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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 表面化で蠢く浅葱色の陰謀
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2-3-25(第150話) 青天の霹戦 ~語られない戦いその3~

 あれから俺はルリ達と別れ、さらに森の奥へ走っていったわけだが、

「そういえば、なんで俺はこの方角にいると思ったんだ?」

 動かしていた足を止める。

 まずい。

 あいつを探し出す方法が分からない。

 どうしよう?

 ・・・。

 ああ!!??

「腕で検索すればいいのか!?」

 なんでこんな簡単なこと気づけなかったんだろう。

 俺はなんて馬鹿なんだ。

 すぐさま俺は腕の検索機能でメイキンジャーの居場所をサーチする。

 …いた!

 場所は、ここから北西?あ、左か。

 距離は走って十分、といったところか。

 俺は走ってメイキンジャーの場所へ向かう。


 走ることおよそ十分。

 そこにはやや拓けた荒野、そして小さな丘があった。

 その小さな丘に、

「?…おや?誰かと思えばいつぞやの人ではございませんか?」

「!?お前はあの時の!やはりお前が絡んでいたのか、メイキンジャー!」

 そいつ、メイキンジャーがいた。


「まったく。だから私はメイキンジャーであって、メイキンジャーではございませんよ?」

「はぁ!?何を訳の分からないことを言ってやがる!」

 こいつ、前に自分はメイキンジャーだって公言していなかったか?

 って、今はそんなことより、

「お前がこの一連の騒ぎは全部…、」

「ええ。私が仕組んだものです。それが何か?」

 と、悪びれもせずにメイキンジャーは答える。

 俺はその返事を聞いた後、神色剣を構えながら、

「それじゃあ、この騒ぎを止めてくれねぇかね?」

 と聞く。

「それは無理ですね。もう私の手を離れてしまいましたから。後は気の向くまま風の向くままです」

 何だと!?

 それじゃあ、

「そう。後は時が来るのを待つだけです」

 時?

 一体何の時だ?

 いや、こんなことを考えている余裕もないか。

「いや。止める方法がまだあるぞ」

「ほぉー。それは興味深いですね。その方法とは?」

「お前を倒すことだ」

 そう言って、俺はメイキンジャーの元へ駆け出し、

「ふん!」

 神色剣を振り下ろす。

 だが、そこにはもう、メイキンジャーの影が無かった。

「やれやれ。もう私の手から離れたと言っているのに、何故そんなことを考えるのでしょうか?私は不思議でたまりません」

 と、まるで馬鹿を見るような目で俺を見てくる。

 こいつ、いつの間に俺の後ろに移動したんだ!?

 まったく見えなかったぞ!??

「最近の冒険者は相手の話も聞かない馬鹿に成り下がったのですか?」

「…別に。ただ、お前が言ったこと全部を信用したわけじゃない。だからこう判断したんだ」

 と、メイキンジャーの発言に傷つきながらも言い返す。

「なるほど。自分に都合の悪いことは全部聞こえないふりをしてごまかそうとする。それだから我が主は…!」

 と、メイキンジャーの怒りが目に見えて増大していく。

「…失礼しました。あなたには関係ないことでしたね」

 と、メイキンジャーは軽く頭を下げる。

 …なんだこいつ?

 本当に得体のしれないやつだ。

 …もしかして、本当は俺と戦う気なんてないのでは?

 だが、何故こんなことを?

「…何故、お前はこんなことをしている?」

 いつの間にか聞いていた。

 口が動いていた。

「…主の命に従ったまでです。ですが、このままでは実験結果が芳しくありませんね」

 と、メイキンジャーは何か考え込んでいた。

「…そうだ!私が直接出向いてあの方々を殺してしまいましょう。そうだ、それがいい!」

 と、いい案を思いついたかのように顔を明るくする。

 だが、

「そんなことはさせない!させないぞ!!」

「…やはり、こうなるとあなたが出張ってきますか」

「当たり前だ!!!」

 絶対にイブ達の元には行かせない!

「結局、話し合いだけでは解決できませんでしたか。残念です」

「ああ、そうだな」

 本当はこいつとやりたくない。

 実力は未知数だが、おそらく俺よりも上であることは確かだ。

 それに…。

「仕方がありません。冥土の土産に私の名前でも持っていくがいい」

 そう言いながらメイキンジャーは杖を構え、

「我が名はメイキンジャー・ヌル!我が主に代わり、貴様を冥土に送って差し上げましょう」

 そう言いながら、メイキンジャー・ヌルは俺の視界から消えた。


 き、消えた!?

 もしかして、あいつは瞬間移動が出来るのか!?

「遅いですよ」

「!!??」

 後ろから声が聞こえた。

 だが、声が聞こえた、という認識が出来ただけで、体はまったく動けずに、

「!?ガハッ!」

 やつの杖による打撃が腹に直撃し吹っ飛ぶ。

 数メートル先の岩に激突し、ようやく俺の体が止まる。

 そこで、

(!?い、いってぇ…)

 腹の痛みと岩と衝突した際の痛みが全身によぎる。

 あいつ、一体何を…!?

「やれやれ。そんな程度で私を足止めできると思ったのですか?片腹痛いです」

 と、メイキンジャーは呆れ口調で言ってくる。

 ふっざけんなよ!

 目視出来ない速度で移動されて、どうやって戦えばいいんだ!?

 …あ。

 俺、まだ【色装】使ってないや。

 よし、まだ希望はある。

「まだまだこれからだ!【四色装・赤青黄緑】!!」

 俺は四色のオーラを身に纏う。

「ほぉ。【色装】、ですか。久々に見ましたねー」

 と、何故か感心していた。

 俺は、

「これで死ね!」

 と、メイキンジャーを圧倒したつもりで攻撃をしかける。

 だが、

「まだまだ、ですね」

「!!?」

 またも声が聞こえた。

 今度も後ろから。

 今度はようやく首を後ろに向けることは出来たが、それでもメイキンジャーの姿がまったく目視出来なかった。

「ぐ!?」

 俺はまたも吹っ飛ばされる。

 そして、吹っ飛ばされてから十数秒経過してから、

(ど、どういうことだ、これは!??)

 自分の意識が覚醒し、今の状況を整理し始めた。


今週の投稿はこれでお終いです。

引き続き、来週の投稿も読んでください。

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