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色を司りし者  作者: 彩 豊
第1色 赤の国 第一章 暗黒色を纏いし者
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1-1-17(第21話) 仮名を付ける重要性

「そうですわ!こんな方にはお礼をしなくてはなりませんわ!」

「そうなのだが、あいにく今、ちょうどいいものが手持ちにないのだが」

「あら。だったら我が娘を差し上げるのはどうでしょう?」

「おぉ!我が妻は天才だな!よってアヤトには我が娘を娶ってもらおう」

「………よろしくアヤト」

「おいおいおい何言っているんだ、この大馬鹿ども」


 おい!現在進行形で話が見えてこないのだが!?どういうことだ?


「あらあら。アヤト様が何者かが攫った娘を連れ戻してくれたのでしょ?」

「は?攫うも何もこの王女様はずっと王宮に」

「いやーよかった。もし連れ去ったやつがわかったらそいつを海のもくずにしていたよ。誰が連れ去ったかは知らぬが。アヤトは知っているか?」

「………」


 どうしよう。このままだとイブが俺の嫁になる未来しかないのじゃないか?これは今後の俺の平穏のために回避しなければ!


「いえいえいえ。私はただ」

「ただ、なんですの?」

「ひぃ!何でもありません!すいませんでした!」

  

   悪かったから、その般若状態の顔をこっちに向けるのはやめてください!いやマジでちびっちゃうので。


  「でもさ、イブだってこんなの嫌だろ?」

  「「イブ??」」


 あれ?なんか変だったかな?まぁ、俺にはネーミングセンスの欠片もないけど。


「あの。イブって名前はやっぱダメですかね?」

「い、いや。もうそこまで進んでいるとは思わなくてな。つい驚いてしまった」

「そうですわあなた。こうなったらなんとしてでもアヤト様には婿に来てもらわないと」


 あれ?なんで俺の婿化計画が進んでいるの?俺、断るのですけど。


「なぁアヤトよ。魔族の間で真名を教えあうのは、信頼している人にしか教えないという習慣があるのは覚えているな?」

「はい」

「それとな。仮の名前、すなわち仮名も同じくらい重要とされていているのだ。」

「はぁ」

「仮名を付けられるのは、その人の親か自分、そして大切な人にしか決められない、という習慣もあるのだ」

「え?でも俺、イブの親じゃないんですけど」

「それは貴様、アヤトのことを大切な人だと感じたんだろう。そうだろ?」

「………ん♪」


 あれれ~。おっかしいぞ~。このままだと俺は未来の魔王になっちゃうよ。俺はこの世界を旅していただけなのだけど。


 「ではこうしよう。我と一対一のタイマンをやる。それで貴様が勝てばこの話はなかったことにしよう」

「俺が負ければ?」

「うむ。我が娘の婿になってもらう。異論反論は認めぬし、逃げても魔王軍が追いかけるぞ」

「ぜひとも勝たせていただきます!!」


 こうして、俺と魔王の一騎打ちが決まった。

 あれ?普通、勝ったらお嫁さんをもらうんじゃ………。ま、いいか。


一方その頃、


 「おぉ!次は魔王との一騎打ちか!なんとも面白いことになっておるのう」


 神は相変わらず、煎餅をほおばりながら、彩人の生き様を観察していた。


 魔王との一騎打ちが決まった後、魔王は俺とすぐに戦おうとしていたが、

「もうなんかいろいろ疲れたので、数日たってからにしてくださいお願いします!」

 俺の平謝りによってとりあえず、決戦は三日後になった。その間、俺は魔王城の一部屋を借り、決戦に備えるため、色々と準備を進めていた。


 「………ふぅ。とりあえずこんなもんか」


 戦闘用の魔道具を開発し、満足した俺は休憩がてら、部屋の中を見てみる。

 部屋にはよくわからない絵、そしてどこの誰とも知らない人の肖像画がずらりと並んでいた。


 「改めてみると、絵とはいえ、こんな多くの人に見られるのは気が進まないなぁ」


 そう思った俺は外の庭に向かうため、荷物を持って部屋を後にした。

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