1-1-15(第19話) イブ
「なんとも許せぬ話だな、くそ!」
「本当ですわ。私もそのアイを殺した犯人を見つけて制裁を加えたいですわ!」
そんなに興奮しないでくれますかね!?さっきから殺気があふれているのですけど!?
………ち、ちなみにさっきのはだじゃれじゃないからな。本当だぞ!
「それで、その犯人を見つけられると言ったらどうします?」
「「なにぃ!!??」」
こんな時こそ、俺の腕の機能の出番である。検索機能で、「アイを殺した犯人」で検索したら、犯人がわかりました。なんともチートである。ありがたや神様。
「ほ、ほんとうか!?」
「ん?あぁ、時間をくれれば連れてこられると思うよ。ただ………」
「ただ、なんですの!!??」
こわっ!そんなに顔を般若にしなくてもいいじゃないですか!?
「最低限の情報共有が必要なんで、人間の王族あたりには多少言っとかないと………」
「なるほど。困ったときは我の名を使うがよい」
「いいんですか?」
「いいわよ。それで娘の殺人犯を殺せるのなら」
目の前に、あなたたちの息子を殺した殺人犯がいるのですけどね。
「わかりました。それではいってき「まぁまて」まってなんですか?」
「貴様とは密に連絡をとりたい。だが我らは公務で忙しい」
さっきから公務しているように見えないのだが。
「そこでだ。我が娘を預けることにした」
「は?」
何を言っているんだこいつは?ていうかもう一人娘いたんだ!?
「我が娘に一瞬でこっちに来られる魔道具を渡す。それで一緒に連れて行ってもらえんか?」
「ちなみに拒否権は?」
「「ない(ですわ)!」」
あ、そうですか。強制ですか。はぁ。
「それでは、よろしく頼むぞ。我が息子と娘の無念のために」
「右に同じですわ」
「………よろしく」
「はい」
こうして俺は、魔族の王女を連れて、人間国の王国に行くことになった。
ちなみに、この王女は十七歳らしいが、見た目十歳というロリ体形で、きれいな紫の髪を腰まで伸ばした子である。顔も美女というより美少女が似合うような、そんな幼さを備えていた。なんともかわいらしい子なのだろう。初対面の俺はつい見とれてしまった。
………ロリコンじゃないからね?
あのあと、魔族の王女にワープをしてもらって、人間国に戻った。
「そういや、お前のことは何と呼べばいい?」
「………」
「えと…、【イブ】っていうはどうだろう?」
「………こく」
どうやら、イブと呼んでも大丈夫らしい。これで名前もばっちりだな。俺たちは王宮に向かった。




