3-2-6(第195話) その後の夜~ルリ、モミジ、クロミル編~
そして同刻。
ルリ、クロミル、モミジもテントに入っていった。ルリは今も気を失い、クロミルが抱えているが。テントに入るなり、
「今日はごめんなさい!」
いきなり、モミジがクロミルに謝罪をした。それは、ミスをしてしまい謝罪をするサラリーマンのような謝罪であった。
「…何故あなたが謝るのでしょうか?」
クロミル自身、不思議に思っていた。
「だって、私がみんなを助けたから、あの女性のみなさんを助けたから、あの人達が不快になったわけですよね?でしたら、私が元々助けなければよかったわけで…」
「本当にそれでよかったとお思いですか?」
「え?」
クロミルはモミジの話を遮り、話を始める。
「モミジ様は、私達を助けてくれました。そのおかげでご主人様はもちろん、私やイブ様、クリム様、リーフ様、ルリ様は今もこうして生きて行けるのだと思っています」
「・・・」
モミジは口を開かず、クロミルの話を聞くことに徹する。
「私達は感謝こそすれ、文句を言うという恩知らずなことは致しません。ですが、あの者達は、命の恩人に対し、感謝の一言も言わず、同情を誘い、モミジ様を貶めるような発言をされていました。私にはあの言葉の真意が全く分かりません。というより、理解したくありません」
「だからね、元々私がこの髪をもって生まれてきたことが…」
「モミジ様。牛人族は恩を絶対に忘れない種族でございます」
「え?あ、そう、なんだ…」
急に話が変わったところでモミジは戸惑うが、顔色一つ変えずにクロミルは話を続ける。
「あの時、あの女性の方々は私達から恩をもらいました。ですので、牛人族の観点から言いますと、あの女性のエルフの方々は私達に恩を返さなくてはなりません。ですが、その前にあの方々は何と言いましたか?」
「・・・私の髪を見て、私の悪口を言っていたこと?」
「そうです。それは恩をもらった人達のする行動ではありません。その証拠に、リーフ様があんなに怒っていたではありませんか?それだけ、リーフ様がモミジ様のことを思っていた証拠です」
「…私って、愛されているの?」
「ええ。かくいう私も、その髪を見た時から、親近感はありました」
「この髪なのに?」
「ええ。私も、白と黒が入り交ざっている状態ですから。他の方々はみな一色ですので」
「確かに。そう考えてみると、私達って、結構似た者同士、なのかな?」
「かも、知れませんね?」
「モミジお姉ちゃんは~、私がまもる~」
「「!!??」」
突如、ルリの言葉が二人の会話を遮り、モミジの守護騎士発言をする。
「…優しい子、ですよね」
「ええ。ご主人様の妹であり、私達の妹です。もちろん、モミジ様の妹でもあります」
「だったら、姉の私がしっかりしなくちゃ、かな?」
「あまり根詰め過ぎてはいけませんよ?」
「ありがと。それじゃあ、今日は守ってくれてありがとう。あと、私のために怒ってくれてありがとう」
「!?気付いていたのですか!?」
「うん♪こう見えて結構、みんなのことを見てきたつもりだよ。それじゃあ、お休み」
モミジは横になり、そのまま寝付く。
「…お恥ずかしいところをお見せしてしまいましたね」
そう愚痴をこぼした後、静かに横になった。
次回予告
『3-2-7(第196話) その後の夜~女エルフ達編~』
一方、女エルフ達でも、モミジに対する発言に怒りを表していた。そして、今後の身の振り方について、一同、知恵を絞りだす。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?
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