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色を司りし者  作者: 彩 豊
第3色 緑の国 第一章 赤と緑が混在するフォレード
182/546

3-1-24(第182話) 事後発見

今回のお話はちょっとアダルティーな内容が含まれていると思います。

読みづらかったら申し訳ありません。

 一方、

「くそ!あいつらのせいで、時間をだいぶくっちまったじゃないか!?」

 彩人はフォレード達に怒りを覚えながら、先を急いでいた。


「それにしても、なんであいつら、ここが分かったんだ?」

 思い当たる節は…あったな。

 急に何本もの樹が生えてきたり、その樹を何本も倒したり、地面をアツアツにしたり…。なるほど。俺とフォレード達との戦いが、あの3人を呼んだのか。それにしても、モミジをルリ達のところに向かわせておいて正解だった。同族の殺し合いなんか見たくなかったからな。そういう俺は相も変わらず同族のペルセウスを殺したわけだが。そういえば、ペルセウスはイブの兄だけど、同じ人族、という扱いでいいのか?魔の国には翼が生えたやつがいたし。もしかしたら、俺はまだ同族殺しをしていないのかもしれない。今はそんなことどうでもいいのだが。

 俺は懸命にイブ達を探し続ける。

 時には草むらを、時には池を、時には木の上を…。

 だが、どこにもいない。

「くそ!一体どこにいるんだ!?」

 もうこの近くにはいないのか!?

 それとも、もっと森の奥にいるのか!?

 …駄目だ。もっと落ち着け、俺。まずは深呼吸するんだ。

 ・・・。

 ふぅ。ようやく落ち着いたな。

 さて、これからどうするべきか考えないと。

 今、俺の視界には、イブ達はいない。となると、目で探すより、別の方法で捜した方がよさそうだな。俺の検索エンジンも役に立たないし、どうすれば…。

「あ」

 そういえば、青の国でクリムと一緒に魔獣を狩っていたとき、なんか言っていたな。

 確か、

“やっと、【気配察知】が使えるようになったのですから!”

 だったか。

 もしかしたら、その【気配察知】を使えるようになることが出来れば、イブ達を見つけることが出来るかもしれない。だが、今の俺では、【気配察知】を使うことが出来ない。

 何だ!?

 俺には何が出来る!?

 今の俺が出来る精一杯の事。

 考えろ。

 …そうだ!

 聴力を強化すれば…。ダメだ。聴力を強化しても、正確な位置まで分かるわけじゃない。正確な位置を知るためには…。

「そういえば、」

 魔力で【気配察知】を使うことは出来るのだろうか?俺の魔力を俺中心に拡げるイメージでやれば、いけるんじゃないか?

 他に方法が思いつくわけじゃないし、ものは試しだ。やってみよう。

 …まてよ?

 強化した耳である程度方角を特定してから、イブ達の魔力を捜した方が確実ではないか?

 そうと分かったら、早速やるぞ!

 まずは、

「【赤色装】!」

 色装で全能力の強化。そして、強化された耳で、物音がする方向を確認だ。

 ・・・。

 駄目だ。

 全方位から、木が揺れ動く音が聞こえてくる。これでは、イブ達の音がどれか区別出来ない!くそ!なんでこうも上手くいかない!?

 …落ち着け。まだ俺には、魔力で探す方法があるじゃないか。落ち着いて、魔力を周囲に薄く広げて…。頼む!どうかこれで見つかってくれ!

 ・・・。

 あ!!!???み、見つけた!

 方角は、右だな!よし!これで後はそこに向かって走るだけだ!

 俺は一心不乱に走りまくった。

 そして、少し開けた場所に着き、周りを見渡してみると、

「…ん?何故こんなところに人が来ている?」

 大きな樹が、

「「「・・・」」」

 三人を裸にして、弄んでいた。


 屈辱。

 それは相手に屈服させられ、辱められること、だったか。それをゲームにした、いわゆる屈辱ゲーム、まぁアダルティーなゲームがある。俺もどこかのサイトで見たことがある。年頃の男の子ならちょっとだけ、ほんのちょっとだけ興味があったりなかったりするジャンルの一つでもあると思う。

 何故、そんな女性(男性でもいいが)の屈辱ゲームに需要があるのか?

 もちろん、興味がある人がいるからだと思うが、俺が思うに、それは、自分は一切関係ないこと、だと思っている。

 赤の他人なら、辱められている女性(男性)の身を心配するより、その痴態に性的に興奮したり、サディストな人なら、その後のことも考え、さらに性的興奮を覚えたりするだろう。俺の方は…聞かないでほしい。

 逆に、知っている人が辱めを受けていると知って興奮する人もいるだろう。俺には、何故興奮するのか詳しくは分からないけど。知らない人の裸は興奮するが、知っている人の裸はより興奮するとか、そんな感じ、なのだろうか?

 急に何故、こんなことを考え始めたのかというと、今、イブ、クリム、リーフの3人が、大きな樹によって辱められている最中だからだ。

 色んなゲームをやってきた俺だが、当然、屈辱ゲームも多少だがプレイしたことがある。みんなに内緒で、だが。俺も最初はのめり込んでやっていた。だが、すぐに辞めた。

理由は分からない。けど、なんとなく辞めた。

 けど、今の俺なら分かる。

 想像してしまうんだ。

 もし、自分の好きな女の子が他の男に辱めを受けていたら。そう考えて、無意識のうちに辞めていたのだ。

 もちろん、そのゲームをやっていた当時、好きな女の子、ましてや友達なんていなかった。だから、そんな心配をする必要なんて一切なかったはず。それなのに、何故か辞めてしまった。

 当時、そのゲームを辞めたことに後悔は一切なかったのだが、それでも、スッキリしていなかった。なんか、心の一部が黒く染められ、不穏なものを意図的に隠されたような、そんな感情を、だ。俺も何言っているのかよく分からん。だから、それ以降、一切そのゲームをやっていない。


 だが、イブ達が今、大きな樹によって辱めを受けている。

 俺の大事な人達が裸になって。

 そして、

「…お前、一体何をやっているんだ?」

 自分でも分かるほど、間抜けな質問を樹にぶつけていた。


「何って、見て分からぬか?供物を食していたところだ」

「供物を、食すだと?」

 言っている意味が分からない。

 否、理解したくない!

「そういえば、こいつらは初めてだったらしいな」

「…何?」

 よく見てみると、股から赤いものが見えていた。

 それを見た俺にその樹、世界樹は、

「やはり初めては格別だな。それに三人も同時に食えるとは。今年は豊作だな」

 俺はその世界樹の言葉に、

「・・・」

 ここまで来るのに疲れていたとか、魔力を消耗していたとかがどうでもよくなっていた。そして、静かに神色剣を抜いた。

「お?もしかして、我とやる気か?言っておくが、我に傷一つでも付けるものなら…」

「うるせぇよ」

 世界樹の言葉を遮り、俺は三人を拘束している蔦を切り刻んだ。そのことにより、体の支えが無くなった三人を、魔力で形成した腕で優しく包み込む。

「き、貴様!?我の食事中によくも…!!!」

 俺は世界樹の言葉、行動を一切合切無視し、

「大丈夫か、三人とも?」

 白魔法で回復する。傷自体は体にはないみたいだが、服の残骸が周囲に落ちている。そのことから、世界樹が破り裂いたのだろう。

「…あ、や、と…」

「ごめん、なさい…」

「アヤト達を、こんなことに、巻き込んでしまって、私…」

 イブ、クリム、リーフそれぞれが、途絶え途絶えに返事を返してくれた。

 良かった。ひとまずは無事みたいだな。

 俺はアイテムブレスレットから毛布を取り出し、三人にかける。

「もう少ししたら、」

「アヤトさん!大丈夫ですか!?」

 絶好のタイミングで助けがきてくれた。

「モミジか。ちょうどいい。三人を安全なところに運んでやってくれ」

「え?それは構いませんけど、大丈夫ですけど、大丈夫ですか?」

「?何がだ?」

「世界樹のことです!今も懸命に防いでいるじゃないですか!?」

 そう。

 三人を助けた頃から、世界樹は蔦を伸ばし、俺を攻撃しているのだ。ま、俺が全部神色剣で切っているわけだが。

「俺の事は大丈夫だ。それより、」

 俺は世界樹をチラ見した後、三人に視線を動かし、

「三人を任せたぞ」

 モミジの目を見て言った。

「は、はい!」

 俺の言いたいことが伝わったのか、モミジは蔦を器用に使って三人を運んでいった。これで三人は大丈夫だろう。

 さて、

「おい」

 自分でも驚くくらい冷たい声が出る。

「なんだ!?我の食事を邪魔しよって!貴様を森の養分として…!」

「そっちこそ、覚悟しろよ?」

 自分でも気味が悪いぐらい落ち着いていた。怒りという感情が、俺という器をぶっ壊して溢れかえるのかと思ったけど、違うのか。

 いや、無意識に理解しているのかもしれない。

 むやみやたらに怒っていても、戦況は一向に変わらず、それどころか悪くなる一方になるということが。だから、無意識に怒りを別のベクトルに置き換えているのかもしれない。けど、今の俺には、そんな分析や、考えなんて必要ない。

 俺はただ、

「俺の大事な仲間に手をだして、生きていけると思うなよ?」

 こいつを抹消する。

 そのためなら、

「ふん!貴様こそ、その出過ぎた態度、今すぐ改めさせてやる!」

「【六色装】」

 喜んで力を使ってやる!

 俺は世界樹めがけて、思いっきり踏み込んだ。


 その時、彩人は気付かない。知らないうちに、多量のアドレナリンがでていることに。

次回予告

『3-1-25(第183話) VS世界樹~その1~』

 ついに戦闘を開始し始める彩人と世界樹。彩人は怒りに飲み込まれてはいないものの、視野を狭め、世界樹を滅多切りにする。それが知らず知らずのうちに、世界樹を追い込み、巡り巡って、自らを追い込んでいく。


 こんな感じの次回予告となりましたが、いかがでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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