になっていた状態でアルドを転ばせる。

「ぐっ!雑魚が!」

 アルドはすぐに起き上がり、

「死ね!」

 槍をリーフめがけて刺そうとする。

(もう駄目かも、ですね…)

 さっきの攻撃は、アルドの意表をついた攻撃であった。もうさっきみたいなだまし討ちも回避も出来ないなか、出来ることは、死後の世界を想像することくらいだった。

「させ、ない!」

 ここで、今まで泣き続けていた、

「!?な、何ですかこの蔦は!?」

「もう迷わない!大事な人達を傷つけられるくらいなら、あなたを倒してでもみんなを守って見せます!!!」

 モミジが覚醒する。今まで泣きべそをかき、オロオロしていたモミジとは違う。きっと気づいたのだろう。

 ただ泣いていても時間の無駄で、何も出来ないと。大切な人を救えなくなるのだと。だから、助けるためなら、敵を討ち滅ぼす覚悟で挑んでやろうと。

 そんなモミジが、ついに3闘士が1人、アルド=ラースンに蔦を向ける。


次回予告

『3-2-29(第218話) シンペキへの乗り込み戦~その6~』

 覚醒したモミジは、一人でアルド=ラースンと対峙する。今までアルドの戦い方を見てきたモミジは、見てきたことを元に、相手の隙をつき、応戦していく。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ