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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
194/546

3-2-5(第194話) その後の夜~クリム、イブ、リーフ編~

 彩人がテントに入った頃、

「…それじゃあ、私達も寝ましょうか?」

「…ん」

「ええ」

 クリム、イブ、リーフもテントに入り、寝る準備を始める。準備をしている間、互いに言葉を発することがなく、そのまま横になる。

「それじゃあ、お休みなさい」

「…ん、お休み」

「・・・」

「?リーフ?」

「…どうかした?」

 クリム、イブはリーフに対する違和感を覚え、横にしていた体を起こす。

 そこには、

「…ちょっと、いいですか?」

「「!!??」」

 涙を流しているリーフがいた。

「どうしたのですか!?」

「…何かあったの?」

「いえ。あんな人達が私と同じ種族で、しかもモミジちゃんにまで迷惑をかけたかと思うと申し訳なくて…。しかも、ルリちゃんにまで…」

 今まで見たことないくらい弱気で、泣きじゃくっていた。

「あんな人達とは思いませんでした。ですが、それ以上に私は大馬鹿です。だって、」

 リーフは二人の顔を見ながら、

「それでも、あの人達を、放っておくことが出来ないのですから…」

 ごめんなさい、ごめんなさいとリーフは小声でつぶやく。その声は、その様子は

「同じ種族だから、分かりあえると思っていたのに、私って馬鹿ですよね?こんな馬鹿な女、アヤトさんは…」

 バチン!

「!?」

 リーフが言い終える前に、誰かがリーフの頬を赤く染めさせた。

 その者は、

「…馬鹿なことを、言わないで…!」

「い、イブ…」

 涙で顔を濡らしつつあった王女であった。

「…リーフが優しいことも、私達の事を思って行動してくれていることも知っている。今更、そんなことでリーフを嫌うなんてこと、絶対ない!」

「そんなこと!?イブの言うそんなことで、モミジちゃんは…!」

「…そのことについては、あいつらにはけじめをつけさせる。けど、それでリーフが悩む必要なんてない。悩むべきはあいつらだけ」

「そうです!そこも含めて、リーフさんなのですから!」

「イブ…。クリム…」

 リーフは2人の顔を見て、また涙があふれだす。

「…ごめんなさい。今だけ、今だけはそっとしておいて…」

 消えそうな声で言いつつ、涙を手で拭うリーフ。

 その直後、誰かがリーフの顔を自身の胸に寄せ、頭を撫で始めた。

「私、昔っから一人っ子で、兄弟とかいないんです。ですから、リーフの事はお姉ちゃん、みたいに思っていました」

 続けてクリムは語る。物語を読み聞かせるかのように、淡々と、はっきりと。

「なので、私も、多分イブも、リーフに甘えていた部分もありました。ですが、今日は私が、リーフのお姉ちゃんです。ですから、いっぱい、いっぱい甘えて下さい」

「クリム…」

「…私も、かつて姉がいたけど、もういない。だから、リーフの事をどこかで姉代わりに思っていたんだと思う。私も結構、リーフに頼っていたこともあった。だから今度は、リーフが私達を頼って欲しい。それに、リーフのそういう部分を知ることが出来て、ちょっと嬉しい♪」

「イブ…」

 続いてイブも、リーフの背中に寄り添い、肉体的にも精神的にもリーフを支える。

「…それじゃあ、今日だけ、今日だけはこのまま一緒に寝ませんか?」

「もちろん、私は構いませんよ!」

「…問題ない」

「ありがとう。ありがとう…」

 リーフは2人に支え合いながら、そのまま眠る。

 そして、2人もリーフの寝姿を確認し、そのまま目を閉じた。

次回予告

『3-2-6(第195話) その後の夜~ルリ、モミジ、クロミル編~』

 リーフ達が言い争いをしているころ、ルリを介抱している2人も話をしていた。それは、牛人族の恩についての話であった。それと同時に、クロミルとモミジにはある共通点があった。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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