2-2-25(第118話) 異常事態に参戦せし者
今週の投稿はこれで終了したいと思います。
後、サブタイトルを少し変更しました。見やすくなっていると思います。
遠い昔、こんな実験が行われていた。
魔法を記録した【魔法石】を体内に取り込んだらどうなるか、という実験である。
最初は念入りに調査された。
魔法の効果、【魔法石】の成分、魔獣、人との親和性等々、綿密に、着実に。
そして、いつの間にか大規模となっていたこの実験は、ようやく仮説段階から次の段階へと移行した。
それは、魔獣への投与、である。
予め人間に懐いている魔獣、従魔への【魔法石】の投与を始めたのだ。
実験の成果は、大成功であった。
投与前と後では、強さが段違いとなり、冒険者ランクでいえば、3ランクも上昇するほどであった。
そして、しばらく、【魔法石】の売買が盛んとなった。
だが、実験はそれでは終わらない。
むしろ、これがメインといえよう。
いよいよ、人体へ【魔法石】を投与する実験が始まる。
もちろん、以前のように、綿密な計画が練られ、計算していく。
実験は着実に進められていった。
実験設備も以前より豪華になり、警備も厳重になったなか、ついに実験は始まる。
最初は少しだけだった。
食事で例えるなら、最初にサラダを食べた程度である。
なので、科学者達も安心して、実験を行っていたし、観察もしていた。
だが、与える量を増やしてみると、実験体に大きな変化が見られた。
それは、肉体が肥大化し、皮膚が黒く変色し始めたのだ。
科学者たちも、この変化を予想していなかったのか、すぐに【魔法石】の投与をやめたが、実験体の変化は止まらない。
大きくなった体は、ゆうに三メートルを超え、筋骨隆々としていた、
「!??vs@ぎjsbx!!!」
声にならない悲鳴を上げる。
そして、背中から黒い翼を羽ばたかせ、そして…。
二晩経過し、そこには、黒い者が横たわっていた。
だが、黒い者が横たわっている周りには、何も無かった。
二日前には、きちんとした実験施設が、住居が、町があった。
なのに二日経過すると、国があった場所は平地となっていて、黒い者が横たわっているだけとなっていた。
このことから導き出せる結論は一つ。
この黒い者が、この町全てを滅した、ということである。
実験を行っていた国には、様々な人がいた。
その中には、白ランクパーティーの優秀な冒険者や、手練れも数多くいた。
だが、全員、死体となってでてきたのだ。
死体には、何かしらに引き裂かれ、かじられた跡がある。
これを見た旅人は、すぐにこのことを伝えた。
そして、近くの国も応援をだし、人命救助を試みた。
だが、この国にいた人全員死んだことが判明した時、周りの国々は国民に告げる。
“【魔法石】の売買を禁ずる”
と。
すぐに【魔法石】の回収作業が行われた。
反感もあったが、隣の国の状況を伝えると、すぐ応じてくれた。
その後、世界は【魔法石】の恐怖に怯える日々が続いた。
その後、数十年経過し、【魔法石】の売買は解禁されたが、依然として、取り扱いには誰もが厳しく注意している。
そして、その伝説のような現象を、畏怖の念、黒い者の容姿を踏まえて、こう言い伝えられている。
「黒い悪魔現象…」
と。
自分は今、悪夢を見ているようだった。
何せ、昔の言い伝えで、
“悪いことをすると、黒い悪魔が襲い掛かってくるぞ”
と、聞いたことがある。
それは、子供をしつけるための言葉で、架空の生物だと、ほとんどの人は思っているだろう。
自分も、この光景を目撃するまで、黒い悪魔の存在を馬鹿にしていたし、嘘だと思っていた。
だから、余計に自分の目を疑った。
なんせ、兄さんが、
「vしえぶいdsrgぇるg!」
その、黒い悪魔になったのだから。
「は、はは、ははは…」
もう笑うしかなかった。
もし、黒い悪魔が本当に町を滅ぼせるほどの力があるなら、今の自分ではどんなに頑張っても、傷を数か所つけるくらいだろう。
そしてその先に待っているものは…死。
そう考えると、泣くより先に笑いがでた。
もう…自分は壊れかけているのかもしれない。
あーあ。
兄さんを止められなかった。
そのことだけが、心残りだ。
せめて、
「一緒に死のう、兄さん!」
そう覚悟しました。
目を閉じ、死を迎える準備を始めると、
「…あれ?…もしかして、戻ってきたのか?」
聞いたことのある声。
ゆっくり目を開けるとそこには、
「おい!お前、右腕が無いぞ!?大丈夫か!??」
飛ばされたはずのアヤトさんが、いたのですから。
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