2-2-29(第122話) 異常の終止
今週も投稿しようかと思います。
今日中に後1話、投稿しようかと考えています。
カオーガはまた、大量の氷の槍を精製する。
ここでまず作戦の第一段階、
「行くぞ!」
みんなでやつの攻撃を止めつつ前進、だ。
ここからだと俺の攻撃は当たらないので、ここは耐える。
俺は耐えながらも、魔法をイメージし、右手に魔力を集めている。
みんなはあの怒涛の攻撃をそれぞれ食い止めてくれている。
…クリム、ルリ、クロミルの三人は相変わらず拳で制していた。
拳、強いなぁ。
やはり、体の作り方が違うのだろうか。
イブは、魔力で形成した腕で殴って氷の槍を壊している。
リーフは躱しつつ、緑魔法で風を起こし、槍の軌道をずらし、当たらないようにしている。
ラピスは、巨大な氷の壁を作り、それで防いでいる。
みんなさすがだ。
俺も自分のやることをやらないと。
そして、カオーガの攻撃が止む。
一時的ではあるが、これはチャンスだ!
俺達全員はカオーガの元へ駆け出す。
さぁ、作戦第二段階だ!
第二段階。
それは、
「みんな!負担をかけるようで悪いが、よろしく頼む!」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
みんなで突撃し、俺とルリ以外で俺達を護衛し、無事、カオーガの元へ届けてもらう、というものだ。
だが、これは決して簡単ではない。
俺でも、数回しかカオーガの元へ行けなかったからな。
ま、俺と比べても、俺の実力がどれほどのものか、分からないけど。
でも、これだけは分かる。
(すごく、戦いやすい)
と。
あれだけ苦労してようやくカオーガの元に行けたというのに、今回は無傷で行けるからな。
だが、作戦はこれからだ。
俺は気を引き締める。
そして、ルリにあるものを渡す。
「アヤト!飛んでくるものは全部無視して下さい!」
「ご主人様の邪魔は、させません!」
ドゴン!
俺はクリムとクロミルに感謝しながらルリ、リーフとともに先に向かう。
ヒュンヒュンヒュンヒュン!
バキ!バキ!ガキィン!
「…アヤトの邪魔はさせない」
「行って、アヤトさん!」
ああ。
俺はこんなにも助けられているんだ。
そう実感する。
だからこそ、
「今です!アヤト、ルリちゃん!」
リーフが緑魔法で風を発生させ、その風で俺とルリを飛ばす。
そう、絶対に、
「勝ってみせる!行くぞ、ルリ!」
「うん!」
みんなのためにも!
さぁ、これが最終段階だ!
「うおおお!!!」
カオーガが爪を伸ばし、俺を貫こうとする。
だが、今の俺には、みんなの期待を背負った俺には、
「効かない!」
神色剣で受け流してから、
ズパァン!!
カオーガの体を思いっきり切り裂く。
そして、カオーガの体に大きな傷が出来る。
このままなら、カオーガの体はすぐに再生されるだろう。
だが、今回は違う。
俺達には、切り札があるから。
「今だ!ルリ!」
「「「「「いっけけけけけけえええええ!!!!!」」」」」
「うおおお!!!」
ブズッ。
ルリの右腕がカオーガの体を貫く。
俺が切り裂いた場所に、だ。
だが、ルリにはあるもの、否、ある魔法を持たせていた。
ルリは右腕をカオーガから抜き、
「…ほんとにこれでいいの?」
「ああ。俺の推測が当たっていればだが、な」
これで外れていれば、俺達は本当に勝ち目がない。
なんなら消耗戦にでも持ち込むか?
いや、体力が持たないか。
だが、
「おいぎrsh@gさ8srg!!」
「「「「「「「!!!!!!!???????」」」」」」」
カオーガが叫び、ルリ目がけて拳を振り下ろす。
やべぇ!
あれが全身に回るのに、多少の時間がかかるのか!?
「ルリ、危ない!」
俺は、
(この攻撃だけは、絶対に防いで見せる!)
「うおおお!!!」
俺は神色剣で防ごうと構える。
そして、
「うぇ!?」
俺が持っていた剣が、盾に変わっていた。
俺はその盾でカオーガの攻撃を防ぐ。
トン。
俺にくるはずの衝撃がほとんどなかった。
(すげぇ。なんだこの盾?)
盾なんて物は一度も使ったことがないので比較対象がないが、かなりの衝撃を吸収してくれていたと思う。
だが、もう一度盾を見ると、
「あれ?」
いつの間にか、剣に戻っていた。
一体何が…?
「あ、ありがとう、お兄ちゃん…」
「ん?あ、ああ」
ま、後で考えるとしよう。
今は、
「…あいつ、何やっているんだ?」
なんか、自分の体を引き裂いている?感じだ。
カオーガの体から血が噴き出すが、それでも自分の体を掻くことをやめなかった。
結果、カオーガは倒れた。
…出血多量で死んだのか?
つまりこれは…?
「勝った、ということ、か?」
「勝ったの!??」
「「「「「やったーーーーー!!!!!!」」」」」
俺とルリを除く五人は両手を上げながら喜ぶ。
俺にはまだやることがあるが、でも、
「よかった…」
「うん!ところでお兄ちゃん?」
「ん?」
「結局、こいつはなんで倒れたの?」
「ああ、これだ」
といって、俺はある魔法を発動させる。
「それってお兄ちゃんがいつも使っている…」
「そ、これは【毒霧】だ。だけど、今回はこれを…」
ふぬぬぬ、と唸りながら完成したのが、
「圧縮したこの球状の毒の塊さ。名づけるなら、【毒玉】ってところかな」
ただでさえ、中毒で禁断症状を発症させるような毒を濃縮させたのだから、死んだのは間違いないだろう。これで生き返るとか、まじ勘弁。
「へ~」
…なんか興味無さそうだな。
そして、
倒したの?
…動かない?
ちょっとツンツンしてみましょうよ?
それでは私がやってみましょう。
なんて会話が聞こえてくる。
ま、いいや。
なんか事前にたてていた計画とかなり異なるが、後はあれを…、
「アヤトさん!」
声をかけてきたのは、カイーガだった。
「なんだ?ていうか、あいつらは置いていって平気なのか?」
「ええ。あの後、国王様が目を覚まし、事情を話したら、“後は私に任せて急ぎなさい!”って言われました」
「はぁ…」
あの国王、確か俺が背中を思いっきり切りつけた気がするけど、平気だったのか?
「それで、兄は…」
カイーガは横になっている兄を見て、全てを悟ったらしい。
「…それでは計画通り、後はこの魔法石を破壊するだけです」
といい、カイーガは懐から紫色の石を取り出す。
壊し方も予め教えられたが、
「本当に、魔力を注ぐだけでこの魔法石が壊れ、国民が洗脳から解除されるんだな?」
「はい!」
とのことなので、俺は魔法石に魔力を注ぎ始める。
…。
……。
………。
…ほんとに壊れるのか?
なんか、思った以上に根気がいるな。
俺はアイテムボックスから魔力池を取り出し、魔力を回復させる。
「え?今の、どうやって…?」
なんか言っていた気がするが、スルー。
俺は再び魔力を注入し、
パキリ。
そんな音が響く。
よし!
俺は心の中でガッツポーズを決め、
(一気に決めてやる!)
俺はヒビのところを中心に魔力を注ぐ。
そして、
バキイィン!
魔法石が壊れた瞬間、大きな光が俺達を包み込む。
(まぶ!??)
視界を奪われること数分。
光が晴れると、
「…何か変わったの?」
「…さぁ?」
何も変わっていなかった。
あれ?
なんで?
俺達全員頭に疑問が浮かぶ。
「…やった。成功、成功です!」
窓を見て歓喜するカイーガ。
一体何が…?
外を見てみると、服をちゃんと着ている人達がいた。
これってつまり…。
せい、こう…?
成功、だよな?
「やった!やりましたよ、アヤトさん!!」
ラピスは思った以上に喜んでいる。
俺は改めて、みんなを白魔法で回復させた後、
「…それじゃ、俺達は帰るか?」
「えっ!??これから色々やることが…」
「「「「「は~い!!!!!」」」」」
「話聞いて!??」
俺達はラピスを置いて、この国を出る。
街中を歩いている時、家族団らんの声がそこかしこに聞こえてくる。
…どうやら本当に洗脳は解けたみたいだな。
俺は安心して、この国を出る。
そして、
「…お兄ちゃん。なんで今日も野宿なの?たまには宿に泊まりたい!」
「…後で考えておくよ…」
だが、まだ宿泊は怖いな。
まだあの光景が頭から離れていない俺であった。
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