3-2-5(第194話) その後の夜~クリム、イブ、リーフ編~
彩人がテントに入った頃、
「…それじゃあ、私達も寝ましょうか?」
「…ん」
「ええ」
クリム、イブ、リーフもテントに入り、寝る準備を始める。準備をしている間、互いに言葉を発することがなく、そのまま横になる。
「それじゃあ、お休みなさい」
「…ん、お休み」
「・・・」
「?リーフ?」
「…どうかした?」
クリム、イブはリーフに対する違和感を覚え、横にしていた体を起こす。
そこには、
「…ちょっと、いいですか?」
「「!!??」」
涙を流しているリーフがいた。
「どうしたのですか!?」
「…何かあったの?」
「いえ。あんな人達が私と同じ種族で、しかもモミジちゃんにまで迷惑をかけたかと思うと申し訳なくて…。しかも、ルリちゃんにまで…」
今まで見たことないくらい弱気で、泣きじゃくっていた。
「あんな人達とは思いませんでした。ですが、それ以上に私は大馬鹿です。だって、」
リーフは二人の顔を見ながら、
「それでも、あの人達を、放っておくことが出来ないのですから…」
ごめんなさい、ごめんなさいとリーフは小声でつぶやく。その声は、その様子は
「同じ種族だから、分かりあえると思っていたのに、私って馬鹿ですよね?こんな馬鹿な女、アヤトさんは…」
バチン!
「!?」
リーフが言い終える前に、誰かがリーフの頬を赤く染めさせた。
その者は、
「…馬鹿なことを、言わないで…!」
「い、イブ…」
涙で顔を濡らしつつあった王女であった。
「…リーフが優しいことも、私達の事を思って行動してくれていることも知っている。今更、そんなことでリーフを嫌うなんてこと、絶対ない!」
「そんなこと!?イブの言うそんなことで、モミジちゃんは…!」
「…そのことについては、あいつらにはけじめをつけさせる。けど、それでリーフが悩む必要なんてない。悩むべきはあいつらだけ」
「そうです!そこも含めて、リーフさんなのですから!」
「イブ…。クリム…」
リーフは2人の顔を見て、また涙があふれだす。
「…ごめんなさい。今だけ、今だけはそっとしておいて…」
消えそうな声で言いつつ、涙を手で拭うリーフ。
その直後、誰かがリーフの顔を自身の胸に寄せ、頭を撫で始めた。
「私、昔っから一人っ子で、兄弟とかいないんです。ですから、リーフの事はお姉ちゃん、みたいに思っていました」
続けてクリムは語る。物語を読み聞かせるかのように、淡々と、はっきりと。
「なので、私も、多分イブも、リーフに甘えていた部分もありました。ですが、今日は私が、リーフのお姉ちゃんです。ですから、いっぱい、いっぱい甘えて下さい」
「クリム…」
「…私も、かつて姉がいたけど、もういない。だから、リーフの事をどこかで姉代わりに思っていたんだと思う。私も結構、リーフに頼っていたこともあった。だから今度は、リーフが私達を頼って欲しい。それに、リーフのそういう部分を知ることが出来て、ちょっと嬉しい♪」
「イブ…」
続いてイブも、リーフの背中に寄り添い、肉体的にも精神的にもリーフを支える。
「…それじゃあ、今日だけ、今日だけはこのまま一緒に寝ませんか?」
「もちろん、私は構いませんよ!」
「…問題ない」
「ありがとう。ありがとう…」
リーフは2人に支え合いながら、そのまま眠る。
そして、2人もリーフの寝姿を確認し、そのまま目を閉じた。
次回予告
『3-2-6(第195話) その後の夜~ルリ、モミジ、クロミル編~』
リーフ達が言い争いをしているころ、ルリを介抱している2人も話をしていた。それは、牛人族の恩についての話であった。それと同時に、クロミルとモミジにはある共通点があった。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?
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