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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
208/546

3-2-18(第207話) ボッチは人外へと変化する

 ・・・。俺はモミジの言っていたことをよく、よく考え直す。

 モミジは言った。俺はもう、人間じゃないと。つまり、

「俺は人間ではなく、ボッチという種族になっちまったのか!?」

 じゃなければ、そんなことがあるはずがない!

「あの。説明するので話を聞いて、もらえますか?」

「…そう、だな」

 落ち着いて考えるとしよう。落ち着いて、ボッチという孤独な種族の定義について…。じゃなかった!俺が人間じゃない件についてだ!

「それで、どういうことだ?」

「はい。実は…」

 俺はモミジの話を聞いた。


 大体聞いたので、大まかにまとめてみるとするか。



・あの時、俺は死にかけていて、助ける方法が【強制寄生】?による修復しかない

・しかし、それを実行するには、モミジが俺に寄生する必要があり、そうなると、俺の体内に植物が存在してしまう

・本来なら、本人に了承してから行うべきだったかもしれないが、緊急事態だったため、勝手にやってしまった

・本当にすいませんでした



 こんな感じか。

 説明の一端に、「本当にごめんなさい」を入れてくるので、いちいち慰めることが面倒といえば面倒だった。だが、

「別に気にしてなんかねぇよ。ただ驚いただけだ」

「…ほ、ほんとですか?」

 これは紛れもなく本心だ。話はあの…誰だっけか?忘れちまったな。とにかく、誰かから事前に聞いていたこととはいえ、やはり、心のどこかで嘘であってほしいと無意識に思っていたのかもしれない。だから、改めて現実を突きつけられると心にくるものがある。本当に驚いたが、それだけだ。

「ああ。感謝こそすれ、お前を非難することは間違っている。そんなことは、愚者がすることだ」

 と言ってみたものの、俺も愚者といえば愚者なので、じゃあ俺もモミジを…と考えてしまった。友達がいないという面では絶対的な愚者だが、人の善意を仇で返す愚者になりたくないので黙っておく。俺は恩を仇で返さない男だからな!

「ですが、アヤトさんはもう…!」

「な~に。いざとなったら光合成でもするさ。俺もお前と同じなんだからな」

「私と、同じ?」

「ああ。だって、俺もお前も同じ植物人間だろ?」

 言ってみて、

 (あれ?モミジは植物人間って言えるのか?種族的にはドライヤドだし。でも見た目は人間に近いし。俺は植物の要素は見た目的に皆無だけど、大丈夫か?)

 そんなことが頭をよぎるが、細かいつっこみは無しとしよう、うん。

「そう、なのですか?」

「そうそう♪あ、もしかして、植物人間って悪口だったか?」

 俺は出来るだけ配慮したつもりだったが、もしかしたら植物人間発言が気に障ったのか?

「いえ。植物人間、と言う単語を初めて聞きましたので。植物人間とは一体なんなのでしょう?」

「と言われてもな…」

 俺自体、植物人間、という単語を適切に表現できるほど、頭はよろしくない。簡単に、簡単にまとめて、

「お前みたいなやつのことだ」

 こうまとめておいた。無難な案だな。

「ふぇ!?そ、そうなんですか?」

「あ、ああ」

 嘘かもしれないが、突き通そう。

「…そうですか。私とアヤトさんが同じ…」

 と、何かブツブツ言い始める。ブツブツ独り言を言う癖は、ボッチ特有かもしれないな。

「だから、改めてお礼を言わせてくれ。モミジ、ありがとう」

 そう言った瞬間、

「!!???」

 モミジは泣き始めた。

「ど、どうした!?俺がそんなにきもかったか!?」

 突然の出来事だったので、自虐しつつ、モミジをフォローする。

「い、いえ!私を必要としてくれて、感謝までしてくれて、ほんと!嬉しくて、私…」

 内心、“良かった。怒っていたわけじゃなかったんだな”とホッとする。

「ああ。今後も、お前が必要になってくる。だから、今後も俺、じゃなかった。俺達と一緒についてきてくれるか?」

 その俺の問いに、

「は、はいいい!!」

 モミジは泣きながら答えてくれた。まったく。ルリといいモミジといい、異世界でも孤児みたいなやつはいるものなのだなと再認識した。

「…ちなみに、俺の体の何割が植物になったんだ?」

「確か…4割ほどだったかと」

「まさかのほぼ半身!?」

 驚くこともあったが、それも踏まえて、実のある会話だった。

次回予告

『3-2-19(第208話) 男エルフ達の追っ手』

 自分が人外であることに悲観しつつも、旅を続ける彩人。そんな時、クリム達はとある気配を感じとり、戦闘態勢をとる。その相手は、男エルフ達の偵察隊であった。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。


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