2-3-13(第138話) 依頼1日前 ~夜の部~
風呂上がりのみんなを見て、内心興奮気味の俺は、
「ほい。もうカレーはよそってあるから、みんなで食べよう」
平静を装いつつ、カレーを勧めた。
みんなは喜んで席に着き、ワイワイ話しながらカレーを食べ始めた。
俺はその様子を見て、時折聞こえてくる話を聞きながらカレーを食べ始める。
実に満足いく夕飯だった。
夕飯後、みんなに後片付けをお願いし、風呂に入浴した後、いよいよ就寝するだけだが、
“今日はどうするかな?”
昨日は徹夜したので、今日は満足いく睡眠がしたい。
となると、やはりベッドの方が…。
いや、ここはソファー一択だな!
まだ、みんなと寝るのに抵抗があるし。
童貞の俺には刺激、もとい体力や理性がもたん。
今思うと、今までの俺、よく我慢できたな。
たまに自分で処理していたからか。
「…アヤト?寝る前にちょっといいですか?」
「ん?どうした?」
不意にリーフが俺に話しかけてくる。
何の要件か少し考えていると、思い当たることがあった。
「あ。魔道具の件ね。それならちゃんと用意してあるから、明日の朝に…」
「いえ!それとは別に大事な話があります!」
…これとは別件だと?
「なので、私達と寝室に行きませんか?」
?
リーフだけでなく、ここにいるみんなに大事な話があるのか?
一体何の話だろう?
「分かった」
俺は大人しくリーフに従い、みんなで寝室に向かう。
「…それで大事な話って…?」
「はい。それは明日の確認です」
「確認?」
何のだ?
「…明日は私達とアヤト達は別行動ですよね?」
「…まぁ、途中まではな」
明日のことは明日にならないと分からないが、予定でいえばそうだ。
リーフ、イブ、クリム、ラピスの四人は冒険者達と一緒に魔獣退治。
俺、クロミル、ルリは牛人族のカラー種達との接触。
その後は、俺一人でどこかにいると思われるあのメイキンジャー?だったか。
そいつとの接触。
こんなものか。
「ですから、今日はその…」
「その、なんだ?」
ま、まさか!?
こんなみんなが見ている場所で夜の営みを…!?
「一緒に寝ませんか?」
・・・これはどっちだ?
みんなで俺と夜の営みをしよう、というお誘いか!?
…いや、そんな訳ないか。
きっと、みんな一緒に同じベッドで寝よう、ということだろう。
別に決してやましい意味はなく、明日のことで不安になっているのだろう。
そんな様子、午前にはまったく見られなかったが。
午前のあの様子で臨めば、きっと大丈夫だよ!
と、言える勇気もないしな。
なんか、眠くなってきたな。
お腹も一杯だし、思考もだんだん…。
「私達もちょっと心配なんです…」
「…何か嫌な予感がする」
「分かった」
俺は倒れるようにベッドに身をゆだねる。
あ~。こんなにもベッドってフカフカだったのか。
「それじゃあ、ルリはお兄ちゃんの隣!」
「ご主人様、私も失礼させていただきます」
と、両隣にルリとクロミルが横になる。
その周りにリーフ、イブ、クリムが横になる。
なんか思考が出来なくなってきた。
それほどまでに眠気が…。
「それじゃあ今晩は僕も一緒に…」
なんか、ラピスまで、同じベッドに紛れ込んだが、
(もう眠いな…)
睡魔に抗おうと頑張るが、俺はそのままゆっくり目を閉じていった。
「お休み、お兄ちゃん♪」
なんて言われた気がするが、俺の意識はもう、夢へと向かっていた。
今週の投稿はこれで終了します。
今年最後の投稿となりました。
来年も感想、ブックマーク、評価等、よろしく願いいたします。
読者の方も、読者でない方も、よい年末年始をお過ごし下さい、




