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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
209/546

3-2-19(第208話) 男エルフ達の追っ手

 翌日。

 俺は馬車を引きながら、

(…俺って実は、もう人間辞めていたんだなぁ…)

 昨晩のことを想い出していた。昨晩のあのモミジの話。あの話を頭の中で反復させていた。俺は人間ではなく、非人間であること。分類は…なんだろう?昨日は植物人間と言ったが、俺の体の半分は植物みたいだし、植物人間、ということでいいのか?それにしても、見た目には一切変わっている箇所はない、けどな。ないよな?風呂には出来るだけ行って、体のあらゆるところを見てはいるが、どこも地球にいた時と変わらないしな。…つまり、俺はこの異世界に来てからまったく成長していないという事か。ま、体は成長しなくてもいいが、心や頭の方は一向に成長しないことがな~…。

 …さて、ここで気分を変えて、別のことを考えるとしよう。

「!!??」

「?どうしましたか、クリム?」

「ルリちゃん!」

「分かっているよ。右、だよね?」

「うん!イブ!左を警戒して!」

「…分かった」

 …ん?何か、馬車内が急に騒がしくなったな。

「…ご主人様。馬車を止めて下さい」

「?おう」

 クロミルもかなり緊迫しているみたいだな。なんだ?

「ルリちゃん!一緒に挟み込むよ!」

「うん!」

 そう言い、クリムとルリは馬車から降り、

「【炎獄(えんごく)】!」

 自身とルリを炎で作られた檻?みたいなものに閉じ込めた。なんだ?本当に何をしている?

「ねぇ?そんなところに隠れてないででてきなよ?氷漬けにされたくないでしょ?」

 ルリが訳の分からないことを木に言っていると、

「…ち。ばれていたのか」

 男が木の後ろから出てきた。え?あの2人はあの男に気付いていたのか?いや、クリムとルリだけじゃないな。クロミルも戦闘態勢に入っているから、計3人か。

「あなたは緑の国の者ですか?」

「そうだ。俺は偵察でお前らの事を見つけ、たった今、報告を終えたところだ」

 え?あいつが?

「そうですか。では、」

「おおっと」

「ち」

 後ろからルリが殴りにかかるが、男はそれを華麗に躱す。

「それぐらい読めなきゃ偵察隊の…」

「はぁ~…。あれぐらいで油断しているようじゃ、クロミルお姉ちゃんに一生敵わないよ?」

 男の発言を最後まで聞くことなく終わった。ルリは、男が自分の攻撃を躱すと読み、わざと攻撃をし、躱したところで魔法の追加攻撃を食らわせたみたいだ。男は全身氷漬けになり、寒そうに氷が少し震えている。こいつ、まだ死んでいなかったのか。氷を木端微塵にすればこいつも死ぬのかね。いや、今はこいつから有力な情報を吐き出させた方が良かったか?ま、やってしまったものはしょうがないし、こればっかりはルリ、クリム、イブのお手柄だろう。クロミルも気づいていたようだし。

「ありがとな。俺、全く気付かなかったよ」

 馬車を引いているのに一切気づかなかった俺もどうかと思うが、こればっかりは仲間に救われた、としか言いようがない。今は自分の無力さをなじることより、

「…おそらく、私達を捕縛するため、本格的に動き始めたのでしょう」

「ですね」

「…ん」

 これはリーフとイブと同意見だ。やつも自身のことを偵察隊の~とかほざいていたし。となると、この場所もすぐにばれる可能性があるな。

「あ、あの!」

「ん?どうした、モミジ?」

 いつの間にか外に出ているモミジに話しかける。

「この木に話を聞いてみたところ、ここから約2キロ先に多くの人を見たと言っています」

「「「!!!???」」」

 な、なんだと!?それじゃあこんなところでのんびり考えている暇はないな!

「い、急いでこの場を離れるぞ!」

「「「はい!!!」」」

 全員、馬車に飛び乗り、俺とクロミルで急いでこの場を後にした。あの氷漬けの男は見世物にしておこう。


次回予告

『3-2-20(第209話) チーズケーキな結束』

 追っ手を撒いた後、彩人達はルリの提案により、お昼休憩をとることとなる。そして、彩人は男エルフ達の執念に戸惑い、保身に走ろうとしていた。だが、女エルフ達は死の覚悟を決めていた。彩人はそんな女エルフ達の覚悟に拒否の意を示し、生きて帰ってほしいため、あるものを駆け引きの道具にした。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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