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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 鮮緑と老緑混じり合うエルフ達
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3-2-2(第191話) 話を盛り上げる料理

 夕飯の時間。

 夕飯の量はいつもの数倍であった。ま、それは当然か。

「…みなさんはよくお食べになるのですね」

 そんなことを考えていると、女エルフの一人が話しかけてくる。確かに量は多いが、二人ほど、大食いマスターがいるからな。頑張ればいけるのでは?と考えてしまう。

 けど、

「これ、お前らの分も含めてだぞ?」

「え?」

 えって、もしかして違うのか?違ったらだいぶ見当違いな発言をしてしまったものだな。今更取り消すことなんてできないだろうがな。

「だよな?」

 俺は一応、確認のためにクロミルに話を振る。これで俺の勘違いだったら泣くぞ。

「もちろんです」

「?何を言っているの、お兄ちゃん?そんなの当たり前じゃん!」

よかった。俺の勘違いじゃなかった。

だが、女エルフ達は驚いていた。

「…私達も、食べていいのですか?」

 …何、言っているんだ?

 もしかして、俺達が楽しそうに食べている姿だけを見せて、女エルフ達には何もしないと。そう思っているのか?憎い奴になら喜んでやるけど、女エルフ達は俺…じゃないな。クリム、イブ、リーフ達と同じ被害者だろう。被害者同士、分かりあえることもあるだろうし、ここは会食ということにして、みんなには食事を楽しんでもらいたいものだ。

 ま、ちょっとだけ、邪な心と罪悪感はある。

 邪な心というのは、ここから男女の関係にもちこせたら…というものだ。男だもの。これぐらい考えていてもいいよな?いいよな!

 罪悪感というのは、女エルフ達の全裸姿を見たことである。もちろん、全裸姿を見た時は世界樹と闘っていたので、凝視していたわけではない。不可抗力と言えるだろう。だが、見られた本人はそうはいかないだろう。それでは見られ損、というものだ。そんな罪悪感も多少あったので、簡単に見捨てることが出来ず、ここまできた、ということだ。

 料理は量こそ多いが、メニューはそこまで変わったものはない。というより、そこまで凝る時間がなかった、と言う方がいいかもしれないな。

 料理は牛すじ煮込み、ステルムが大量にあった。それと、ホットケーキ。ステルムの方はさっきクロミルとルリが作っていたものだろう。凄まじい量作っていたし。ホットケーキは2人で1枚なのか、11枚あった。結構豪勢な料理なような、いつも見ている料理のような…。ホットケーキはおそらく、ルリのアイテムブレスレットから出したものだろう。ルリにも何枚か渡していたからな。それにしても、11枚も渡したっけ?まぁいいか。

「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「やっぱりホットケーキは1人1枚が最高だと思わない?」

「はぁ…」

 こいつ、何が言いたいんだ?

 俺が疑問に思っていると、リーフ達5人は首を縦に振っていた。モミジはオロオロしていた。女エルフ達は???を頭に浮かべているようで、ホットケーキをマジマジと見ながら、「これ、何?」とか、「食べ物なの?」が聞こえてくる。

 ま、人にはそれぞれ食べ方があるし、それもいいか。俺はそう考え、ホットケーキを11枚取り出し、皿の上に重ねておく。

「「「!!!???」」」

 女エルフ達は急に驚きだした。

 何だ?何に驚いているんだ?

 まぁいいや。とにかく、

「クロミル。悪いんだけど…」

「お皿なら人数分で用意できております」

「そ、そうか。あんがと」

 クロミルさん?仕事、早すぎません?まだ頼んでもなかったのに…。みんなで協力して11枚のホットケーキを一皿一皿に移し、これで食事の準備は完了だな。

「それじゃあ、食事の用意も済んだことだし、食べるか?」

「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」

 こうして、7人は食事を始める。

 だが、

「「「・・・」」」

 女エルフ達の方は食事を始めなかった。

 前にも似たような光景を見た気が…?

 ここで、

「これ、とても美味しいよ!お姉ちゃん達も食べてみなよ?」

「そうです。とっても、とっても美味しいです。心がほっこりするような、やさしい味です」

 おい、ルリとモミジ。それくらいにしてあげな。クロミルは顔をうつ伏せ、二人の顔を直視出来ていない状態だぞ?その様子をクリム、イブ、リーフは微笑ましく見ているし。ちなみに褒めている料理はステルムです。ホットケーキではありません。

 ここでようやく、鉛と化していた手を動かし始め、ステルムを食べ始める。

「…美味しい」

「美味しいです!」

「こんな美味しいものが!」

 良かった。気に入ってもらえて何よりだな。

 ちなみに、ルリ達はというと、ホットケーキの上にステルムを置き、一緒に食べ始めた。みなさん、色々な食べ方に挑戦しますね。ちなみに味の方は如何なものだろうか?

「う~ん…。もうちょっとホットケーキが甘くなくなれば、美味しいんじゃないかな?」

「そうですね。今度、ステルムに合うホットケーキをみんなで作りましょう」

「「「「「賛成!!!!!」」」」」

 納得はいかなかったが、どうやら試作するみたいだ。

 …挑戦するって勇気がいることなんだなと実感した瞬間だった。

 そして、女エルフ達はホットケーキにも手を伸ばし始める。

 最初は恐る恐るといった感じなのだが、一口食べた瞬間、全員がこう言った。

「美味しい」

 と。

 その様子はまるでどこか別世界の貴族令嬢の様に上品だった。

 どこかの食いしん坊だったり、脳筋だったり、寝坊助だったりではない。本物のお嬢様、と言うオーラが食事から溢れている。ついでに涙も流れていた。たしかに美味しいが泣くほどのものなのか?

「こんなものを食べられる日が来るなんて…」

 ある女エルフは泣くだけでなく感動までしていた。その言葉にうなずく俺以外の女性のみな様。そこまで、なのか?確かに、ホットケーキマスターと呼ばれてもいいくらい、ホットケーキを作りまくったが、人を感動させるレベルになっていたとは。今、ブルーベリーソースとか、蜂蜜をだしたらどういう反応を見せてくれるのだろうか?気にはなったが、辞めておいた。

 こうして、涙したたる夕飯は幕を閉じ、みんな(俺とモミジを除いた5人)が後片付けを終え、飲み物をみんなに渡す。中身は…リーフ特製の味噌汁(の味がする緑色のスープ)だ。それを飲んで一息つく。

 さて、

「それで、お前達はリーフと同じ種族、エルフで間違いないな?」

「…はい」

「それじゃあ聞くが、どうして世界樹に捕まっていたんだ?」

 話を始めようか。

次回予告

『3-2-3(第192話) 難民救助』

 食後、女エルフ達から話を聞いた彩人達。その間、ルリ、クロミル、モミジはお風呂に入っていた。最初は聞いていて反吐がでる内容だった。それほどまでに、女エルフ達に対する扱いがひどかった。だが、話の方向が急に変わり始めていく。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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