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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
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3-2-15(第204話) 即席大浴場

 夕飯を食べ終え、片づけを女エルフ達にお願いし、お風呂の準備をしていると、

「あ、あの!」

 聞き覚えのある声が、俺の耳元で大きく鳴る。

「…そこまで大声で言わなくても聞こえるんだが…」

「あ、ごめんなさい!え、えっと…」

「…それでなんだ、モミジ?」

 俺はその声の主、モミジに話を振る。

「あの。今日のお昼に言っていた理由というのは、もしかして私、ですか?」

「え?」

 俺は今日のお昼の出来事を思い出す。…ああ。そういえば確かに言っていたな。だが、

「違うぞ。これは単なる私情だ」

「私情、ですか?」

「ああ。だから、お前が気にすることじゃないから気にするな」

 と、目から零れそうな涙を拭いてやる。お風呂作るとき、いつも汗だくになるからタオルを何枚か首に巻いていたんだけど、それが役に立ったな。もちろん、使用前の清潔な物です。

「あ、ありがとうございます…」

「これぐらい大したことは無い」

 そう。罪悪感を憶えるのはモミジではなく…。

「お兄ちゃん!今日こそは一緒にお風呂に…!」

「クロミル頼んだ」

「はい、ご主人様」

「く、クロミルお姉ちゃん!?いつから私の隣に!?」

「そんなことよりルリ様。私と一緒にお風呂に入りましょう」

「え~?お兄ちゃんと一緒に…」

「言うこと聞かない奴には、明日の朝ご飯がとびっきり苦い薬草に…」

「クロミルお姉ちゃん、何をしているの!?さ、早くお風呂入ろう!」

「…それではご主人様。お先に失礼します」

「ついでにモミジも一緒でいいか?」

「え?」

「かしこまりました。では、モミジ様も」

「あ、うん…」

 こうして3人はお風呂に入っていった。さて、

「「「・・・」」」

 女エルフ達の視線が痛いな。

「…お前らも一緒に入って来い」

「「は、はい!!!ありがとうございます!!!」」」

 15人全員、タオルを持ってお風呂に入っていった。見た目だけは大きな露天風呂だが、源泉かけ流しの風呂ではない。近辺に温泉が眠っているなんてことはないし。いや、真剣に探せばもしかしたら…?こんなことに魔力を使いたくないな。いざと言う時のためにとっておこう。

「そういえば、リーフ達は入らないのか?」

 今も俺の後ろでくつろいでいるリーフ達に話を振る。即席の大浴場なら、後2、3人はは入れると思うけど…?

「私達は、アヤトと一緒に入ります!ね?」

 こんなふざけたクリムの発言に、

「「((こくり))」」

 首を縦に振る二人。確かに、この3人と男女の関係になりたい、と思っている。未だに童貞だし、卒業したいし。だけど、

「今は駄目だ。カーナ達もいるし」

 この俺の発言に、

「「「えー?」」」

 何故かブーイングをかましてきた。俺だってやりたいけど、最初は人知れずゆっくりじっくり出来る場所でやりたいんだよ。例えばそうだな…家、とかな?

「そんな文句言う奴には、明日のご飯は体に効く、とっても苦い薬草を…」

「「「お風呂行ってきます!!!」」」

 いつの間にか用意してあったタオルと着替えを持っていき、大浴場の方へ向かった。ま、多少湯の温度が下がっても大丈夫だろ。赤魔法でお湯の温度をあげればいいだけの話だし。お湯が足りなくなったら…しょうがないから俺が直接足しに行こうかな♪

 ちなみにその後、女エルフ達に、

「俺がもし、お前らの体を求めたらどうする気だ?」

 と聞いてみたら、

「今回のことが終わりましたら、好きにしてくれて構いません。どうせ中古ですし」

 と、自虐的に言い返されてしまった。なお、お風呂を除いても構わないと追加で言われてしまった。つまり、覗きを公認した、ということだ。これは是非とも覗きを…!罪悪感で辞めてしまった。俺ってヘタレ過ぎる…。みんながお湯から出た後、濡れた美女、美少女達を目で堪能した後、独りでお風呂に入り、今日の疲れをゆっくりと癒し始めた。

「これで全裸のままリーフ達の前に出たら、俺は露出狂だろうなー」

 と、いたずらこころが若干芽生えつつも、そんな度胸も勇気もない自分にため息をつきつつ、お湯につかる。

 お湯から出てさっぱりし、

「お~い。でたぞ…」

「し!」

 急にルリから注意されてしまった。さしずめ、無神経に娘に話しかけた父親の気分である。

「どうし…」

 ここでルリが静かにしている理由が分かった。

「「「zzz・・・」」」

 みんな、地面の上に大きな布を敷いて横になっていたのだ。それに、寝息も聞こえてくる。ここにいるのはリーフ達5人と女エルフ達5人だ。残りの10人はどこに行ったのかと思ったのだが、馬車からも寝息が聞こえてきた。これはおそらく、疲れからきた睡魔に負け、睡眠欲を思う存分満たしているのだろうな。何気にみんなに狩りをやってもらっていたし、夜の見張り当番も任せっきりだったからな。今夜ぐらいは大目に、というか、今後は全員で話し合ってローテーションを考えなくてはな。

「…みんな、疲れていたんだな」

「うん…」

 だが、ルリは一向に疲れを見せていない。というより、いつもより元気なような…?

「…どうした、ルリ?いつもより元気そうだが?」

「うん♪だって今、お兄ちゃんと二人っきりなんだもん。嬉しくもなっちゃうよ♪」

「そうか」

「うん♪」

 そんな純粋な思いに答えようと、

「…それじゃあ、他愛のない話でもするか?」

「うん♪何を話してくれるの?」

「そうだな~…」

 こうして、()(ルリ)との雑談は静かに始まった。


次回予告

『3-2-16(第205話) 女エルフ達の現強さ』

 国王を倒すために動き始めた彩人達一行は、女エルフ達の強さを知るため、女エルフの中でも強いエーガンが、ルリと腕相撲をし、力比べを行う。その後、女エルフ達の特訓が始まる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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