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吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第1章 吸血幼女篇
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第5話 どうやら犯人は熟練度だったらしい

 不可解な激痛に襲われた次の日。

 またあんなことになったら困るので体の隅々を無駄と知りつつ鑑定しながら確かめたのだがどこにも異常は見られなかった。本当になんだったんだろう、あれ。

 とんでもなく痛いってことしか覚えてないしなー、一体私が何したってんだよ、ちくしょう。

 とはいえ愚痴ってばかりもいられない。

 ひとまず変なものがないか部屋中をくまなく調べた。もしかしたら鑑定で何か見つかるかもしれないからね。


 で、結論から言うと何も見つからなかった。

 鑑定の結果も『木製の窓枠』『木製の机』『木製の椅子』『木製の扉』『木製の壁』と、この家が木造建築だということしか分からなかった。ちっ、ほんと使えねーな、この鑑定。

 でもだとしたら何であんなことになったんだろうな。謎だ。

 あ、カーテンはどうだろう?

 あれに触ったから何か起きたとか?


【布のカーテン】


 はい、何もないー。

 はあ……結局原因不明のままか。とんでもなく不安なんですけど。


《スキル『鑑定』の熟練度が一定基準を超えました。新たな項目を追加します》


 ……ん?

 何だ何だ? いきなりヘレナさんの声が聞こえてきたぞ。

 きょろきょろと辺りを見渡すけど勿論ヘレナさんがいるわけもない。

 空耳? いや、んなわけない。

 そういや確か前にも同じようなことがあったような……とにかく鑑定に新しい項目が追加されたとか言ってるし確かめてみよう。

 自分に向け、鑑定っと。


【名前:ルナ・レストン

 年齢:0歳 

 性別:女

 種族:吸血鬼】


 おお、本当だ。新しい項目が増えてる。


 …………っておい!?

 え、種族吸血鬼ってどゆこと!? ここって吸血鬼の里かなんかなの!?

 驚愕の事実、発覚。

 生まれてからろくにこの部屋を出たことなかったから気付かなかったけど、この世界、思ったよりファンタジーしてるっぽいなこりゃ。


 いや、そりゃテンション上がるよ?

 元オタクとしてわくわくしないって言えば嘘になるよ?

 けどさ……吸血鬼っておまっ、ちょっとやりすぎじゃね?


 勿論嬉しいけどな!

 やっべー! 吸血鬼とか絶対上位種族だよ! レアだよ! この世界に生まれて良かったー! 異世界最高っ!

 あー嬉しい。

 そっかそっか。この前の激痛はきっと日光に当たったのが原因だったんだね。

 そりゃ吸血鬼だもん。日の光は苦手だよね。

 そっかー……


 ……それって駄目じゃね!?

 日の光を浴びると激痛に苛まれるとか結構ヤバイ感じの縛りな気がするんですけど!?

 改めて考えるとさ、太陽が弱点って日中はほとんど行動不可能ってことでしょ? 今は赤ん坊だからそんなに不自由に思わないけど、大人になってからも行動時間に制限がかかるって結構キツイ気がする……。


 ん、んん。ま、まあここが吸血鬼の集落とかならあまり問題ないかな? 周りの生活スタイルに合わせてれば自然と馴染むでしょ。

 とりあえず誰か適当な人を鑑定して種族を確認してみよう。

 ようやく鑑定も少し使える感じになったんだしね。

 というか鑑定がショボかったのは熟練度のせいっぽい。おのれ熟練度。

 そういうことなら先に言って欲しかったよ。初めて使うんなら当然熟練度は0に近い数値だったんだろうし鑑定自体が使えない訳じゃなかったんだね。ごめんよ、鑑定。

 これからはどんどん使って熟練度上げるから許しておくれ。

 あっ、そういえば他の椅子とかはどういう感じに鑑定できるんだろ。


【木製の椅子】


 うーん。こっちは変化なしか。

 まあ、あんまり詰め込める情報ないしね。もう少し熟練度上がったらもっと詳細な情報が得られるようになるかな?

 こうなると熟練度がどれくらいなのかを数値化して欲しくなるね。

 ネトゲではデータ厨だったし、ぜひ明確な数値は欲しいところ。

 まあ、ないものねだりしても仕方ないか。とりあえず当面は鑑定の熟練度を上げてく方向で動こう。

 これでようやく暇な生活からも開放されるぜ!


 ……と思っていた時期が私にもありましたよ。ええ。

 延々と鑑定だけをするこの作業にも辛いものがある。

 何もすることがないよりは随分マシだけどね。それでも代わり映えのしない部屋の中で同じものを鑑定し続けるのもやっぱりキツイっちゃキツイ。

 実際これで熟練度が上がっているのかも不明だし。

 同じものをいくら鑑定しても効果はないとかだったら完全な徒労じゃん。


 はあ、疲れた。少し休憩。

 ベッドに体を沈めて深呼吸。

 鑑定を使いすぎたせいか若干頭が重い。

 あんまりやりすぎるのも良くないかもしれない。時間はたっぷりあるんだしのんびりやろう。


 と思っていたらタイミング悪く、母親登場。

 どうやらご飯タイムのようだ。

 これを逃せば次はまた明日とかになる可能性あるし、もう鑑定しちゃおう。

 まあ多分この人も同じ吸血鬼なんだろうけど。母親だからね。同じ家に住んでるんだし、もうこの人が母親で確定でしょ。これでもし種族が違ったりしたら絶望だよね。

 その場合私が完全な突然変異種みたいな扱いになるわけで、もしばれたら色々とヤバイことになるかもしれないわけで、まあそんなことはないだろうけどね。

 一応、下手したら人生詰みかねない大事なので確認はしておこう。

 うん。確認、これ大切。"万が一"があったらいけないからね。

 ほい、鑑定っと。


【名前:ティナ・レストン

 年齢:18歳 

 性別:女

 種族:人族】


 はい、オワタ\(^o^)/

ルナは【一級フラグ建築士】の称号を手に入れた!

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