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吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第2章 迷宮攻略篇

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第60話 一難去ってまた一難

 いやー、ヤバかった。

 本当に死ぬかと思った。

 というか何だよ、あのステータスとスキルは。

 化け物か! うん。化け物だね。


 だって火龍だぜ、火龍。

 まさかそんな生き物が本当に存在するとは……どうやら私はまだまだこの世界のことを侮っていたらしい。


 土蜘蛛に引き続き火龍まで。

 エンカウントした瞬間に負けイベント確定でしょ。あんなんどうやって倒せって言うのやら。少なくとも今の私には無理だね。うん。今回ばかりは潔く認めるよ。あれにはどうやっても勝てない。


 なんていうか、見た瞬間に負けを悟った的な?

 吸血モードになって戦闘意欲が爆上がりしてる私がそう思うとかよっぽどだと思う。多分『威圧』スキルの恩恵もあるんだろうけど、手を出そうとさえ思えなかったね。


 まあ、何はともあれ何事もなくやり過ごせて良かった。

 あんな化け物がいるならこれからはもっと警戒して進んでいかないとね。

 具体的にはあの巨体では通れそうにない、小さな道を進んでいくとか。私の戦闘スタイル的にも狭いフィールドはむしろ望むところだ。強敵と出くわさない意味でもこの選択はありだろう。


 とはいっても、いつまでも細い道ばかりを通ってもいられないんだけど。

 現に今も、細い道を進んでいたらいきなり開けた場所に出てきてしまったし。


 見渡す限り、特に警戒するようなものはない。

 もう少し進んでみると、今度は最初に見つけたものより更に広い湖を見つけた。反対側の岸が見えないほど大きな湖だ。


 もしかしたら……水の流れを辿って行けば出口を見つけられるかもしれない。

 良し、そうと決まれば早速行動だ。

 周囲を探索して水の流れを探す。だが……


「ひ、広すぎて見つからない……」


 参った。

 そういう知識のない私にはしらみつぶしに探していくしかないのだが、それでは時間がかかりすぎる。そもそも地下から湧き出ている水とかだったら完全に骨折り損だ。


 さて……どうしよう。

 とりあえず潜ってみる?

 探せば何か見つかるかもしれないし。

 あんまり期待は出来ないけど。


「あー、寒いのだけ何とかならないかなあ。水も冷たいし」


 とりあえず荷物と服を岸辺に待機させ、ゆっくりと入水していく。

 いきなり入ると心臓発作とか起こしそうな冷たさだ。これからは防寒対策も考えないと……む?


 今、何か動いた?

 水の中で、何か……蛇か?

 蛇なら美味しく頂こう。何だかんだ言って、こいつが一番美味いからね。火を熾す道具とかあれば最高なんだけど、まあそればっかりは仕方ない。


 よし、体も慣れてきたしそろそろ潜ろう。

 待ってろ、蛇! 今行くからな!


 ざぷんっ、と水しぶきを上げながら湖の中に突撃する。

 とりあえず目指すのは湖の中央付近かな。さっきの蛇を探しながら行こう。

 時折、水上に顔を出して空気を吸いながら進んでいく。


 水泳は前世からそれなりに得意だったから慣れたもんよ。孤児院の皆で川に遊び行ったときは河童のルナちゃんの渾名を頂戴したくらいだしね。

 まあ、泳ぎの上手さというより、男共を次々に川へ引っ張り込む手腕から恐れられた異名なんだけど。どうせなら水精(セイレーン)とか人魚(マーメイド)とかで呼んで欲しいよね。失礼しちゃう。


 おっと、そんなことを言ってたら早速魚影確認だ。

 湖にも魚とかいるんだね。ちょっと意外。

 そして久々にご馳走の予感だ。

 やっぱり日本人なら生の魚食わないとね。

 スシ、ゲイシャ、フジヤーマ!


(良しっ! 貰った!)


 吸血モードの私は影魔法で作った銛を使い、一匹の魚を見事その切っ先に捕らえる。我ながらなかなかの手腕だぜ。河童の名は伊達ではないということだな。

 さて、後は岸に戻って……ん?


 私が引き返そうと反転した瞬間、目の前を細長い何かが通り過ぎていった。


(何だ……? 蛇じゃないぞ、これ)


 蛇にしてはあまりにも長すぎる。

 一体何かとその根元に視線を泳がせ、私は……遅れながらに気付く。


 そいつはずっとそこにいた。

 余りにも巨大すぎて、目の前にいるのに私は気付くことが出来なかったのだ。

 私の全長ほどもある青白い眼球が見開かれ……同時に水が振動を始める。

 この時、私はすでに……


【クラーケン LV20

 体力:2000/2000

 魔力:1000/1000

 筋力:1000

 敏捷:500

 物防:500

 魔耐:1000

 スキル:『魔力感知』『魔力操作』『魔力制御』『毒針』『水適性』『風適性』『打撃耐性』『魔法耐性』『威圧』『水流操作』】


 ──怪物、クラーケンの手中にいたのだ。

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