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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
212/546

3-2-22(第211話) 王都シンペキに向かう途中

 王都、シンペキに向かう途中、

「…ねぇ、お兄ちゃん?」

「ん?なんだ?」

 ルリが話しかけてきた。

「体、大丈夫なの?」

「あ?ああ、問題ないぞ?」

 今のところ、体を動かしても痛みは生じないし、不快感も違和感もない。まさに、傷が完治した、と言ってもいいだろう。そんな俺のどこに心配する要素が存在するのだろうか?

「お兄ちゃん。もう無茶しちゃ、嫌だよ?」

「…ああ。出来る限り頑張るさ」

「…絶対に、死んじゃだめだよ?」

「もちろん。ここにいる誰一人だって死なせたくないからな」

 と、俺は周りを見渡す。

「ですよね!」

「…ん♪」

「もちろん、やるからには勝ちます!」

「ご主人様に一生ついていきます」

「わ、私も!頑張る、から…」

 みんな、やる気は十分みたいだ。いや、待てよ?もしかしたら、今のやりとりで周りに気づかれたりしてない、よな?大丈夫だよな?俺は周りを見渡す。

「?どうしたの、お兄ちゃん?」

「…いや、何でもない」

 どうやら気づかれていないみたいだ。だが、油断大敵だ。先日も、思わぬ敵襲に気づかなかったわけだしな。魔道具もルリ達のアイテムブレスレットと、女エルフ達に作った魔銀製の盾、後は…ないな。俺も自身の治療にだいぶ魔力を使ってしまったからな。そう思うと、俺って結構、行き当たりばったりな性格ではなかろうか?そんな不安が脳内をよぎってしまう。俺としては堕落した生活を送りたいから、用意周到に事を構えたくないのかも。…そんな将来を夢見ているから、こんな事態に対応しきれなくなるんだよな。はぁ。

「ご主人様。見えてきました」

「そうか」

 暗くなってしまった気持ちを持ち上げ、俺は前方を見る。前方には、大きな木製の…杭?みたいなものが大量に並んでいた。城壁、みたいなものだろうか。あれで魔獣の脅威から王都を守っているのか。

「クロミル、疲れていないか?」

「はい。いつでも準備はできています」

 今、俺達22人、じゃなかった。クロミルを除いた21人は馬車に乗っており、その馬車をクロミルが引いている。つまり、俺達全員を運んでいるのだ。最初、俺を含めたクリム、ルリの内の誰かを手伝わせようと思ったのだが、

「これから大事な戦いが控えておりますので、みなさまはその時のために力を温存しておいてください。特にご主人様は病み上がりなのですから」

 と、おかんみたいな告げ口をいただきつつ、断られてしまったのである。最初は女エルフ達も遠慮し、交代で馬車を引っ張ろうとしていたが、力及ばず、無念…、という感じだった。これが普通なんだろうな。それにしても、クロミルのスタミナ、尋常じゃないな。21人引っ張っていても泣き言を一切言わないし。俺だったら、数分ごとに弱音を吐かないとやっていられないと言うのに。

「ご主人様。ここでよろしいでしょうか?」

「ああ。ここで止めてくれ」

「かしこまりました」

 クロミルはそう言い、馬車を安全に止める。ほんと、どこにそんな力があるのかね。後で全身をくまなく検査してみないと…!?と、いけないいけない。思考が別方向に逸れてしまった。

 みんな馬車から降りたことを確認し、俺は馬車2つをアイテムブレスレットにしまう。これで準備は大丈夫かな?

「みんな、準備は出来ているな?」

「「「はい」」」

 さすがに少量の声での返事だった。ま、敵が近くにいるかもしれないのに、大声をだすおバカはいないわな。

 そして俺達は王都、シンペキへと乗り込む。

次回予告

『3-2-23(第212話) 王都シンペキの門番』

 王都に入ろうとするが、門前には門番がいた。それをどうしようかと考えているうちに、彩人は門番と話して意識を自分に意識させようと、彩人の苦手な世間話をして、気をそらさせようとする。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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