3-2-7(第196話) その後の夜~女エルフ達編~
そして同刻。
「…ああ。なんてことをしてしまったのでしょう…」
女エルフの代表、カーナは俯いていた。
「…何よ、あの女。私たちよりあんな出来損ないのフォレードの方が大事だというの!?」
一方、さきほどモミジに対していちゃもんをつけてきた女エルフ、エーガンはふてくされていた。
「違うでしょ!?助けてくれた人に対する言い方じゃないって言っているでしょ!」
「あいつは人じゃないでしょ!それに、助けてくれなんて頼んでない!」
「嘘おっしゃい!捕まった当初はあんなにも涙を流して…!」
「あー!あー!聞こえなーい」
最早子供の喧嘩のようだった。
だが、女エルフ達はかなり焦っていた。何せ、助けてくれた恩人を怒らせてしまい、明日、どんな様子で顔を会わせればいいのか分からなかったからだ。
「…とにかく、まずは精一杯謝って、その上であの方達に決めてもらうしかないわ」
そんなカーナの意見に、
「え?謝らなくてもいいじゃない?なんなら、力でねじ伏せればいいだけでしょ?」
そんなエーガンの発言に、
「「「は???」」」
エーガン以外の女エルフが間抜けな声を発した。
「…あの方達は世界樹に勝ったけど、それはどう説明するの?」
そうタドタドしながら聞くカーナに対し、
「え?そんなの偶然でしょ?」
あっけらかんと答えるエーガン。そんな同僚に、
「…とにかく、あなたはずっと大人しくしていなさい。いいですね?」
「いやよ!第一、あんな奴らの言うことなんて聞きたくもないわ!私一人でも…!」
「ならそうしなさい」
「え?」
引き続き、カーナは話を続ける。
「私達はあなたを除いた全員で土下座をして、許しを請うつもりです。そんなところにあなたがいても迷惑です」
その言葉を聞き、
「じょ、冗談、よね?ほら、私達、同じエルフでしょ?」
エーガンはさっきより若干声を高くして話しかけるが、
「…命の恩人に対する発言じゃ、なかったよね…」
「…大体、あの御方達が怒ったこともエーガンのせいだし…」
「…ま、いない方がいいかな…」
と、エーガンを非難する声が続々とでてくる。エーガンは、自分に味方がいないことを悟り、顔色を悪くさせていく。
「う、嘘でしょ?私がいなかったらこれからどうなるか分かって言っているの!?」
「あなたなんか、いてもいなくても変わらないわよ?」
エーガンの発言にカーナはこう返す。
「はぁ!?」
「だったら、あの子に対し、あなたは何が出来るの?あの時動けたのは、あちらの方達だけ。私達は呼吸するだけで精いっぱいだったの」
「「「・・・」」」
他の女エルフ達も心当たりがあるので、カーナの話を黙って聞く。
「あの子が本気で私達を殺しに来ていたら、私達の命はそこらの木の枝みたいに簡単に折れるわ。それで、あなたは何が出来るの?」
「・・・魔法」
「例えできたとしても、あんな威圧出来る子が何も出来ない、なんてことはないでしょう?それに、あのエルフの方の言う通り、私達が先に余計なことを言ってしまった。それが原因であの子が怒ったの。それを理解しているの?」
「・・・ごめん、なさい」
「とにかく、まず明日の朝一は全員で土下座。その後はあの方達に決めてもらいましょう。それでいいですか?」
「「「はい」」」
「…はい…」
こうして、女エルフ達の謝罪決行の時は近くなっていった。
次回予告
『3-2-8(第197話) 女エルフ達からの謝罪』
一晩経過し、彩人は体の痛みを覚える。昨晩の体の酷使がここにきてひどくなっていた。とはいえ、朝ごはんを食べるためにもテントからでると、女エルフ達が全員、土下座をして待ち構えていた。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?
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