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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 青の国の異常
101/546

2-2-8(第101話) 依頼受諾

今週も投稿します。

まずは、前回のあらすじです。

・青の国の王、ダイモス=コンバールとマリアナ=コンバールは、女の子を育てたい、という小さな夢がある

・小さな夢のために子作りした結果、全員男だった

・末っ子のシオンを女装させて、鬱憤を晴らす

・数年経ち、仮面の者が入城する

・仮面の者、ダイモス、マリアナ、シオンの4人で集まり、とある魔法をシオンにかける

・シオンは女になり、名もラピスへ変更する

・その時から、男女の営みがどこでも行われるようになっていることに、ラピスは気付く

・ついには、兄三人が裸で抱き合っていたところを目撃し、ラピスも混ぜようと発言

・ラピス、この国を出ることを決意

・コンバール一家は、ラピスがいないことに気付き、ギルドに依頼

・ラピス、お尋ね者になる

 長くなってすみません。

「い、以上が、僕が依頼を出した理由、です…」

「「……………」」


 俺とイブは、長々と語るラピスの話を聞き、すぐに返事を返すことが出来なかった。

 何せ、

「なぁイブ?俺の耳がだいぶいかれたことを聞き取ったんだけどさ、間違いだよね?」

「…私も信じたくない。けど、こいつが嘘をついているとは思えない。つくなら、もっとましな嘘をつくはず」

「そうだよなぁ…」

 ちょっと、男女の営みが公共の場で行われたかといって、国に不信感を抱くというのもおかしいと思うし、何より、

「女装していたお前が、兄達三人の趣味に文句言える立場なの?」

「ぐっ!!それを言われると、僕も相当おかしかったのかな?」

「むしろ、お前が一番おかしいだろ。小さいころは女装して、成長したら本当の女になったんだからな。こんな人生送っているやつなんて、そうそういないぞ?」

「…ん。私も初めて聞いて、眠気がどっか行った」

「そこまでひどいんだ…」

 ラピスは一目見て分かるくらい落ち込んでいた。

 …確かに思う点は多々ある。

 まず、青の国と国王と女王が本人の意志を聞かずに、勝手に女にしたことだ。

 地球だったら、本人に了承させると思うのだが、さすが異世界といったところだ。

 その三人の兄の趣味については…うん、まぁ、触れないでおこう。

 誰にも言えない趣味の一つや二つ、しょうがないよな。

 それを強要させようとしていたのは許せないけど、まぁラピスがどうなろうと俺はどうでもいいから、ここは問題じゃないな。

 一番問題なのが、

「仮面の者って、一体何者なんだよ…」

「…ん。確かに気になる。そいつ、何者?」

「何者って聞かれても、父様も母様も、仮面の者としか言っていないから分からないよ…」

「!!?そ、そうか…」

「?…どうかした?」

「いや、なんでもない」

 危ない危ない。

 思わず舌打ちしそうになってしまったぜ。

 だが分からないな。

 確かに色んな人が色んな趣味があるからな。

 もしかしたら、男女の営みを見られて興奮する露出癖のあるやつだって…いるのか?

「…なぁ?城下町のやつらがおかしくなり始めたのっていつからだ?」

「確か…、僕が女になった後からだと思うけど…?まさか!?」

「いや、あくまで可能性があるってだけだ。そう考えれば、辻褄が合うと思う」

 俺は、推理はそこまで得意じゃない。

 どこぞの小さくなった名探偵に頼めば、すぐに解決してくれるのだろうか。

「??…どういうこと?」

「ん?多分だけど、その仮面の者が、青の国をおかしくした元凶だと、俺は考えている」

「…でも、そいつはこいつを女にしただけなんじゃ…?」

「…もし、もしだよ?そいつがその魔法以外の魔法をその時使ったとしたら、どうだ?」

「…確かにそれは可能。だけど…」

「そんな高等技術、出来る奴なんてそうそういるわけないじゃん!」

 え?

 そんなに魔法の併用って難しいのか?

「俺は出来るけど?」

 俺はそう言って、掌大の大きさの火球を出し、左腕に【身体強化】の魔法を使う。

 …うん。問題なく使えているな。

「え?」

「…それはアヤトが特別。普通は出来ない」

「でも絶対いないわけじゃないだろ?」

「…確かに」

「でもそんな人、青の国にも数人しかいなかったような…?」

「だったらさ、その中にその元凶がいるんじゃないのか?」

「そ、そうなのかな?」

「分かんないけど」

「分からないの!?」

「だって、お前の話を聞いた上での推測だし。何一つ、物的証拠がないし」

「た、確かに…」

「…それより」

 イブは上を指差しながら、

「…そろそろ夜が明けるから、ご飯の用意、しよ?」

 ご飯を催促してきた。

 そういえば気付かなかったけど、もう夜が明けかかっているじゃん!

 そんな長い時間、話し合っていたのか。

 そう思うと、なんか急に疲れが…。

 でも、そろそろご飯の用意でも始めるか。

 俺は立ち上がって背伸びをしてから、

「それじゃ、ご飯でも用意するか」

「はい!僕も手伝いしますよ、アヤトさん!」

「あれ?俺の名前、教えたっけ?」

 自己紹介もしていなかったような…?

 会って始めにすることなのに忘れるとは…。

 さすが、万年ボッチは違うな!

 …朝から悲しくなるな。

「あ、はい。アヤトさんが昨日、夕飯を作っている最中に自己紹介させてもらいました」

 …うん。いいんだ。俺はボッチだからな。一人は慣れているからな、うん。

 俺は朝からどんよりしながら朝食をイブと作り始めた。



「結局、今日も僕だけ干し肉とこのスープだけなのですか?」

「そうだぞ?これは非常に栄養価が高いからな(適当)。お前にピッタリだ」

「うう…。そっちの方が美味しそう…」


 今回の朝食もラピスだけ干し肉と味噌汁みたいな味がする緑色のスープだ。

 ラピス以外は干し肉の代わりにホットケーキを焼いた。

 うん。

 やっぱホットケーキは、夜より朝に食った方が美味しく感じる気がするな。

「美味しいね、お兄ちゃん!」

「ああ、美味いな」

 楽しい朝食だった。


 朝食を食べ終え、食器も洗い、俺一人が牛車を引っ張って、町「ミナハダ」を目指す。

 クロミルを引かせなかったのは、牛車の中で、イブに前夜話した内容を伝えてもらうためだ。イブにとっては良い報酬だったらしいが、他のみんなはどう思うか分からないからな。ちゃんと話を聞いてから判断してもらわないとな。

 もちろん、やるなら青の国をなんとかしなくてはならなくなる。

 それより、今の青の国の状態ってどうなっているのだろうか?

 もしかして今も公共の場で男女の営みをしているのか?

 一体どんな国だよ…。

 国の法律に、性行為推奨とか記載されているのかね。

 それにしても、肉体関係を持つ、か…。

 俺にはまだ早いな。

 俺はまず、友達を作るところから始めないとな!

 …どうして俺はこう自虐してしまうのだろう。

 この癖、治そうは思っているけど、なかなか難しい…。

 おっと、考えが逸れちまったな。

 えっと、何考えていたっけ?

 ………と、とにかく!ミナハダに着いてから考えるか!

 それに、みんなの返答次第だしな。

 それにしても、男女の営みって、具体的に何しているんだろう?

 気になる。

 すごく気になる。

 そして、俺はみんながどうするか結論を聞くまで牛車を引いていたが、ずっと頭の中がエロの事でいっぱいだった。

 一、 二時間経過し、ルリから、

「休憩しよー!」

 との一言で、俺は牛車を止める。

 それと同時に、俺は今まで考えていたことがとてつもなく恥ずかしいことだと分かり、一人モジモジしていた。

「…それで、どう、なったんだ?」

「?えっとねー、みんなあのゴミの依頼を受けるってー。それよりお兄ちゃん、なんでそんなに挙動不審なの?」

「ふへぇ!??べ、べっつにー?いつも通りのー、俺ですけどー?」

「…お兄ちゃん、嘘、下手過ぎない?」

「…確かに嘘はついたが、本当に大したことはないから、気にしないでくれ」

「…ふーん」

 それにしても、ラピスのことをゴミ呼ばわりとは…。

 さすが、自称俺の妹!

 よくやった!!

 俺は心の中でルリに拍手を送った。

 俺はみんなが依頼を受けるという事で、内心複雑だったのだが、その事について考えるのは後にしよう。

 俺達はいつもより少し早い昼飯を食べた後、

「それじゃ、俺は寝るから。クロミル、後は任せてもいいか?」

「はい!もちろんです!!」

 もう昨日からずっと起きていたからな。

 馬鹿げた話を聞き、肉体労働をした上で、満腹による起こる睡魔。

 今の俺にはとても抗えるわけもなく、一分も経たずに俺は夢の世界へ向かった。

 起きた時にはもう夕方で、みんな汗をかいていた。

 何をしていたのか聞いてみたら、夕飯前の訓練だそうだ。

 というわけで、また俺が夕飯を作る。

 もちろん、ラピスだけ干し肉と干し野菜だ。

 ラピスが俺の事を睨むように見ていたが無視だ。

 ちなみに食事の間に、昼に何かあったかと聞いてみたが、

「何もなかったよー!」

 とのことだった。

 平和というものは実に素晴らしいな。

 そんなことを考えながら、俺は新たな町、「ミナハダ」に向かう。

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