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色を司りし者  作者: 彩 豊
第3色 緑の国 第一章 赤と緑が混在するフォレード
177/546

3-1-19(第177話) 集合からの・・

すいません。今週もこの1話だけの投稿とします。

最近忙しい上に、個人的にショッキングな出来事もあり、なかなか執筆活動が捗りません。

早く暇になりたいです。


「…あれ?誰もいない、のか?」

 俺が宿に戻ってきたとき、部屋には誰もいなかった。

 ちなみに、ノックをせずにいきなり入ったわけではない。ノックをし続け、

「イブ?クリム?リーフ?ルリ?クロミル?モミジ?」

 何回も、そう、何回も呼んだうえで入ったのだ。ここでみんなが着替えていや~んな場面に出くわしてしまうかと思ったが、そうじゃなかったらしい。惜しい気がしないでもないが、確認したいことはしたし、今は他のみんなのことだ。

 俺はまだ帰ってきていないと思い、外でちょっと待つことにした。

 その間、何していようかな?

 そういえば懐かしいな。地球にいた時もこうして誰かを待っていたっけ。待ち合わせごっこ、だっけか。一人で誰かを待つという、今でも意味不明の遊びだ。なんであんなことをしたのだろうか。ま、ボッチだったから、だろうな…。

 こんな屑な思い出を思い出すより別の事を考えよう!

 …そうだ!あの本に書いてあったことについて考えるとしよう。

 まずは、魔法についてだ。

 魔法の研究、という題名の本を読んだ限りでは、基本的な色魔法は6種類と記されていたはずなのに、不幸な戦争の歴史、という題名の本では、昔の七人はそれぞれ異なる色魔法に適性があった、という話だ。六人は記載してあったし納得できるが、七人目は一体何の魔法だ?紫魔法だったとしても、それはつまり、赤魔法と青魔法、二つの色魔法に適性があったはずだ。それでは他の奴と適性が被ってしまう。あの本には、七人全員違うと書いてあるのだから。となると、俺の知らない色魔法があるというのか?

 そして、あの戦争のことだ。

 あの書いてあった戦いというのは非常に気分が悪くなる。誰も幸せにならない戦い。勝っても負けても不幸になるとか、どんな選択肢だよ。普通、そんな結末を迎えるって分かっているなら、戦争なんて起こさないんじゃ…?それとも、そんなことにまで考えが回らないほど、切羽詰まっていたのか?はたまた、後先考えずに戦争を引き起こす、戦闘狂ならぬ戦争狂だったのだろうか。それとも、どんな結末を迎えようとどうでもよかったのか?

 駄目だ。考えれば考えるほど分かんなくなる。

 こういう時は別の事を考えよう。

 そういえば、あのカフェで食べたカルボナーラうどん、美味かったなぁ。確か、シラリア、とか言うんだっけ?美味かった。マジで美味かったよ、シラリア。大事な事なので、2回言いました。それにしても、うどんやカルボナーラがあるなら、他の麺料理もあるかもしれないな。ナポリタンとか、ボンゴレとか。それらを素麺や蕎麦でいただくのも悪くなさそう。カルボナーラうどんがあるくらいだ。試しで作るくらい、いいよな?麺の神様に対する冒涜だ!とか言われないよな?後で材料をチェックしておこう。それにしても、小麦粉大活躍だな。中力粉とか薄力粉とかあるけど、全部買っておいてよかった。買った時の俺、

「超グッジョブ!」

 と、独り、親指をたてた。

 つもりだったのだが、

「「「「「・・・」」」」」

「…は!?」

 見られていた。

 みんなに見られてしまった。恥ずかしい!穴があったら入りたい!そして視線が痛い!

「…お兄ちゃん?何、していたの?」

 蔑み、とまではいかないものの、かなり引いていた。

 逆の立場に立ってみれば俺がどれほどおかしな行動をとってているのかが分かるだろう。俺自身、分かりたくないが。

「い、いや!ちょっと、な?」

「いや、ちょっとと言われても…」

 ぐ!ルリから鋭いツッコミが!!

「考え事!考え事していただけなんだ!」

 と、浮気がばれた間男のように大声で言い訳し始める俺。

「…アヤト。取り敢えず落ち着く」

「…そ、そうだな。まずは落ち着くことにするよ」

 深呼吸を何度も、何度もしてようやく落ち着きを取り戻す。

「そこまでしないと落ち着けないって、ほんと、何をしていたのですか?」

 クリムからも憐みの視線をいただき、いたたまれなくなった俺は、

「と、とりあえずさ!部屋でちょっと休憩してから夕飯時に集合な!俺、それまでは自分の部屋にいるから!」

 と、駆け足でその場を去った。

 ふっ。逃げるが勝ちというが、その言葉は本当だったようだ。ありがとう、この言葉を考えてくれた人!俺はこの言葉を糧にして、精一杯逃げさせてもらいます!

 そして、残されたルリ達はというと、

「…さっきのお兄ちゃん、どうしたんだろう?すっごく変だったね」

 一同、

「「「「「(こくり)」」」」」

 意見が一致した瞬間だった。


 い、いやー。恥ずかしい場面を見られてつい動揺してしまった。失敗、失敗。今度とも気を付けるようにしよう。地球にいたときもこうしてお友達、と呼べていた人を大いに失ったのだからな。…俺、地球にいた時から全然進歩していないな。少しは成長していると思ったのに、自分にがっかりだ。

 そして、部屋の扉を開けた時、

「うわっ!?」

「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」

 扉の前に全員集合していた。

 思わずびっくりして変な声をあげてしまったが、許して欲しい。これは反則だよ。

「ど、どうしたんだ、みんな。こんなところにいて」

 俺の体に悪いぞ。

「お兄ちゃんが心配だったからその…。さっきのお兄ちゃん、とっても変だったから…」

 え?そこまで変だったのか。

「アヤト。もしかして、今困っている事とかあります?私でいいなら相談にのりますよ?」

「…クリムに同意」

「私だって、私が出来る限りの事はするつもりだよ!」

「ご主人様。私は命を懸けて、ご主人様の命を全うするつもりです」

「え、えっと、私に出来ることなんてあるのでしょうか?」

「・・・」

 どうしよう?

 ただ単に、小麦粉を大量購入していた良かった!とガッツポーズをしていただけなのに…。ここまで心配されるとは思わなかったぞ。どうしよう?

 ・・・。

 こ、ここは一か八かでやるしかない!

「じ、実は新しい料理を考えていてな、」

 俺がまだ話しているにも関わらず、

「「「「「新しい料理!!!!!?????」」」」」

 と、割り込みをいれるほど興奮しているご様子。

「え?新しい料理って、え?ええ?」

 モミジはピンときていないらしい。おそらく、寄生している木刀の中でオロオロしているに違いない。

「そ、それで、そろそろ新しい料理を作ろうかと思ってな、それでその料理の味を思い出していたら、つい、な?」

 こ、これでごまかせるだろうか?

「…アヤトがおかしくなるほど美味しい料理」

「「「「ごくり」」」」

 みなさん、生唾を飲んでいました。

 あれ?もしかして、知らず知らずのうちに、作る料理のハードル、上げてないか?大丈夫、だよな?

「…え?結局、アヤトさんは大丈夫、なのですか?」

 みんなが食欲に負けているなか、モミジだけは俺の身を案じてくれたらしい。まじでいい子。

「あ、ああ。問題ないよ。無駄に心配かけて悪かったな」

「い、いえ!」

「…それで、いつ作ってくれるの?」

「はい?」

 一体何の話を…?

「「「「「新しい料理!!!!!」」」」」

「あ」

 ごまかすのに必死で今さっき言った自分の発言を忘れていたよ。忘れっぽいなー。

「そ、そのうちに、な?」

「「「「「「「ほんと??????」」」」」」

 みんなの視線が痛い。

「ほんとだから。それより、みんなは今日、どうだったんだ?」

 おれは無理矢理にでも話題を変える。まだ作る料理について、詳しく調べていないからな。

「あ!お兄ちゃん、お兄ちゃん!お兄ちゃんにお願いがあるの!」

「ん。なんだ?」

 ちょっとお兄ちゃんを連呼し過ぎな気もするが、俺は気にせずに話を促す。

「このブレスレットにクロミルお姉ちゃんとモミジお姉ちゃんを加えてほしいの!」

「…どういうこと?」

 俺はルリの横にいるクロミルに視線を向ける。

「それはですね…、その模様の中に、私の分の模様と、モミジ様の分の模様を加えてほしいのです」

「模様?」

 あ。この包丁と蛇のことを言っていたのか。改めてみると、俺の模様が包丁って…。

「それは構わないが、どんな模様にするかは決めなくていいのか?」

「あ。それならもう決めてあるんだ!確かこの中に…あった!これだよ!」

 と、テーブルの中央に一枚の紙を置いた。この紙をみんなで見た。

 これは…。蛇、牛、木を三角形のように配置し、その中央に包丁があった。牛はおそらく牛人族、クロミルのことだろう。この木はモミジだな。

「それでね。この模様をもう一回入れなおしてほしいの」

「…まぁ、そのくらいなら問題ないぞ?」

「ほんと!?」

 この絵を【付与】すればいいだけだし、問題ないはず。そういえば、重ね掛けした時はどうなるんだ?上書きされるのだろうか?確認した事なかったな。

「後ね。クロミルお姉ちゃんとモミジお姉ちゃんにもお揃いのブレスレットを作ってあげて欲しいの。駄目、かな?」

 と、ルリがウルウルしながら上目遣いで頼んできた。

 こ、こいつ!俺の弱点を突いてきやがる!何気にクロミルとモミジからの視線が…!

「それはいいが、魔銀の方は頼むぞ?」

「うん!」

 まったく。欲に忠実というか、仲間想いというか…。羨ましい限りですな。

「私達からは、みんなに渡したい物があります」

 と、ここでリーフがみんなに提案し始めた。

「渡したい物ってなんだ?」

「…それは、」

「秘密です!」

 イブの発言に割って入ったクリムが、秘密宣言をした。ここにきてお預けとか生殺しですか?これが性欲だったら、本当に危ないですよ?

「え?別に今言ってもいいのでは…?」

 リーフがクリムの意見にやんわりと反対したが、

「いえ!あれは戦闘の時に使いますので、その時に渡しましょう!」

 と、クリムは言い放つ。

 だから、あれって何だ?

「…一理ある。こんなところで渡しても迷惑になるだけ」

「…それもそうですね。私達の方は後日、ということで」

「えぇ~?何をくれるか教えてくれないの~?」

 ここでもルリの上目からの目ウルウル攻撃がイブ、クリム、リーフの3人に炸裂するぅー!さぁ、勝負の行方は如何に!?

「だ、駄目です、よ?」

 な、なんとぉ!?クリム選手がかろうじて耐えたぁー!なんという強靭な精神力!

「わ、分かったよ…」

 そして、ルリ選手が自ら敗北を選択ぅ!

 よって勝者は、イブ、クリム、リーフの3人だぁー!!!

 …ちょっと実況っぽく言ってみたが、これは恥ずかしいな。声に出さなくてよかった。

 だけど、俺達に渡したい物ってなんだろうか?

 もしかして、わ・た・し♪だったりして。…こんなことを考えるから、俺はこれまでボッチだったんだろうな。そう自己分析し、自己嫌悪に陥った。

「それじゃ、夕飯にするか?」

 その言葉に全員頷く。そして、俺達は宿で夕飯を食べ、雑談に花を咲かせる。

 ただ、

「…そういえば、この国に女性って少ないのですかね?今日は一度も見なかったのですが…」

 このリーフの発言が気になった。俺はカフェみたいなところにいたから知らないし。あの店員も男だったしな。

 ご飯を食べ終え、それぞれの部屋に戻った。その際、ちゃんと朝にまた集合、という約束をし、俺達は今日一日を終えた。

 

 そして翌日、事態は急変した。

「お兄ちゃん、大変だよ!リーフお姉ちゃん達がどこにもいない!?」

「なんだと!?」

 リーフ、クリム、イブが宿から消えた。

次回予告

『3-1-20(第178話) 男エルフ達の動き』

 彩人達がロウカンの町を訪れた頃、彩人だけでなく、ロウカンの町の住民も浮かれていた。そして、男エルフ達は国からの依頼のため、作戦を練り、みんなが寝静まったであろう深夜に、行動を起こす。


 次回予告はこんな感じとなりましたが、どうでしょうか?

 評価、感想、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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