表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 表面化で蠢く浅葱色の陰謀
145/546

2-3-20(第145話) 青天の霹戦 ~後に語られる英雄達その4~

最近ですが、二次創作の意味を調べ、

「あれ?私の作品って、二次創作じゃないんじゃ…?」

 となり、慌てて削除しました。

 紛らわしい真似をしてすみません。

 魔力を混ぜ合わせること。

 それは、息の合った魔術師二人でもなかなか難しいとされる技法である。

 魔力を同じ比、同じ量で混ぜ合わせる。

 言葉にすれば簡単だが、そうは問屋がおろさない。

 これにより、何人もの犠牲者が生まれたほどだ。

 しかも、魔力を実際に混ぜ合わせないと、どういった効果が表れるか分からない。

 ある人は、魔力の保有量が多くなった、という。

 またある人は、体の調子が良くなった、という。

 本当に実に様々である。

 なので、魔力を混ぜることに関しては様々な情報が飛び交い、今もどこかで魔力を混ぜることに関して研究している者がいたりいなかったりする。



 そして、

「…それじゃ、いくよ?」

「「はい!!」」

 三人の魔力が混ざり始めた。

 見た感じで言えば、イブの黒い魔力に、クリムの紅い魔力とリーフの緑の魔力が吸収されているように見える。

 そして、その三つの魔力はやがて、渦巻き状に回転し始めた。

 失敗するとみられる大爆発も起きない。

 つまり、

「これって成功ってことじゃないですか?どうですか、イブ?」

「…ん。クリムの言う通り」

「やった!」

 年甲斐にもなく、リーフがはしゃぐ。

「「…」」

「あ。いえ、何でもありません」

 二人の視線を感じたのか、そのままリーフは委縮する。

「それで、成果は?」

「…ばっちり♪リーフが上手く私達の魔力をまとめてくれている」

 イブの一言で勝機を見つける三人。

 だが、その雰囲気をぶち壊すかのように、

「あの、お取込み中のところ、申し訳ないけど…」

「魔獣の軍勢が、もうそこまで迫っているよ?」

「「「え???」」」

 カイーガとラピスの言葉で三人は今一度辺りを見回す。

 そして、遠めで確認できるくらいの距離にまで、魔獣の軍勢が迫っていた。

「い、いつの間にこんな近くに!?」

「あ、はい。それで、対策の方は大丈夫?」

 ラピスは少し震えた声で話しかける。

「それなら大丈夫です。欲を言えば、もう少し時間が欲しいところです」

「え?なんでです?」

「…はぁ。やっぱりクリムはお馬鹿」

「なぁ!?どうしてよ!??」

「…いくら私でも、すぐに最高出力で魔法を繰り出せるわけじゃない。それなりに溜めるための時間がいる」

「つまり、さきほどリーフが言っていた時間というのは…」

「…ん。溜める時間の事」

「なるほど」

 クリムはスカッとした顔をしているのに対し、イブとリーフはやや疲れた顔をする。

「これなら、僕達の作戦も無駄にならずに済みそうですね、カイーガさん?」

「ああ、そうだな」

「「「???」」」

 三人の頭の中に?がたくさん浮かぶ。

「どういう、ことですか?」

 瞬間、リーフの頭の中に最悪な考えが浮かぶ。

 だが、それを必死に否定しながらラピス達に聞く。

 どうか、この考えが外れていますように!

「それは、僕達が囮になることだよ」

 それこそまさにリーフが頭の中に思い浮かんだ最悪の考えだった。


「無茶です!さっきの魔獣の軍勢でも私達五人で、しかも全快でようやく倒しきれたというのに!それを二人、しかもそんなに疲弊しているのに!」

「大丈夫。さっき十分に休んだから、な?」

「そうです。みんなが頑張っている間に十分休ませてもらいましたので、次は僕たちの番です!」

 そう言いながら出撃する準備を始めるラピスとカイーガ。

 準備する様子からはとても全快とは思えなかった。

 手は震え、膝もときどき笑い、顔もひきつっている。

 まるで何かに怯えているようである。

 そんな様子の二人を見捨てるなんて出来ない!

 だから、

「無茶ですよ!なんなら私も…!」

「クリムさんはここでイブさんとリーフさんと一緒にいてください!」

「「「!!!???」」」

 急に声を荒げたラピスに驚く三人。

「…確かに、僕には魔獣を倒すことは出来ないかもしれません。カイーガさんに迷惑をかけてしまうかもしれません。それでも、それでも僕は!」

 一呼吸置き、

「みなさんを、必ず守り抜くますから。だから、信じて下さい、お願いします」

 頭を下げるラピス。

「ど、どうかラピスの意志を尊重してくれ!俺からも頼む!」

 続いてカイーガも頭を下げ始める。

「「「・・・」」」

 

 この状況に固まる数分。

 最初に口を開いたのは、

「…分かった」

 イブだった。

 その発言に、

「な!?何を考えているのですか!??この食いしん坊は!??」

「そうです!このままだと二人、死んじゃうかもしれないのに!」

 クリムとリーフだった。

「…確かに危険。だけど、言い争う時間もないし、それ以上の案が私には思いつかない」

 イブは向かってくる魔獣の軍勢を指差しながら淡々と言う。

「…それなら、二人はラピスの提案よりいい案がある?」

「「…」」

 イブの言葉にただただ黙る二人。

 その無言は肯定を示していた。

 何に対する肯定なのかは言う必要があるまい。

「…分かり、ました」

「そ、そうです、ね」

 ひねり出して出た言葉がこれである。

 言葉からして、嫌々感はあるが、それでもラピスは、

「あ、ありがとう!!」

 さらに頭を深く下げる。

「…それじゃ、二人とも頑張って」

「そ、そうですね!僕、頑張ります!」

「そ、そうだな!」

 二人は慌てて準備を続行する。


 準備が終わり、

「それじゃあ、後はよろしくお願いします」

「ちゃんと時間は稼いでくるよ」

「時がきたら知らせますので」

「ちゃんと聞いていてくださいね」

「…ん、がんば」

 三人は二人を見送る。

 二人は魔獣の軍勢の中に向かって走っていく。

 その背中を見つめ、

「さて!それじゃあやりましょうか!」

「…脳筋娘が仕切らなくていい」

「…イブ?ほんとに覚えておきなさいよ?」

「まぁまぁ。今それは後です。それより…」

「ええ!」

「…ん」

 三人はイブの前に手をかざし、

「いきますよ!イブ、クリム?」

「「はい!!」」

 三人はさっきより多くの魔力を混ぜ合わせ始めた。

次回予告

『2-3-21(第146話) 青天の霹戦 ~後に語られる英雄達その5~』

 ついに逆転の兆しが見え始めた。

 ラピスとカイーガの二人は三人のことを信じ、魔獣の軍勢に特攻する。

 ボロボロの二人が作ってくれた時間でイブ、ラピス、クリムは魔力を混ぜ合わせる。

 そしてついに、三人の協力技が魔獣の軍勢に炸裂する!


 こんな感じで次回予告してみましたが、どうでしょう?

 これで今週の投稿は終わりです。評価、ブックマーク等よろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ