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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
199/546

3-2-10(第199話) 22人での旅

 後日。

「それじゃ、出発するぞー」

「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」

 俺を除いた6人と、

「「「「はい!!!」」」

 女エルフ達15人の計22人の旅は幕を開けた。


 まず問題となったのが、馬車には乗れる人が限られているということだ。さすがに一つの馬車に二十人以上乗ることはできない。なら馬車の数を増やせばいいだけである。なので、馬車同士を連結させたことで、この問題を解決した。だが、次により大きな問題が発生する。それは、今まで以上に重くなった馬車を誰が引くか、ということだ。この問題に対し、

「私が責任をもって引きます」

 と、クロミルらしい解答をしたので、

「うん。却下♪」

 満面の笑みで返してやった。俺だって二十人以上乗っている馬車をたった一人で引かせるほどの鬼畜ではない。ではどうするか?これも簡単だった。一人では難しい。だったら、人数を増やせばいいのでは?というわけで、

「俺が引くのを手伝うよ」

 と言ったら、

「「「「「「それは駄目です!!!!!!」」」」」」

 と言われてしまった。ならどうするかと聞いたら、

「ルリなら余裕だから、私が引くよ~」

「私も!ちょっとした修行になりますし、引かせてもらいます!」

 というわけで、クロミル、ルリ、クリムの三人態勢で馬車を引いてもらう事となった。俺としてはもう動けるので全く問題ないのだが?そのことを伝えたら、

「数日前死にかけていた人が何を仰っているのですか?病人は病人らしくしていてください」

 と、膝枕してもらいながら言われてしまった。めっさ気持ちいい太ももを堪能できるならいいかな?なんて邪な心を抱きつつ、つい甘えてしまう。俺の心ってつくづく弱いんだなと実感した。だが、これで怠惰な生活を送ることが出来るのだ。何も問題ないではないか!?俺の最高で最強な怠惰生活はこれからなのだ!

 次は女エルフ達だ。よくよく考えてみると、俺は女エルフ達の名前のなの字も知らないことに気付いた。さすがは成長しないボッチである。名前なんて自分のことだけ知っていればいいと無意識に思っていたのだろうか。少なくとも…何人だ?イブ、クリム、リーフ、ルリ、クロミル、モミジ、後は…後は?・・・。ま、しょうがないよな。十年以上会っていない友達の名前なんて一字覚えていただけでもいい方だろう。つまり、俺の頭のスペックでは人の名前は容量が大きすぎるのだ。だから、ゆっくり時間をかけて覚えていこう。少なくとも、イブ、クリム、リーフの両親の名前くらいは覚えておかないとな。…話が逸れてしまったので戻そう。先日、俺達と対話していた女エルフはカーナ、と言うらしい。そして、俺達に対し暴言を吐いたやつはエーガン、と言うらしい。ま、女性の名前を聞いたところでどう返事すればよいのかわかったものではないのであえてスルーしよう。とにかく、この2人の名前くらいは覚えておこう、うん。

 そして俺は、散々偉そうなことを言いつつ、馬車で膝枕されながら優雅な生活を送っている。この生活は大変!大変気楽である!もう、このまま一生を過ごしたいほどである。だが、そんな幸せ満点極楽天国な環境下でも不満はある。それは、

(こんなことをされるとあそこが、あそこが元気になってしまう!)

 性欲の増加である。本来なら、運動なり食事のメニューなりと色々考えるのだが、その思考はだんだん、だんだんと変わっていく。

(お?今日のリーフの太ももはいい香りだ。感触も柔肌以上の柔肌だ)

 ボッチの自虐思考から、変態思考へと。これでは不味いと思い、対策を考えた。結果、

(寝るか)

 三大欲求の一つ、睡眠欲に頼ることにした。性欲に打つ勝つためにはこれぐらいしないとな!そう思い、俺は懸命に目を瞑り、この世界から意識を離していった。こうして、俺の怠惰で危ない生活が続く…?


 数日経過。

 改めて生活していくうえで、大きな変化があった。それは、

「…うん。これぐらいなら動いても大丈夫でしょう」

「よっしゃ!」

 リーフから運動許可をいただいたのである。本来、完治に一月かかるわけだが、魔法という科学と同等の力を用いた結果である。いや、2010年代の医学では不可能だろう。つまり、科学よりも魔法の方が優秀であるということだ。魔法がもし地球にも存在していたら、俺はボッチでなかったかもしれない…なんてことはないな。例え魔法が存在していたとしても、俺の性格や過去は変えることなんて出来ないだろうし。ま、俺みたいな屑が地球に大量発生していていいことなんてないし、この異世界にきたことは本当によかったのかもしれない。…なんか、自分で思っておいてなんだが、自分が嫌になりそうになるな。

 考えをリセットしよう。

 そういえば、俺がこうして生きていられるのも、モミジのおかげなんだよな。一応お礼は言ったつもりだが、ちゃんと言っておかないとな。後は、あの3人だ。今回の発端は、俺がちゃんと見ていなかったがために誘拐されてしまったのだ。攫う方が悪いのだが、誘拐を未然に防ぐことができなかった俺にも罪悪感はある。きちんと話をつけないと。ところで、あんな事件があったにも関わらず、どうして平然といられるのだろうか?女性の初体験(だと信じたい)を奪われて、精神的にも多大な負荷、ショックを受けたはずだ。それを全く感じさせることなく、今もこうして雑談していたり、キャットファイトを繰り返したりしている。まるで、先日のことがなかったかのような。だが、それはあり得ない。何せ、後ろを振り返ると、

「…?どうか、なされましたか?」

「…いや、何でもない」

 15人の女エルフ達が馬車に乗っているのだから。もしかして、俺が気にしすぎなのだろうか?それとも、もう吹っ切れたのか。どちらにしろ、女性という生き物は強いものだなと再認識した。それに対して俺は…。と、自己嫌悪に陥るのは辞めよう。

 いずれにしても、

「アヤト?そろそろご飯にしませんか?」

「リーフか。そうだな、これからご飯にするか」

「わーい!今日のお昼ご飯は何?」

「そうだな…干し肉と、リーフが作ってくれたスープかな?」

「えー?今日もホットケーキが食べたい!」

「ルリ様。そんな我儘を言ってはなりません。ご主人様が困ってしまいます」

「とか言って、クロミルお姉ちゃんも食べたいくせに~♪」

「そ、そんなことは…!?」

「…クロミル。尻尾」

「!!?」

「よく、動いていますね」

「ねー?」

「…分かったよ」

 今夜にでも、話をつけようかな。

『3-2-11(第200話) 22人での狩り』

 彩人達は今後の生活を守るため、食料確保のため、いくつかのグループに分かれて狩りを行う。そんな中、22という数字が、元ボッチの彩人にボッチを強要させることとなる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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