表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第3色 緑の国 第一章 赤と緑が混在するフォレード
184/546

3-1-26(第184話) VS世界樹~その2~

 ここで、狭まっていた視界が少し広がる。

 【色気】、だと?

 【色装】ではないのか?

「ふっはっは!聞いて驚け見て驚け!貴様ごときに、この我が数百年磨き上げたこの技で、貴様を葬ってやろう!」

 と、何故か自慢げだった。

 なんだ?

 何かが引っかかっている?一体何が?

「ぐっ!」

「ほれほれ~。よそ見をしている暇はないぞ~?」

 俺の思考が横道にそれた瞬間、俺の腹を蔦で貫通させてくる。俺はとっさにその蔦を切り刻み、白魔法で腹を回復させるが、

(くそ!何余計なことに思考をまわしていやがる!しっかりしろ!)

 腹に違和感が残っているままだった。無理もないだろう。腹を貫通されて、平然としている人間はいないはずだから。

「ふっ【色気】は【色装】より格段に身体能力が向上するのだ!貴様の【色装】ごときが相手になると思うな!」

 と、世界樹は再び蔦を伸ばし、俺に襲い掛かってくる。

(さっきと同じように切り刻むだけだ)

 俺は神色剣を構え、蔦を切り刻もうとする。だが、

「なぁ!?」

 神色剣は蔦に弾かれ、勢いで俺の体が後退してしまう。

 そしてそのまま、

「がっ」

 蔦で足を貫通されてしまう。何とか、方向転換出来たものの、結局くらってしまった。

(くそ!もしかして本当に…。いや、もしかしたら、俺の【六色装】が切れていたのかもしれない)

 そう自分に言い聞かせる。そして、

「【六色装】!」

 再び【六色装】を発動させる。

「ふっ。また【色装】か。いいぞ、我の【色気】とお主の【色装】、どっちが強いか勝負だ!」

 そう言って、奴は、

「【樹海】!」

 魔法を発動させる。

 俺も、

「【蒼炎】!」

 蒼い炎を剣に纏わせ、地面から出てくる樹を徹底的に切り刻み始める。

 

 だが、俺はこの時気づかなかった。

 別の魔法を使えば、勝機があったということに。それほど視界が狭まり、相手を抹消することに固執していることに。


(なんで、なんで!??)

 俺が徹底的に切り刻もうとしても、奴の蔦は完全には切り刻むことができなかった。おそらくこれは、やつが言っていた【色気】と【色装】との違い、なのだろう。

 そしてとうとう、

「ぐは!?」

 奴の攻撃を捌ききれず、【樹海】の攻撃が俺の身に直撃する。

 一度直撃してしまうと、どうしても隙ができてしまう。その隙を狙われ、何度も何度も、俺の身に【樹海】で発生した樹が俺に襲い掛かる。

「あっ…。う…」

 俺の体に突き刺さった樹が、俺の動きを封じ、心を壊していく。

 反撃できる気力も、方法もなかった。

 ただ一つ分かったことは、

(こんなやつに、イブ達を傷ものにしたこいつなんかに負けるのか…)

 負けることに対する恐怖だった。

 俺がどんなに攻撃しても、その攻撃は通じず、奴の攻撃は一発一発が重い。

 これがいわゆる、【色気】と【色装】の違いだというのか?

「ふん!これで貴様も、我の強さが理解できたか?」

 俺は世界樹の発言に、

「あ…。い…」

 何も、言えなかった。今も血を流し続け、話せる状態ではなかったのだ。それを見越してか、奴は話を続ける。

「…なんだ?貴様()壊れてしまったのか?」

 と、俺を蔑み、そのまま奥に行こうとする。

「ま…。て…」

 俺は必死に引き止めようとするが、体が、唇が動かない。

「ふむ。我をここまで追い詰めた褒美として、面白いものを見せてやろう」

 と、世界樹はどや顔で俺に言ってくる。

 俺にはなんのことだか分からない。いや、そのことを理解するより、こいつを倒したい気持ちと、こいつに勝てなかった悔しさで、頭がおかしくなりそうだった。

「ほら、こいつらは、我が今まで遊んでいた者達だ」

 瞬間、奥の木が何本か抜け、全裸の女性達の姿が見えだす。その姿は、リーフに似ていた。

(もしかして、エルフ、なのか?)

 俺はおかしくなっていく頭で女性達のことを見ていく。

 蔦で身動きがとれなくなっており、服は当然着ておらず、服の残骸が地面に薄汚く残っている。何人かは、目がおかしくなっており、地面が何か所か膨らんでいる場所もある。

 そんな光景を見て、

(こんなに女性がいるのに、イブ達はその中の三人だった、ということなのか?)

 狭まっていた視界で、思考を開始していく。


 なんで、俺はこんな血まみれでいるんだ?

 世界樹を抹消するためだ。

 そんな世界樹は今、何をしている?

 イブ達とは別の、他の女性を弄んでいる。

 イブ達はどうなった?

 こいつに弄ばれたが、今はモミジが救い、何とか助かった。

 あれを見て、助けたと言えるのか?

 …言えないな。事後だもの。

 なら、そんな状態にさせた世界樹をどうする?

 抹消する!それだけだ!!

 でも、今はこんなにボロボロだし、【六色装】が通用しないんだぞ?

 だったら、俺も使うだけだ!


 こうして、俺の意識は覚醒する。

 富士の樹海みたいな迷路にいた俺が、ようやく辿り着いた答え。

 不安だろうが何だろうがボロボロだろうが、そんなの、関係ない!

 俺は!

 ズバン!!

「な、なんだ!」

 他の女性を弄んでいた世界樹は変な音に驚き、音がした方向を向く。

 なんせそこには、

「な!?なぜ貴様が立っている!?」

 俺が、死にかけていた俺が世界樹の前に立っていたのだから。

「俺もやってやるよ」

 俺はボロボロな体を強制的に行使し、

「【緑色気】」

 俺の目が緑色に変化した。

次回予告

『3-1-27(第185話) VS世界樹~その3~』

 ついに【色気】を発動させた彩人。だがそれは、自身の命を大きく削る諸刃の刃でもあった。その刃が世界樹に、そして彩人自身にも襲い掛かる。!


こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

感想、ブックマーク、評価等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ