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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
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3-2-25(第214話) シンペキへの乗り込み戦~その2~

 俺達は王城に向かって走っていた。

「それにしても、あいつらは上手くやっているみたいだな」

「ええ。これもリーフ様達の教えの賜物です」

「「いや~♪」」

「…リーフはともかく、なんでクリムまで?」

「わ、私も色々と戦い方の指導を…」

「…筋肉の箇所の説明?」

「!?違います!武器の使い方を、です!後で覚えてなさいよ、全身胃袋お化け!」

「…そっちこそ」

「二人とも。こんな場で喧嘩は止めましょうよ」

 …どうやらみんなはいつも通りらしく、今もクリムとイブのキャットファイトが行われようとしていた。さすがに今はしないだろうけど、これが終わったらやるんだろうな。

「お兄ちゃん」

「ん?おうした、ルリ?」

「お兄ちゃんは気にしなくていいんだよ?」

「え?俺、何か言ったか?」

 俺は周りを見る。すると、みんなの顔が少し悪くなる。

「…アヤト。もしかしなくとも、あの子達のことが心配?」

「え?」

 どうやら、俺は無意識のうちにあいつらのことを心配していたらしい。それも、みんなにその様子が分かるくらい顔に出ていたのか。気持ちを見透かされているようで恥ずかしい。

「…かもしれないな」

 頑張れよ、と言いつつ、本音では頑張って死なれでもしたら気分が悪くなるので、ほどほどに、と思ってしまう。やはり優柔不断なところはまだ抜けていないようだな。どうでもいいことばかり悩んで…、

「大丈夫に決まっているわよ」

 俺が少し、少し憂鬱になっていると、エーガンが俺に話しかけてくる。

「最初はあんなにクタクタで、息をどんなに荒くしても、一切弱音を吐かなかった。だから、大丈夫よ」

「そう、だな」

「…ここでどうして私をみるのですか?」

 それもそうだ。あれだけ厳しいリーフの特訓を受けても、弱音一つ吐かなかった。そんなやつらが、あんな卑怯な手しか使わない奴らなんかに負けないよな。うん。

「悪い。ちょっと悪く事を考えていたみたいだ」

「いいのよ。それに、」

 エーガンは足を止める。そして俺達も同様にする。

「これが、緑の国の城か…」

 どこぞのゲームだと、有名でない冒険者も平気で玉座の間に侵入していたな。地球でそんなことをすれば不法侵入で訴えられること間違いなしだろう。この世界はどうなるんだろうか。

「…お兄ちゃん」

「ああ、分かっている」

 さすがの俺もそこまで馬鹿じゃない。それに、他のみんなは気付いているらしい。

「まったく。こんなところにまでネズミが潜り込んでいたとは…」

「だが、それももうお終いだ!俺達が来たからには…」

「ですな」

 上から3人の男が降りてきた。上って確か…?

「!?みな様、気を付けて下さい!」

「それじゃあこいつらが例の…」

「ええ。3闘士です」

 カーナは静かに言った。


「おいおい。こんなガキと女もろくに捕まえられないとか、この国の兵士は大丈夫か?」

「おそらく、普段は平和ですので、その平和のせいで気が緩み、この事態に対応しきれず、ここまで大きくなったものかと」

「ふ~ん。だとしても、我々がすべきことは一つ!」

 そう言うやいなや、3闘士の面々は俺達に武器を向け、

「「「こいつらを殺す!!!」」」

 と、敵対心を向けてくる。…どうでもいいけど、同性でそこまで息が合うとか、羨ましい。俺なんか、友達候補もいなかったというのに!

「…お兄ちゃんは先に行って」

「ルリ…」

「そうですね。ご主人様は先に行き、決着を」

「クロミル…」

「わ、私も頑張ります!」

「モミジ…」

 3人?が俺達の前に立ち、3闘士の視界を防ごうと直立する。

「はっ!貴様らガキと女が俺達に敵う訳ねぇだろ!」

「そうですね。その考えに至ったこと自体、非常に不愉快です」

「私達を舐めすぎです」

 3闘士の面々は不服そうだった。特に、

「大体、なんで“森災”をこうして連れ歩いているのかね」

「世界樹様からの裁きが怖くないのですか?」

「そんな邪魔者、早く破棄すればいいのに」

 モミジに対する罵倒が、

「・・・」

 モミジの心を苦しめる。

「…カーナ。アヤトのことを頼みます」

「え?あ、はい」

「アヤト。どうやら私は一緒に行けないみたいです」

「…そうか」

 俺は何も言わなかった。ただ、

「…モミジに対する言葉を取り消せ」

「そうです!絶対に許しません!」

 リーフ、イブ、クリムがモミジの周囲に寄り添う。

「なんだ?お前らもやるつもりか?」

「こちらは一向に構いませんがね」

「むしろ、そちらは全力でかかってこないのですか?」

 と、やや挑発じみた発言をかましてくる。

「みんな!そいつらのこと、任せたぞ!」

 俺もこいつらのことを今すぐぶっ飛ばしたかったが、

「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」

 ルリ達が代わりにやってくれると確信し、俺は先に行こうと、

「おいおい」

「私達があなた方を先に行かすと…」

「思っているのですか?」

 やつらは持っている武器で俺達4人を攻撃しようとするが、

「ねぇ?ルリの相手をしてよ?」

 剣と盾を持っている奴の攻撃を、ルリは拳で防ぎ、

「ご主人様達の邪魔はさせません!」

 大きな剣を持っている男の攻撃を、クロミルはこれまた拳で防ぎ、

「「「「させません!!!!」」」」

 槍を持つ男の攻撃を、イブは魔力で形成された拳、クリムは自前の拳、リーフは剣、そしてモミジは蔓で防ぐ。

 俺はその行為を見ずに、そのまま玉座を目指す。

次回予告

『3-2-26(第215話)シンペキへの乗り込み戦~その3~』

 彩人達4人はついに玉座の内部にたどり着く。そこには、緑の国の王、バンダド=シンペキが王座に座っていた。それぞれの場で、それぞれの戦いが始まる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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