1-1-8(第12話) デート、そして異変
「すっかり夜になってしまいましたね、アヤトさん」
「そうですね。それじゃ行きましょうか?」
「どこへ?」
「まず、宿を決めないとですね。宿を探します」
「わかりました。お供します」
こうして俺はリーフさんにおすすめの宿を教えてもらい、宿泊の手続きを済ませた後、夕食を食べに出かけた。
「この時間でもやっている美味しい食事処知りませんか?」
「ないですね。どこも不味いですし。自分で作った方が美味しいと思いますよ」
まじかー。彩人の予定は、早くも変更を強いられた。
そう言われたものの、やはり気になったので、試しに一個買ってみた。買ったものは、見た目と感触が餅みたいな食べ物で、食べると、チョコのように甘く、キムチのように辛い衝撃的な味だった。もうこの町の買い食いは絶対にしないと誓った。
翌日、宿ですっかり元気になった俺は待ち合わせの場所に行った。そこには、深緑色のコートに雪のように白いパンツを穿いていた。さながら、森の妖精冬バージョンって感じだ。
「あ、アヤトさん。おはようございます」
「お、おはよう、ございます」
「?それでは行きましょうか」
「は、はい!」
え?なに緊張しているんだって?仕方ないじゃん!前は女の子とデートした事無いんだから。おいそこ!童貞くさい言うな!まぁ、童貞だけどさ。
こうして俺とリーフさんのデートが始まった。
最初は食材売り場を見た。食材は美味いが、この街の住人はこの美味さを台無しにしてしまうらしい。もったいな。俺が買って後で調理しよう。
美味しい食材を食った次は、装備を整えるために、あの二店に向かった。今回は依頼の報酬とブラックゴブリンキング討伐のおかげで、一気に二十万以上稼いでいた。ちょっとしたお金持ちである。なので、心とお金に余裕がある。ちなみに門番さんには千円を返してある。
「へいらっしゃい!」
あいかわらずいい声だな。もはや防具屋の定番だな。
「あ。この前の文無し野郎じゃねぇか。今度はちゃんとあるんだろうな?」
「はい。それでですね………」
こんな感じで防具、武器を揃えた。防具は軽くて丈夫な靴と収納機能のついたポーチを買い、武器屋では、少し高めの片手剣を買った。これで少しは冒険者っぽく見えるだろう。
そして俺たちは服屋に来ている。当然リーフさんの服も見るのだが、
「アヤトさん、こちらはどうですか?」
「アヤトさん、このスカートかわいくないですか?」
「アヤトさん、このパンツの色、どっちがいいですか?」
女の人の買い物を甘く見ていた。たかが服だと。そのせいで、二時間近く何十枚も試着していたのだが、一枚しか買わずにその店を後にした。店員さんが苦笑いして見送りしていたぞ。
「おい。なんだ、あいつは!?」
「もしかして例の………」
「い、いやーーーーー!!!」
なんかあったのだろうか?みんな門の外を見ているけど。




