1-1-6(第10話) 報酬
「さて、報酬の件だったね」
「は、はい」
心に精神的ダメージを食らってしまった。自分で自分を励ましながら、なんとか気を保った。こうなったのもあのがさつなギルドマスターのせいだ。
「なんか言ったかい?」
「い、いえなにも」
「まぁいいさ。依頼は無事成功。ゴブリンの耳は計283個で、14万1500円だよ」
「ありがとうございます。それで、ゴブリンの死体も買い取ってくれますか?」
「「はぁ!?」」
「え?依頼書に買取可って書いてありますよね?」
「ちなみに死体はどのくらいありますか?」
「耳が283個なら、283個ですかね」
「「・・・」」
え?なにこの空気?なんか寒いんですけど。そして二人とも、そんな怒りの眼差しで俺を睨まないで!
「し、死体の状態が良くないと買取できませんよ!」
「そ、そうだぞ!」
「えっと、このくらいで大丈夫ですかっと」
そう言って、俺はアイテムボックスからゴブリンの死体を一体取り出す。
あれ?なんで絶句してるの?
「このくらいなら一匹1000円でよろしいかと。ところでギルドマスター。私は最近休んでないので休暇を頂きます。アヤトさんの査定が終わるころに復帰いたしますので」
「そ、そんなことはさせんぞ!貴様一人だけ逃げようという気か!?」
「だって査定する量が多いんですよ!嫌に決まっているじゃないですか!」
「そんなこと、みんながそう思っているに決まっているだろ!」
まったく。こんなところで喧嘩なんかしないでほしいな。
「せっかくゴブリンキングも見せようと思ったのに」
「「ゴブリンキング!!??」」
あ、やべ。口滑った。
「じゃあ、俺はこの辺で」
「「・・・」」
俺は猛ダッシュをした。シュタタタ。
ギルドマスターは赤魔法による身体強化をし、俺を追いかけた。シュパッッッ!!
エルフさんは俺に緑魔法の風による進路妨害をした。ブオオオオオオオ!!
結果、俺はギルドマスターに捕まりました。




