1-1-16(第20話) 元凶の駆除。そして…。
着いた頃には、人間国の王女であるクリム王女が駆けつけてきた。
「アヤト様!!??一体どういうことですか!?」
「まぁ、落ち着いてください。まずは王族だけに伝えたいことがあるので」
「………わかりました。アヤト様、覚悟してくださいね?」
同じようなやり取りをした気がするけど気にしない。なんかイブが拗ねているようだけど、それも気にしないでおこう。
アヤト達はすぐに玉座の間に案内された。
「おぉ!アヤトよ!無事であったか。良かったよかった。んで、話とは?」
「あぁ。実は………」
俺は、これまでのことを話した。もちろん秘密にしたこともあるが、そこはうまくぼかした。
「ということがあったから、そいつらを…殺そうと思う」
「何故だ?」
「このままだと、この国が魔王軍の手によって滅ぶからな。あと、個人的に許せない」
「そうか。そこにいる魔族の王女はどう考えとるのだ?」
「………殺す。それか拷問。この二択以外ありえない」
「そうか。クリムはどう思うのだ?」
「国を担う者として、また女としても、その者は排除すべきだと思います」
「なるほど。んでアヤトよ。犯人の目星はついておるんだな?」
「あぁ。あとは直接行って、捕まえてくるだけさ」
「証拠は?」
「俺が持っている情報網から得た情報だ。信頼していい。そして、そいつらを攫った後、そいつらの家をあされば、なにかしら証拠は出てくるだろう」
考え方が強盗に似ている気がするが、そんなことは気にしない。
「そうか。それでは、くれぐれも気を付けるんだぞ?」
「あぁ」
「………こく」
こうして俺達は、目的地へと向かった。
俺は今、とある家を覗き見している。決して犯罪ではないと自分に言い聞かせる。
家にいる男は今、女を侍らせていた。そして、近くには別の男が一人いる。どうやら共犯のようだな。
「いや~。今日の女もなかなかいいもんだったな。」
「そうですね。でもやっぱりあの女が一番だと思うぜ」
「あぁ!あの女ね。確かにかなり良かったな。身元が分かんなかったから、とりあえず殺しといたけど」
「そいつってこんな顔だったか?」
「そうそうってその顔は!?」
「どうしたんす」
当然二人の言葉を最後まで聞くことなく気絶させましたがなにか?
こうして俺たちはらくらく犯罪者どもを捕まえ、魔王城に連れてきた。
「おぉ来たか!待ちわびておったぞ!」
「もしかしてそいつらですの?」
「はい。ちゃんと証言も得たんで大丈夫です」
「………ん。私の顔をみて驚いていた」
「そうか。それなら大丈夫だな」
「あとは、そいつらへの処置だけですわね♪楽しみですわー」
「うむ。手錠はもちろんのこと、ろうそくや縄もいいだろうな」
「待ってください。どうせならあの長い棒を使ってやるのはどうでしょう?」
「うむ。それは最高だ!さすがは我の妻!わかっているではないか」
そんな拷問道具を用意するのは後にしてください!みんなが怖がるでしょう!?特に俺が。
「さて、アヤトよ。誠に、誠にごくろうだった。この度は感謝してもしきれんほどにな」
「いんや。もとはと言えば、人間が悪いから、そのしりぬぐいをしただけさ」
「そのしりぬぐいに救われたのだ。しりだけでなく、全身も洗わせろ」
「………よこしままおう」
「んな!?」
「ぷっ」
「「「あはははははははは!!!!」」」
こうしてみんな笑った。何もかも忘れるくらいに。三人の頬に濡れた後があるが、そのことをわざわざ言うほど、俺は無粋じゃないさ。
しばらく笑った後、先に笑い疲れた魔王とその妻が、
「さて、始めるか」
「ですわね。あなた」
?何をする気なのだ?
「おぉアヤトよ!連れ去られた我が娘を取り戻してくるとは!」
………は?
これでようやく二十話目です。まだまだ物語は続きます。




