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色を司りし者  作者: 彩 豊
第3色 緑の国 第一章 赤と緑が混在するフォレード
165/546

3-1-7(第165話) フォレード等に関する勉強会

「ふぉ、フォレード?森災?」

「そうです。緑の国は世界樹、そしてフォレードという種族によって守られているのです」

 と、話すリーフに、

「「「へぇ~」」」

 感心する俺、ルリ、クリム。

「…ちなみに言っておくけど、これは誰もが知っていること。クロミルやルリはともかく、なんでアヤトやクリムが知らないの?」

「「…」」

 俺はもちろん異世界の人だから、この世界の常識なんて知っているわけがない。

 この世界に来てからもう半年?一年?くらい経過している気がするが、一向に本なんか読みたくない。というより勉強したくない。日本での勉強が結構なトラウマなんだよなぁ。

「わ、私は、勉強が嫌いだったので、その分特訓に時間を費やしていました。それで…」

「く、クリム!」

「アヤト!」

 グッ。

 俺は無言で見つめ合い、かたく手を結ぶ。

 分かる。その気持ちよ~く分かる!勉強なんてクソくらえだ!!

「…何二人で分かりあっているの?」

「だって、ねぇ?」

「だよなぁ?」

 まったく。進んで勉強しようなんて意識を持っている人の気がしれん!

 勉強よりだらけきった生活!これこそ正義だろう!

 欲を言えば、だらけていても、安心かつ安定した生活を送りたい。

「とにかく。今回は私の話を聞いてしっかり憶えて下さいね?」

「「えぇー」」

「い・い・で・す・ね?」

「「はい…」」

 こうして俺とクリムは、嫌々ながらも、リーフの話を聞くことにした。

 話を聞いた結果、緑の国には森災、世界樹、そしてフォレードという生物がいるらしい。

 森災は、森に災いをもたらし、人から衣食住を奪う生き物、とのこと。しかも、人の命はわざと奪わず、噂では、餓死する様子を今もどこかで楽しんでいるのではないか、と言われている極悪生物らしい。

 世界樹は、そんな森災から緑の国を守るために緑の国近辺にいる守り神、みたいな存在らしい。なんでも、緑の国の至る所に世界樹を称えたオブジェがあるんだとか。そして毎年、世界樹に供物を捧げるらしいが、その供物の詳しい内容はリーフにも分からないらしい。それどころか、国の民のほとんどが知らず、知っているのは極わずか、とのこと。ここが一番謎だよな。

 そして、一年中世界樹が森災を見張っている訳にもいかないので、眷属を生み出し、そいつらに一部任せている。それがフォレードという種族である。


 簡単にまとめれば、こんな感じかな。

 だけど、一番気になっていることが分からなかった。

「それで、その森災?世界樹?フォレード?の姿ってそれぞれどうなっているの?」

「それが、よく分かっていないんですよねぇ…」

「…。リーフの言う通り。情報が錯そうしていて、フォレードの事しか確かなことが分からない」

 ということだった。

 フォレードの見た目について聞いてみたところ、大きく分けて3種類いるのだとか。

 1種類目はウッドピクシー、という妖精である。小さく、いたずら好きで、楽しいこと好きで、みんなと一緒に話をすることが大好きだという。

 2種類目はドライヤド、という精霊である。大人しく、知慮深く、優しい性格なのだという。しかも、ドライヤドの見た目はみんな美人、とのこと。

 3種類目は

「じ、人面樹?」

 である。

 人面樹はドライヤドとは対照的な精霊で、気性が荒く、喧嘩っぽく、自尊心が少し高いらしい。そして何故か、人面樹の顔はみな、中年男性のようだと言う。

 これを聞いてみて、

(ドライヤド、か。絶対にあいてえ!)

 そんな決意を固めていた。何せ、ドライヤドはみんな美人というではないか。異世界に来たら一度はあってみたいと思っていたんだよな。ま、会えなかったら会えなかったでしょうがないが。

 それにしても、

「そのフォレード、つうのは一体なんだ?」

「なんだ、と聞かれても…」

「?…どういう事?」

「いや、フォレードはウッドピクシー、ドライヤド、人面樹の3つの種族で成り立っているだろ?だから、その…」

 なんだろう。上手く言葉に出来ない。

「これは私の推測ですが、フォレード、という仕事をしている3つの種族、と考えればいいのではないでしょうか?」

 ここで、リーフが助け船を出してくれた。

 フォレード、という仕事か。

「なるほど。納得した。ありがとう、リーフ」

「…クリムは?」

「zzz…。は!?ね、寝ていませんよ!?ちゃんと、ちゃんと起きていましたよ!?」

「「「・・・」」」

 俺、イブ、リーフの視線がクリムの全身に突き刺さる。

 ちなみに、イブ、クロミルには夜中の見張りをやってもらうため、二人そろって熟睡中である。よって、クリムをかばう人なんて一人もいない。

「…あ!もうそろそろ見張りの交代の時間じゃないですか!?今、クロミルとルリちゃんを」

「…まだ時間じゃない」

「・・・」

 イブ。クリムに対しては人一倍残酷だな。

「…そうよ。私、さっきの話を一切聞かずに寝ていましたがそれが何か!?」

 開き直って逆切れするとは。

 さすがの二人も固まって動けないようだ。

「…すいませんでした。私が完全に悪うございました」

 そして、逆切れからの頭を下げての謝罪。

 情緒不安定じゃないかと思うくらいの切り返しの速さだ。

 そんな謝罪を皮切りに、

「ま、わざとじゃないなら、仕方ありませんよね?」

「…謝罪は受け取る」

「ありがとうございます」

 そうして、乙女達は俺の存在を空気の様に思っているのか、交代の時間になるまで3人で楽しく話をしていた。ま、俺は慣れているからいいけどね。


 そしてさらに数日経過し、事件は起きた。

「…ご主人様。大変失礼なのですが、」

「ん?なんだ?」

「その、道に迷ってしまいました」

「え?」

 異世界に来て、迷子になってしまった。

これで今週の投稿はこれで終了します。

感想、ブックマーク、評価等よろしくお願いいたします。


また、前回出てきた『ロウカン』は『琅玕』と書き、暗緑色または青碧色の半透明の硬玉、だそうです。

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