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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 青の国の異常
106/546

2-2-13(第106話) 異常な光景を目撃した四人

今週も投稿します。


 少しの間、リーフと世間話をしながら待っていると、


「あ、お兄ちゃんだ!おーーい!!」

 ルリが手を振り、こっちに向かって早足で近づいてくる。

「ああ、ちゃんといい子にしていたか?」

「うん!ちゃんとみんなのお手伝いしたよ!」

「そうか」

 俺がルリを見てホッとしていると、

「ただいま戻りました、ご主人様」

「アヤト達の方が早かったのですね」

「…ん。もしかして、待たせた?」

 クロミル、クリム、イブの三人もギルドの入り口に集まる。

 クロミルの両手には、大量の魚があった。

「もしかして、これらが…?」

「はい。出来るだけ新鮮な魚を選んで買ってきました」

「クロミルさんはすごいです!魚を見ただけで、どれが一番新鮮なのか分かったのですよ!」

「…さすが。脳筋娘とは大違い」

「…ちょっとイブ?誰が脳筋娘ですって?」

「…別にあなたとは言っていない。脳筋娘 (ボソッ)」

「何ですって!??」

 こっちはこっちでいつもの頬の引っ張り合いが始まる。

 俺はクロミルに礼を言いながら、魚をアイテムボックスにしまい、

「さ、宿屋でも探すか」

「ご主人様、少しよろしいですか?」

「なんだ?」

「今夜は宿ではなく、野宿を勧めます」

「…それは何で?」

「それは…」

 と言いながら、クロミルは頬が赤くなっている二人を見る。

「…これは私達の意見」

「そうです!昼間っからあんな…!」

「あんな?」

「!?な、何でもありません!とにかく私達は野宿がいいんですぅ!ね、イブ?」

「…ん。今回ばかりはクリムに激しく同意。あんな場所に泊まりたくない」

「あんな場所って。普通の宿屋で何が…」

 この時、俺はあることを思い出す。

 そういえば、この国って、おかしくなっていたんだっけ?

 その影響が宿屋にも出ているってことか!?

 だが、この二人が拒絶するって一体…?

「なぁ。宿屋の中で一体何が…?」

「…それは、言えない」

 と言いつつ、赤かった頬をさらに赤く染めるイブ。

 クリムに聞こうとしたが、そっぽを向かれ、聞けなかった。

 残りの二人に聞くと、

「えっとねー。服着てない男と女が抱き合ってたよー」

 と言ってきた。

 瞬間、空気が凍る。

 クロミルは無表情。

 ルリは首をかしげる。

 それ以外は全員、顔を赤くして俯いていた。

 ルリの発言に、俺達はどう返せばいいのか分からず、硬直する。

 数分経って、

「…そ、そっか。それじゃ無理だな、うん。今夜も野宿だな」

 と言い、無理やりギルドを後にする。

 町を出るまでの間、俺達はお通夜みたいな空気を出しながら歩いた。

 俺もこの空気に何も口がだせず、ただ黙って歩くことしか出来なかった。


 町を出て、大きな湖の近くで止まり、

「…ここで、野宿しようか?」

「うん!」

「はい、かしこまりました」

 ルリとクロミルは平常運行なのだが、他の4人がまー静か。

 テントを張るのを手伝ってくれるが、終始無言。

 それでもテントをきちんと建ててくれる。

 以心伝心しているかのような動きだった。

 俺はその時、

(そろそろ()()も出来るころだし、今日の夕飯にでも出してみるか)

「クロミル、ルリ。夕飯の準備、手伝ってくれるか?」

「…でもお兄ちゃん。お姉ちゃんは…?」

「…ま、その内、な?」

「???」

「ご主人様、私は何を?」

「ん?そうだなーまずは…」

 そうやって俺達三人で夕飯作りを始める。

一方、残りの四人はというと、

「「「「・・・・」」」」

 体育座りをして、湖を眺めていた。

 …そんなにショックだったのか。

 イブとクリムは男女の営みを目撃してしまったのだから、それなりに心にくるものがあったのかもしれない。

 それをリーフが慰めているってところか。

 …あれ?

 そう言えば、なんでラピスも一緒にあそこに座っているんだ?

 …ま、いっか。

 俺はそのまま夕飯を作り始める。

 さて、今夜の夕飯が楽しみだぜ!

 

「クロミルー?そっちは出来たかー?」

「はい!後は盛りつけだけです!」

「よし!そのまま続けてくれ」

「かしこまりました」

「分かったよ、お兄ちゃん!」

 クロミルの手伝いをしているルリ。

 なんかこの二人を見ていると、姉妹を見ているようだ。

 美しい姉妹愛だ。

 ま、俺は独りで料理しているんですけど。

 

 グツグツグツグツ。

 鍋の音ともに、()()の匂いが周りに広がっていく。

「…あれ?なんか、いい匂いしない、クロミルお姉ちゃん?」

「…そうですね。ご主人様のあの鍋からですかね?」

「「「「・・・・」」」」

 俺以外、全員この鍋に注目している。

 そりゃ見るよね。

 だって…、

「ねぇねぇお兄ちゃん?ルリ、そろそろ夕飯食べたいな♪」

「分かってるって。おーお!??」

 湖で(気持ちが)沈んでいる四人を呼ぼうとしたら、俺の後ろでスタンバっていた。

 …みんな、あんなに暗い雰囲気かもし出していたのに…。

 とにかく俺は、

「そんな元気があるのなら、テーブルの準備でもしてくれないか?」

「「「「はい!!!!」」」」

 四人はせっせと準備を始める。

 俺も皿に盛りつけて、

「よし!クロミル、ルリ!そっちは!?」

「「ばっちり(です)!!」」

「よし!」

 さぁ、楽しい夕食を始めよう。


 先に並べられたのは、クロミルとルリが作った料理だ。

 確か…、

「こちらがダリシアンとステルムです」

 そうそう、確かそんな名前だったな!

 俺は思い出しながら、クロミルとルリが出している料理を改めて観察する。

 ダリシアンの見た目はやはり、骨付き肉と言った感じだ。

 肉から肉汁が少しにじみ出ていて、クロミルがダリシアンを切ると、

「うおぉ!」

 肉汁がブワッ!と流れ出ている。

 まるで肉汁のナイアガラや~。

 涎も滝のごとく流れ出そうだ。

 一方、ステルムは…、煮込み料理だ。

 見た目は牛すじ煮込みに近い。

 肉や野菜に味が染み込んでいるのか、クッタリとしていて美味そう~。

 おっと、涎が少しでていたようだ。

「ふふーん♪どう、お兄ちゃん?私の作る料理もなかなかでしょ?」

「と言っても、クロミルがほとんど作っていたじゃないか」

「そんな細かいことは覚えてなーい」

「それでご主人様は何を…?」

「ふっふっふ。これはな…」

「【ケララ】ですね?」

「え?」

 急にクリムが口を挟んでくる。

 え?ケララ?

 なんだそれ?

 クリムは嬉しそうな顔をしているが、リーフは微妙な顔で俺の作った料理を見ていた。

「…あれ?違うのですか?」

「…えと、それ、何?」

「確か、とっても辛くて、とっても美味しい料理だったかと」

「とっても辛い…」

 リーフの顔色が少しずつ悪くなる。

 それもそうだ。

 あの激辛大好き王女様がとっても辛いと言うのだから、とんでもなく辛いのだろう。

 だが、安心してほしい。

 これは蜂蜜とリンゴを入れた甘いやつだからな。

「クリムが言っているケララ?とは違う料理だと思うよ?」

「え?それじゃこれは…?」

「これはな、カレーだ!」

「「「「「「カレー??????」」」」」」

「ま、とりあえず、一口食べてみれば分かるよ♪」

 さぁ、みんな大好きカレーの美味しさをとくと味わうがいい!!

感想、ブックマークの方、よろしくお願いいたします。

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